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夢の中だけ勇者さま?  作者: 菅原よしひろう
王都へ
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僕は夢を見た(40) 王都へ

王都の宿屋のベッドの中で意識を取り戻した僕。

よしひろう:「朝か?」

ベッドから起き出し、服を着替える。

少しすると部屋をノックする音が。

誰だろう?とドアを開けるとセナが扉の前に立っていた。


セナ:「朝食を摂りにいくぞ。」

よしひろう:「ふぁーい(あくび)」


あくびをしながらセナに付いていく。

宿屋の食堂はバイキング方式だった。

好きなものを皿に乗せていく。

席に座るとお互い食べ始めた。


よしひろう:「セナは今日何をするの?」

セナ:「騎士昇格試験の受付を済ませてくる。」

セナ:「その後は…洋服とか見にいこうと思う。」

セナ:「ここにしか売ってない物が沢山あるからな。」


と嬉しそうな様子のセナ。

僕は武器防具屋に行ってみようかな。

朝食後、それぞれの部屋に戻る二人。

今日は自由時間だ。


宿の主に武器防具屋の場所を聞き、そこに向けて歩みを進める僕。

途中、目の前にそびえるお城が見えた。

朝日を浴びてより荘厳な雰囲気を醸し出す王城。


よしひろう:「綺麗だ…」


そうこうしているうちに武器防具屋に着く。

店内へと入る僕。

ドアに付けてあるベルがカランカランと鳴った。

店主がこちらを見ている。


よしひろう:「(まさかここも一元さんお断り?)」


などと考えていると、店主が話しかけてきた。


店主:「お兄さん、いい得物を持ってるねぇ」

店主:「ちょっくら見せてくれねえか?」

よしひろう:「あ、いいですよ。」


素直に応じる僕。

エリーから貰った剣を店主に手渡す。

剣を上から下から横からとじっくり眺める店主。

次に剣を抜いて剣先をジッと見る。


店主:「こいつは凄いな…」

店主:「しかも王家の紋章が付いているときた!」

店主:「兄さん王家の騎士か?」

よしひろう:「いや、貰ったんですよ。」

店主:「こんな凄い剣、そう簡単には手に入らないぞ?」

店主:「いいものを見せてもらった。」

店主:「ありがとよ。」


と剣の柄を僕に向けて返してくる店主。


店主:「今日は何をお探しで?」

よしひろう:「特には決めてないんですよ。」

よしひろう:「どんな物があるのか物珍しくて来てみただけです。

店主:「そうかい、そうかい、ゆっくりと見て行ってくんな!」


店内をゆっくりと見ていく僕。

あるものに目に入った。


外側に金属の板が仕込んである黒い籠手だ。

それを手に持ってみる。


店主:「そいつは相手の剣を腕で受け止めることが出来る籠手だ。」

店主:「先端に鉤爪が付いてるだろ?」

店主:「それで相手の剣を挟み、ヘシ折ることだってできるぞ。」

よしひろう:「へぇー」


と感心しながらそれを眺める僕。

値段を見ると65000G。

買えなくもない値段。


よしひろう:「これに金色のモールドを二本ずつ入れるのできますか?」


店主:「すぐにできるよ!」

よしひろう:「買った!」


代金を店主に払う。

さっそく金のモールドを入れ始める店主。

小一時間程でできあがった。


店主:「今着けているのを下取りしてやるよ。」

店主:「10000Gでどうだ?」


というのですぐに了承した。

新しい籠手を装着しご満悦な僕。

額の金の細工と合っていてさぞや格好いいに違いないと一人悦に入る。

気がつくと昼が過ぎようとしていた。

久しぶりだし、エリーに会いにいくことに。

お城の門にある詰め所に行き、衛兵にエリーから貰った通行証を提示する。

衛兵は無愛想だったが、その通行証を見せるや否や態度が急変した。

急に僕への扱いが丁寧になったのだ。


衛兵:「申し訳ありませんが、武器はここで預からせていただきます。」


と言われたので、エリーから貰った剣を衛兵に差し出す。


するとその剣を見た衛兵がさらに畏まり


衛兵:「大変失礼をいたしました!剣はそのままお持ちください!」


と突き返してきた。

いったい何のことやらと当惑する僕。


衛兵:「こちらへどうぞ」


と僕を先導してくれる衛兵。

そのまま城門をくぐり城の中へと入っていく。

城は大きく3つの建家からなっており、向かって左側の5階建ての建物へと案内された。

五階の青い絨毯が敷かれた綺麗な調度品が並ぶ待合室に通され。

ここで待つようにと僕に告げ、どこかへ消える衛兵。

しばらく待っていると懐かしい声が聞こえてきた。


エリー:「まぁ!ヒロっ」


立ち上がって一礼をする僕。


よしひろう:「おひさしぶりです。エリー。」


僕の手を握り、こちらへ来いとばかりに引っ張って自分の部屋へと招き入れるエリー。


エリー:「リズから聞いたわよ!」

エリー:「悪い人達をやっつけたんですって!?」

エリー:「リズのお風呂を覗いたの?」


と質問攻めに合う。

そうやって話をしているうちに夕暮れ刻が近づいてきていた。


エリー:「ねぇ、ヒロ…」

よしひろう:「何?」

エリー:「飛びたいの。」

よしひろう:「……」


エリーに手を引かれ、大きなテラスに出てきた。

エリーが両手を広げる。

エリーの体を後ろから抱き締め、飛翔する僕。


王都が眼下に広がる。

城の周りを何度も旋回する僕とエリー。

両手を広げて全身で風を受けるエリー。

30分ほどは飛んでいたと思う。


よしひろう:「体が冷えるから、そろそろ戻ろうか?」

エリー:「うん。」


元居たテラスに舞い降りる二人。

抱き締めた僕の手を握るエリー。

ちょうどその時に姫様付きのメイドがエリーを呼びに来た。


メイド:「姫様、お食事の準備が整いました。」

エリー:「はーい。」


僕はここでお暇することにした。


よしひろう:「エリー、またね!」


エリーは笑顔で手を振ってそれに答えた。

テラスから飛翔し、城の外へと向かう僕。

陽が沈み夕闇が迫ってきていた。

街の上空を飛び、宿屋へと急ぐ。

すると眼下で人が争う姿が見えた。

場所は路地裏の人気の無い場所。

しかも大勢対1人で。

見かねて助けに行く。

まずは両者の間に舞い降りた。


よしひろう:「多勢に無勢とはどいうことだ?」


多勢の方を見ると、見るからに悪そうな無頼漢、方や1人の方は赤い髪を腰の辺りまで伸ばした20代後半とおぼしきけばけばしい女性だった。

女性の方は怪我をしているらしく、左腕から血を流している。


無頼漢:「俺らが「疾風」だと知って手をだしやがるのか?」


と剣を僕に向けて振ってきた。

僕はスルーでそれをかわしつつ剣を抜かずに鞘ごと相手の顔面に叩きつけた。

鼻血を吹き出しながらその場に倒れる無頼漢。

何が起きたのか分からず動揺する無頼漢。


無頼漢:「今日のところは引けー!」


と言って逃げていった。


よしひろう:「大丈夫ですか?」


と女性に声をかけると、その女性は僕に剣を向けて来た。


女性:「私を「烈風」の(クレナイ)だと知って助けたのか!?」

よしひろう:「いや、知りませんでした。」

よしひろう:「「烈風」は聞いたことがあります。」

よしひろう:「悪いやつらの1つですよね?」

紅:「そうさ。その頭が私だ!」

よしひろう:「えーっと…なんで一人で戦ってたんですか?」

よしひろう:「仲間は?」

紅:「仲間はみんな「疾風」に行きやがったよ。」

よしひろう:「意味がわからないんですけど…」

よしひろう:「とりあえず、傷の手当てだけでもしときましょうよ?」


と宿屋の僕の部屋へと紅を連れてきた。

傷の手当てをしながら事の成り行きを聞いたところによると

「旋風」が全滅した後にその後釜を巡る争いが起きた。

「烈風」は静観を決め込んでいたが内部から裏切り者が出て、大半が「疾風」に寝返ったそうだ。

今の生き方が嫌になった紅が「烈風」を解散すると言ったとたん、他のメンバー全てが寝返って襲ってきた。

という事らしい。


紅:「私の首には3000万Gの賞金が掛かってるからね…」

紅:「今までやってきた事の報いだよ。」

よしひろう:「……」

紅:「私にゃもう仲間はいないからな。」

紅:「せっかく助けてもらったってーのに情けない話さ。」

紅:「役人に付き出すって言うのなら止めやしないよ。」

紅:「ただ、最後に真っ当な人生を歩みたかった。」


少し涙ぐむ紅。

女の涙にとことん弱い僕。

お人好しにも程があるのは自分でも分かっていた。


よしひろう:「その言葉は本心ですか?」

紅:「ああ、本心だ!」

紅:「やり直せるものならやり直したいさ!」

よしひろう:「自首するのはどうですか?」

紅:「自首なんてしたら縛り首だよ!」

よしひろう:「明日、僕は陛下とお会いします。」

よしひろう:「その際、陛下に恩赦を申し出てみます。」

紅:「!?」

よしひろう:「一緒に陛下の元へ行きませんか?」

よしひろう:「もし、赦されなければ…」

紅:「命が無いって事くらいは分かるさ。」

紅:「でも、なんだってあんたのようなのが陛下と会えるのさ?」

よしひろう:「「旋風」を葬ったのが僕だから。」

よしひろう:「明日、報償金の授与式があるんですよ。」

紅:「あんたがあのガルーダを殺ったっていうのか!?」


驚愕の表情を見せた後、しばらく考え込む紅。


紅:「わかった。他のヤツに殺られるくらいなら自首する。」


部屋をもう一部屋借り、そこに紅を宛がった。

明日の成り行きが不安だ…

意識が薄らいで行く。


目が覚めた。

横ではスマートフォンのアラームが鳴っている。

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