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ある日の出来事

「やぁリーナス、学園内で会うのははじめてだな!」

イーシスは爽やかに笑いながら私を撫でる。


「俺は今日は講師の日でこっちに来ていたんだ!まぁそれはいいとして…じいさんに聞いたぞ?リーナス4属性持ちだったんだってな?」


でかした!と言わんばかりに頭をわしゃわしゃ撫でる。


「やめてください…!というか、先生をじいさん呼ばわりって…」

「あはは、リーナスは相変わらず真面目だな!」


にこにこしていた兄はヘレナとパメラの方に目をやった。


「リーナスと仲良くしてくれてるんですね?ありがとうございます。あぁ…僕はイーシス・グリアベルだ。リーナスの兄だよ」

と恭しくお辞儀した。兄が急に丁寧な口調で話し出したことでヘレナとパメラは慌てだす。


「わ、私はパメラ・ゼランドです!私達もリーナス様に仲良くしていただき大変嬉しいですわ!」

「ヘ、ヘレナ・エルグリンです…リーナス様に良くしていただき私達も助けられております…!」


2人ともそれぞれどもりながらもきちんと兄に挨拶していた。ヘレナはイーシスに人見知りを発動していたようだが、淑女らしく対応できていた。


イーシスはそんな2人に満足してリーナスに向き直った。

「んじゃ、俺はこれから稽古場に行くから。気を付けて帰れよ?」

再びぐしゃっと私の頭を撫でると手をひらひらさせて稽古場の方へ向かっていった。



「リーナス様のお兄様、妹様思いの優しい方ですわね」

パメラがにこやかに兄を褒める。


「妹思いかはわからないけれど…確かに優しい兄ですわね」


我儘時代、イーシスもこれじゃあかんと思ってか、何度か注意したことがあった。

ただ注意の仕方も優しく諭す感じで、今思えば逆にそんな優しさも申し訳ないなぁと思う。そんな優しさに気付かずにやりたい放題だったのだから…。



私は前世においてもそれなりに自分に甘い部分はある自覚はある。


だからきちんとバシッと注意されたい!なんて真面目な答えは言えない。注意させるのも優しく教えてくれる感じの方がいい。その位自分に甘い。


ただ優しくされればされるほど自分を律しなきゃと思うのは私だけだろうか?

だから前世の私の場合ガツンと注意されるよりもオブラートに包んで優しく言われた方が効果はてきめんなのだ。




3人でなんやかんやとお喋りをしながら寮に戻っていった。





~~~~~~~~~

学園生活がようやく少し慣れてきたころ、ヘレナとパメラがそれぞれ別件で用事があり珍しく私1人で寮に帰らなくてはならなかった。友達少ないなぁってツッコミはなしで。逆にこのイメージ我儘傲慢中身コミュ障女によく2人も友人ができたと褒めてやりたい。



…とまぁ私は今1人なのだけども、兼ねて落ち着いたら行ってみようと思ってた所に訪れた。



入園式の時に見かけた桜のご神木がある中庭へ。




王太子にエスコートしてもらった時に聞いたのだけど、この桜のご神木はご神木なだけに何やら不思議な力があるらしく、年中桜の花が咲いているらしい。


もちろん今訪れた時も素晴らしく咲き誇っている。




ベンチに腰をおとし、桜のご神木を見上げていた。


異世界でも桜は桜なのね。



桜の木を見ながら思わず前世で卒業ソングとして流行っていた歌を口ずさんだ。その歌は歌詞もとても良くジーンとくる歌だ。

前世の私の趣味はゲームだけではない。カラオケも大好きだった。


カラオケに一緒に行ける友達はほんとごくわずかだったが、1人でカラオケいけるので問題ないし、

レパートリーは演歌からアニソンまでで守備範囲は広い方ではなかろうか?と自惚れてたりしてたもんだ。



そういえば「リーナス」は淑女の嗜みとしてピアノを習っていたのだけど、彼女は絶対音感があるらしくピアノの腕もそれなりに良いことにびっくりした。

音楽もカラオケも好きだけど何の楽器も扱うことができなく、はっきり言って音楽の才能はからっきしな「私」からしてみたら羨ましい才能だった。


え…今ふと思ったんだけど前世の私の歌と今世のリーナスのピアノで弾き語りもできるんじゃなかろうか?


この世界には私の世界に流行っていた歌は存在しないし、聴きたくてもその歌もその音も聴くことはできない。


無いなら自分で奏でれば良いじゃない!



自分の新しくできることに嬉しく思いながら歌を口ずさんでいた。





コツッ…


中庭に続く石だたみの道を鳴らす靴音にはっとした。

完全に自分の世界に入っていた私は人の気配に全く気付かなかった。




慌てて誰が来たのか確認するためにぐりんと首を回し、自分が元来た道に顔を向けた。


そこにはしばらくぶりに見た顔が…




「…王太子殿下……」


美しい金髪がさらさらと流れ、宝石の様な碧眼がきらきらと私を見ていた。

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