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林檎の木に桜の花が咲く頃に

林檎の木に桜の花が咲く頃に プロローグ

作者: RYO

 時は経ち、私は29歳を迎えた。


「ねぇねぇママー!」


 ひとりの少年が私に駆け寄ってくる。


「ん?どうしたのケイタ」


 彼は目をキラキラと輝かせて、私の書いた小説を両手で見せびらかして聞いてくる。


「ママがこの本作ったの!?」

「うん、そうよ」

「すごぉーーー!」


 彼はとても嬉しそうにもうひとりの親の方へと視線をずらす。


「ママすごーいよー!ねーパパー!ママすごいんだよー!」

「お、どうしたー?ケイター」


 今度は少年が男の方へと駆け寄っていき、椅子に座っていた男の膝の上にちょこんと座る。

 こんな他愛(たあい)もない日々が続くこと、それが私にとって一番の幸せなのだった。


 しかしそれも、まもなく私から奪われてしまうことになるのであった。







「ケイタ……ケイタ!しっかり!」


 病院の一室で私はただただ叫ぶ。

 隣で焦る夫はひたすらにベッドに付属しているコールボタンを何度も押している。


 ケイタは私と同じ病に(おか)されてしまった。


 私は彼の手を力強くぎゅっと握る。


「お…………あ……さ……ん……だ……すき……よ……」

「うん……うん!」


 最後の力を振り絞り、彼は私を必死に呼ぶ。

 私も応えるように力強く返事をする。












 ピーーーーーーーーーーーーー














「ごめんねケイタ……私のせいだわ……オサムさん……私、どうすればいいの?……ねぇ、ねぇってばぁ」

「……」


 私は隣にいる夫にひたすら問いかける。

 しかし彼も彼で目の前で死にゆく我が息子に何も言葉を発せずに唖然としていた。


 院内を走り、駆けつけた医師が即座に状況を確認する。その光景を、あまりにも無力な私たちはただただ見つめるしか無かった。



 その後、ケイタの死亡が確認された。



 これが別の世界線なら良かったのに。

 心からそう思った。







 これから私、どうしたらいいの?














 ねぇ、おじさん。






わかりにくいかもしれませんが、プロローグまたはエピローグはRYOが勝手に考えたエピソードであります。

そして、これから続く「林檎の木に桜の花が咲く頃に 上編・下編」は、主人公の書きとめた小説の一部としてご覧ください。


読者の心を動かし、考察を楽しめるような作品に仕上げていくので、少々長いかもしれませんが、ゆっくりと吟味しながら読み進めて頂けると嬉しいです。

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