僕は夢を見た(38) その新たなる能力を
いつもの城門の前に立つ僕。
爽やかな風を全身で受ける。
空を眺めると雲が流れていた。
街の中央の広場にある求人板に向け歩き始める。
途中、八百屋でリズの親父さんに挨拶をする。
よしひろう:「ちーっす。」
リズの親父さん:「よしひろう様、おはようございます。」
と馬鹿丁寧に挨拶を返してくる。
よしひろう:「やめてくださいよ!なんか気色悪いっす!!」
リズの親父さん:「でもよ?娘の恩人だしなぁ…」
よしひろう:「今まで通りでいいじゃないですか。」
よしひろう:「ね?」
リズの親父さん:「じゃあ、おう!おはよう!」
と拳の親指を立てグーサインをしながら挨拶をするリズの親父さん。
よしひろう:「リズの様子はどうですか?」
リズの親父さん:「それがさぁ、昨日帰ってきてからずっと兄ちゃんの話をしてくるんだ。」
リズの親父さん:「悪い奴等をバッタバッタと斬り倒していくのが格好良かったみたいでさ。」
よしひろう:「(あー、僕が戦う姿を見てられちゃってたのか…)」
よしひろう:「でも、怪我が無くてほんとに良かったです。」
リズの親父さん:「ほんとに、ありがとよ
。」
と僕にリンゴを一つ投げて来た。
それを受け取り、かじりつく僕。
八百屋を離れ街の中央の求人板の前に着いた。
求人板の依頼内容を眺める。
求人板は街の情報伝達の役目も兼ねており、そこには昨日の事件のことも書かれていた。
戦死者の名前も書かれており、見てて心が痛む。
次に騎士宿舎へと向かった。
守衛に挨拶をする。
よしひろう:「ちわーっす。」
守衛:「ようこそお越しいただきました!」
と直立して挨拶をする守衛。
よしひろう:「どうしたの?そんなにあらたまっちゃって。」
守衛:「この街を、そして騎士を守ってくださったよしひろう様に失礼があってはならないと…」
よしひろう:「やめてくださいよー。」
よしひろう:「今まで通りでいいじゃないですか。」
守衛:「そ、そうでしょうか?」
よしひろう:「そうです!」
よしひろう:「じゃ、もう一回。」
と挨拶をしなおす僕。
よしひろう:「ちわーっす。」
守衛:「こ、こんちはー(汗)」
僕はうむと頷き騎士宿舎へと入る。
武道場へと向かう。
武道場は急ごしらえの救護施設となっていたのだ。
そこでは十数人がベッドに横たわっていた。
僕はアスター隊長の元へと行った。
アスター隊長:「こんな姿ですまない。」
よしひろう:「大丈夫…じゃないですよね?」
アスター隊長:「正直なところ、非常に痛む。」
と苦笑いを見せるアスター隊長。
アスター隊長:「今動ける騎士は15名ほどだ。」
アスター隊長:「何かあっても十分に対応できる人数とは言い難いな。」
頷くことしか出来ない。
返す言葉が見つからないのだ。
アスター隊長:「話は変わるが…」
アスター隊長:「昨日の君の働きは見事だった。」
アスター隊長:「壁抜けをああいう使い方に工夫するとは実に見事だ。」
アスター隊長:「上にはちゃんと報告しておくからな(笑)」
褒められて照れ気味になる僕。
よしひろう:「いや、あれはまぐれですよ。」
よしひろう:「同じことを今やれるかと言われると自信はありません…」
僕の腕を握ってくるアスター隊長。
アスター隊長:「これからも我々の助けになって欲しい。」
よしひろう:「はい。」
笑顔で返事をする僕。
そうこうしていると、セナがやって来た。
アスター隊長の見舞いに来たようだ。
セナは僕の傍らに立つやいなや僕の肩を揉みながら言った。
セナ:「エアリスの勇者様っ」
よしひろう:「ぼ、僕がですか!?」
その言葉にビックリする僕。
セナ:「そうよ、君がいなければ、エアリスの騎士隊は全滅していたかもしれない。」
セナ:「君の戦いはそれだけ重要な転機をもたらしたの。」
セナ:「私にとって、君は紛れもない勇者様よ。」
そう言うと、僕の額にキスをするセナ。
僕の顔がみるみる赤くなっていくのが自分でも分かった。
アスター隊長はセナと今後について重要な話があるらしかったので、僕は席を外した。
ロッカールームに行き、自分のロッカーの中に釣ってある忍者スーツを眺めながら呟いた。
よしひろう:「勇者か…」
そう呼ばれるにはまだ荷が重いと感じる僕。
夢で見た女の言葉が脳裏をよぎる。
女:「全てを…破壊することだって…出来るのよ?」
意識が薄れてきた。
目が覚めた。
横ではスマートフォンのアアームが鳴っている。
そのアラームをすかさず止める僕。




