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夢の中だけ勇者さま?  作者: 菅原よしひろう
ラクサーシャの地下迷宮
52/58

僕は夢を見た(50) トロール討伐

宿屋の自室で目覚める僕。

食堂で朝食を済ませ、地下迷宮へと潜る準備をする僕とエルマ。


よしひろう:「僕の方は準備出来たよ。」

エルマ:「私の方はもう少し時間をちょうだい。」

よしひろう:「了解。」


リターンの巻物の青い魔方陣を千切って地面に張り付ける。

今度は無くさないように雑嚢のポケットに赤い側を仕舞う僕。


エルマ:「出来たわ。」


エルマの準備が整ったようだ。


よしひろう:「それじゃ、行こうか?」


黙って頷くエルマ。

エルマの手をそっと握り、先日千切った赤い魔方陣の書かれた紙を目の前にかざす。


よしひろう:「リターン!」


リターンの魔法を発動させる。

目の前が真っ白に輝き始め何も見えなくなっていく。

次の瞬間、地下20階へと下りる階段に現れた僕とエルマ。


よしひろう:「凄いな。こんなの初めてだよ…」

エルマ:「私もよ。正直、驚いているわ。」


お互い顔を見合わせてしばらくの間、笑っていた。

一昨日の苦労を思えばなんて楽なんだろうかと思う。

1枚10万Gするのだけれど、その価値は十分にあるだろう。


よしひろう:「下りようか。」

エルマ:「うん。」


僕は剣を抜き、慎重に階段を下りていく。

後ろに続くエルマ。

階段を下りると曲がりくねった長い通路があった。

曲がる度に先の様子を窺いながら進む。

何度か曲がった先に何かが動く気配がした。

緊張感が走る。


よしひろう:「(シー)」

頷くエルマ。


音を立てずにそーっと様子を窺う。

曲がり角で顔を少し覗かせて様子を見るが薄暗くてよく見えない。


「カツン」


エルマの盾が壁に当たり、僅かに音を鳴らしてしまった。

その音に反応して素早くこちらへ向かってくる影。

目の前に剣が突き立てられる。

動悸が激しくなり冷や汗を流す僕。


謎の人物:「よしひろうさんじゃないですか。」

よしひろう:「エ、エリックさん?」

エリック:「危うく刺し殺すところでしたよ。」

よしひろう:「僕は少しチビったかも…」

エリック:「この先にヤバイ物がいるんですよ。」

エリック:「静かに付いてきてください。」


頷く僕とエルマ。

着いた場所にはロイともう二人の冒険者がいた。

ヒソヒソと話し始めるエリック。


エリック:「この先の角を2つ曲がった所にトロールが三匹、ゴブリンが20匹ほど居るんですよ。」

エリック:「こちらも手数が足りなくてここで困っていたところなんです。」

よしひろう:「どういう配置ですか?」


エリックがナイフを取りだし、地面に描き始める。

部屋の奥側にトロールが3匹。

部屋の手前側にゴブリンが集団でいる。


エリック:「ここはお互い手を組みませんか?」

よしひろう:「エルマ、どうする?」

エルマ:「手を組むわ。」


勝機が訪れたからか、エリック達の顔が笑顔に変わった。


エリック:「皆で一気に切り込めばなんとかなりますよ。」

エリック:「トロールはロイさんが魔法で倒してくれますし。」


エルマが顔を横に振った。


エルマ:「ダメよ。」

エルマ:「そのやり方ではゴブリンを倒す前にトロールが加勢するわ。」

エルマ:「混戦中に魔法を唱えられるの?」

ロイ:「出来るさ!」


むきになって答えるロイ。

エルマがそれを遮り、自分の考えを言い始めた。


エルマ:「ヒロは空を飛べるわ。」

エルマ:「ヒロはゴブリンを飛び越してトロールの所へ行くの。」

エルマ:「そこでトロールを惹き付けておいて欲しいの。」

エルマ:「ヒロがゴブリンを飛び越したと同時に私がゴブリンの集団に魔法の一撃を与えるわ。」

エルマ:「私の魔法の攻撃で倒せなかったゴブリンをエリックさん達が倒す。」

エルマ:「ゴブリンを全部倒したところでロイがトロールを倒す魔法を唱える。」

エルマ:「どうかしら?」


エルマを除く全員が神妙な面持ちで頷いた。

エルマの案を採用することで全員の考えが一致した。

皆がそれぞれ心の準備をする。


エルマ:「ヒロ、私が呪文を詠唱し始めたらトロールに向かって飛んでね。」

エルマ:「ゴブリンを抜けたタイミングでファイヤーボールを撃ち込むわ。」

よしひろう:「了解。」

エルマ:「爆発が落ち着いたところでエリックさん達が残りのゴブリンを倒しに行ってくださいね。」

エリック:「了解。」

エルマ:「エリックさんがゴブリンを倒し終わったら、ロイ、あなたの出番よ?」

ロイ:「分かってる!やってやるさ!」


大きく息を吸い込み深呼吸するエルマ。


エルマ:「始めるわよ。」

エルマ:「赤き炎よ現れ出でよ。」


エルマが呪文の詠唱を始める。


よしひろう:「飛翔!」


宙に舞い上がり一気にトロール目掛けて飛行する僕。

途中ゴブリン達の真上を通過した時に、僕の飛ぶ姿に驚くゴブリン達の顔が見えた。


エルマ:「集いて舞いて火球とならん。」エルマ:「ファイヤーボール!」


エルマの杖に付いた魔封石に小さな火が無数に収束し、大きな火球となる。

次の瞬間、その火球がゴブリンの集団目掛けて放たれた。


「ドゴォォォォーー!!」


ゴブリンの集団の中央付近で炸裂し火柱が上がる。

僕はトロールの真上に到着すると、クナイをトロールの頭目掛けて投げつけた。

トロールの頭に突き刺さるクナイ。

痛みで「ウガォ」と吠えるトロール。

ワイヤーを引っ張りクナイを手元に戻し、再び投げつける。

トロール3匹の注意を完全に僕に向けさせることに成功した。

その頃、エルマの放ったファイヤーボールの火柱が収まり、エリック達が生き残ったゴブリンを倒しにかかる。

生き残っていたゴブリンが2匹しかいなかったため、あっという間にゴブリンは全滅した。


エリック:「ロイさんの出番ですよ!」

ロイ:「おう!」


そう言うとトロール達から15mくらいの所まで走ってくるロイ。

ロイが呪文の詠唱を始める。


ロイ:「て、て、天空にて、か、輝きし、ひ、日の光。」


恐怖心からかどもって呪文の詠唱に手間取ってしまうロイ。

詠唱に詰まってしまうと、また初めから唱え直すということを繰り返していた。

そのうちにトロールがロイの存在に気がつき始める。

一匹のトロールがロイに近づこうとした瞬間。


エルマ:「ファイヤーボール!」


そのトロールが火柱に包まれた。

火柱で皮膚が焼かれながらもその皮膚が徐々に再生されていく。


エルマがロイの元まで駆け寄り、ロイの頬を手のひらで打った。


エルマ:「しっかりしなさい!」


我に返るロイ。

大きく息を吸い込み、目を瞑り詠唱を再開する。


ロイ:「天空にて輝きし日の光。命の源にて我が身を照す。その輝きをもって闇を払わん。」

ロイ:「サンライト!」


ロイの持つ杖の魔封石から前方目掛けて眩い光が放たれた。


よしひろう:「うわっ!眩しい!!」


一瞬で石化するトロール達。

地面に舞い降り、石化したトロールを指でチョンと触ると、砂のように崩れさった。

その跡に残されたのは拳大の魔封石3つ。

1つは薄紫色をしていて、残り2つは青色だった。


エリックと顔を見合わせる僕。

誰がその薄紫色の魔封石を手にするかで揉めることは予想できた。

肩をすくめる僕とエリック。


よしひろう:「どうしたもんかな?(苦笑)」

エリック:「ですね(苦笑)」


トロールを倒したのはロイだとはいえ、手柄で言うと圧倒的にエルマと僕の勝ちだったからだ。


エルマが先に口を開いた。


エルマ:「この紫の魔封石はロイ、あなたがお持ちなさい。」

エルマ:「その代わり、青い魔封石2個とゴブリンの魔封石は私たちが貰うわ。」


驚いた表情のロイ。

まさか自分がこの紫の魔封石を手にできるとは思っていなかったようだ。


ロイ:「いいのか?」

エルマ:「いいわ。あなたがトロールを倒したのですもの。」


交渉成立だ。

青い魔封石2個とゴブリンの魔封石23個を雑嚢にしまう僕。


ロイは大事そうに薄紫色の魔封石を抱き締めていた。

これでめでたく魔法学校を卒業できるからだ。


エリック:「今日はスーパーノヴァの魔法を間近で見れて幸運でしたよ。」

エリック:「まさかあそこまで凄まじいとは思わなかった。」

よしひろう:「そうなの?」

エリック:「まぁ、他の人の魔法を見れば分かりますよ(笑)」

エリック:「あ、僕らはそろそろ出発します。」

よしひろう:「またどこかでお会いしましょう。」

エリック:「よしひろうさんの探索の無事を祈ってます!」


手を振って別れる僕たちとエリック達。


よしひろう:「エルマ?」

エルマ:「何?」

よしひろう:「あの魔封石、ロイに渡しちゃって良かったのか?」

エルマ:「あんなの玩具みたいなものよ。」

エルマ:「私が欲しい物とは違うわ。」

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