プロローグ
僕は、大事な親友を失った。不慮の事故に遭ったんだ。
勿論、もう会えないし、話せないし、遊べない。
当たり前だと思ってた祐希との日々は、もうここにはない。
ただ悲しみの涙が頬を流れるだけであった。
(過去回想)
僕たちが会ったのは、中学校の入学式だった。僕は、人見知りだから、自分から話しかけることができなかった。だから、新しい友達なんてできるはずないと思ってた。そんなとき、祐希が話しかけてくれたんだ、「おい、大丈夫か」って。だけど、僕は、うまく返事ができなかった。そんな僕を見て、「いいよ、今は、喋んなくても。苦手なんだろ、初対面の人と話すの。」と言ってくれた。僕は、「うん。」と小さな声で返事をした。それと同時に、「祐希、帰ろうぜ。」と呼ぶ声がした。呼んだのは、多分祐希の友達だったと思う。その声で僕の声は掻き消されてしまった。祐希は、帰り際に「また、話そうな」って言ってくれたんだ。
それから2週間ぐらい経っただろうか。祐希がまた、「幸治〜、元気か?」って話しかけてくれた。僕は、「あっ、うん。」って無愛想にしか答えられなかった。だけど、祐希は、「今から遊ぼう。」って誘ってくれた。僕は、「いいよ。」と答えた。本当は時間がなかったのに。
「じゃあ、どこ行く?ボウリング?カラオケ?」
「どっちでもいいよ。」
「じゃあ、ボウリングだな。」
「わかった。」
「18時に風雷ボウル集合で」
そんな会話が続いて、僕たちは、一旦解散し、僕は、ボウリング場に向かった。とても楽しかった。そして、僕たちは連絡先を交換した。
そんな日々が続いた。一緒にいたずらして先生に怒られる事もあったし、一緒に休み時間は鬼ごっことか、手押し相撲とか、やったし、テスト期間中は、勉強も教えあった。夏には、花火を見に行ったり、海水浴しに行ったりもした。体育の時間にペアを組むときも祐希からさそってくれた。好きなアニメとか好きな歌とか話して笑い合ったり、時には喧嘩もして口をきかなかったりした。
その時の僕は、祐希がいなくなってしまうなんて思ってもいなかった。だから、悪口だって言ってしまったり、「いなくなればいい。」なんてことも言ってしまったりした。ごめんね…祐希。謝っても本当に聞こえているのかな?聞こえてなくても、謝りたい。
新しい思い出が生まれることは、もうない。もうないんだ…。
会いたい。僕を変えてくれた祐希に会いたい。祐希がそんなことを思ってなかったとしても…。