僕は夢を見た(36) その新たなる能力を
いつもの城門の前に立っている僕。
いつもと変わらない朝。
爽やかな風が吹いている。
街中央の広場にある求人板に向かって歩く。
途中、八百屋前でリズの親父さんに挨拶をする。
よしひろう:「ちわーっす。」
リズの親父さん:「おう!おはよう!」
これもいつもの事。
求人板の依頼の内容を確認する。
特に変わった依頼は無い。
例の「旋風」に関わるような事件が起きていないかチェックも兼ねての確認だ。
次に騎士宿舎へと向かう。
守衛に挨拶をする。
よしひろう:「ちわーっす。」
守衛:「こんちはー。」
そこに宿舎の中からリズが現れた。
よしひろう:「お!リズ!おはよう!!」
リズ:「おはよう!兄ちゃん。」
よしひろう:「またエリーに手紙か?」
リズ:「うん!」
と嬉しそうに頷くリズ。
楽しくて仕方がないようだ。
リズ:「エリーったら、兄ちゃんの事ばかり聞いてくるんだぜ?」
リズ:「兄ちゃんの事、好きなんじゃねーかな?(笑)」
よしひろう:「バカ。相手はお姫様だぞ?んなワケねーじゃん(笑)」
リズ:「だよな!ウチもそう思った。」
リズ:「エリーは変態にはもったいない。」
よしひろう:「またその話を持ち出すのか!(苦笑)」
よしひろう:「いい加減、許してくれよう。」
そんな感じで30分ほど話をしただろうか。
いい加減時間も過ぎたので別れることにした。
よしひろう:「ちゃんと真っ直ぐ家に帰るんだぞ!」
リズ:「わかってるって!」
僕は武道場へと向かう。
セナに剣の稽古をつけてもらうためだ。
セナ:「脇が甘い!」
よしひろう:「(バキッ!)痛てててて」
」
セナ:「足が遊んでいるぞ!」
よしひろう:「(ドスッ!)痛ってー」
一時間ほど稽古をしただろうか。
仰向けになって休憩する二人。
セナ:「(ハァハァ)私を越える日も近いかもしれんな。」
よしひろう:「(ハァハァ)こんだけしばかれたのに、それは無いでしょ。」
息が整ったので再び稽古を始めようとした時、アスター隊長が武道場に現れた。
アスター隊長:「部屋まで来てくれ。」
何事かと顔を見合わせる僕とセナ。
部隊長室に行くと、そこにはリズの親父さんの姿があった。
見ると顔が真っ青になっている。
よしひろう:「親父さん、どうしたんっすか?」
リズの親父さん「…れた」
よしひろう:「今なんと?」
リズの親父さん「リズが拐われたんだ!」
セナ:「!?」
アスター隊長が手紙のようなものを読み上げる。
アスター隊長:「娘は預かった。」
アスター隊長:「無事に返して欲しければ5000万Gを東の平原にある湖まで持って来い。」
アスター隊長:「時刻は正午きっかり。」
アスター隊長:「騎士は全員、エアリスの森の入り口まで徒歩で来る事。」
アスター隊長:「金を無事に受け取ったら、エアリスの森の入り口で人質を解放する。」
アスター隊長:「以上だ。」
呆然とする僕。
するとセナが僕の両肩を叩いた。
セナ:「しっかりしろ!よしひろう!!」
ハッと我に返る僕。
アスター隊長:「今からエアリスの全騎士に召集をかける。」
リズの親父さん:「なんとか…なんとか…娘を…」
泣き崩れるリズの親父さん。
アスター隊長に促され、自宅へ帰るリズの親父さん。
エアリスの騎士30名と騎士見習いの5名が武道場に集められた。
アスター隊長が話を始める。
アスター隊長:「八百屋のご息女が誘拐された!」
アスター隊長:「賊は条件として騎士全員に徒歩でエアリスの森に来るよう要求している。」
アスター隊長:「私は人命を第一に考えている。」
アスター隊長:「この要求に従うつもりだが、異論があるものは居るか?」
異論がある者はいなかった。
アスター隊長:「ただし、人質の安全が確保出来しだい賊を討伐する!」
騎士達:「おー!」
僕も何か出来ないか必死で考えた。
考え、思い付いた事を提案した。
よしひろう:「賊は僕が空を飛べる事を知らないはずです!」
頷くアスター隊長。
よしひろう:「賊が意識を反らした隙に上から急襲し、リズは僕が救出します!」
よしひろう:「その場での判断になりますが、何か気を反らすような行動をしてください。」
よしひろう:「リズを助けた後はお金の受け渡し場所まで飛んで行き、騎士隊を誘導します。」
騎士達全員が同意したとばかりに頷いた。
アスター隊長:「そうとなると、この作戦の成否はよしひろう君のリズ救出如何にかかってくるが…」
アスター隊長:「君にその覚悟はあるか?」
僕の目をジッと見つめるアスター隊長。
アスター隊長:「リズの生死を背負う覚悟は君にあるか!」
よしひろう:「はい!!」
よしひろう:「リズは僕の命に代えてでも守ってみせます!」
セナが僕の傍らに来て言った。
セナ:「そう気負いすぎるな。」
セナ:「リズを救い、よしひろうも無事なら、それが一番なのだから。」
作戦の概要が決まり、会議は解散した。
お金は騎士隊の依頼で銀行が用意することになった。
騎士宿舎を出て城門前の石に座る僕。
空を見ると真っ赤な夕焼けだった。
血のように真っ赤な赤。
その空を見つめているとしだいに意識が薄れて行った。
目が覚めたのだ。
横ではスマートフォンのアラームが鳴っている。




