僕は夢を見た(33) その新たなる能力を
いつもの城門の前に立っている僕。
でも、今までの僕じゃあ無い。
一歩成長したのだ。
そう、先日新しい技をマスターしたのだ。
「壁抜け」だ。
僕はこの技を「スルー」と名付けた。
早く誰かに見せたくてしょうがない。
さっそく騎士宿舎へと向かう。
途中、リズの親父さんに挨拶をする。
よしひろう:「ちーっす。」
リズの親父さん:「おう!おはよう!」
いつもの威勢のよい返事が返ってくる。
よしひろう:「リズは居ますか?」
リズの親父さん:「いるぜ。呼ぼうか?」
僕はここで良からぬ事を思い付いた。
リズをビックリさせてやろう。
うしし。
よしひろう:「いや、いいです。」
と、僕はリズの親父の八百屋の横にある家と家の間だにあるような細い道へと入っていった。
壁越しにリズの鼻歌が聞こえてきた。
よしひろう:「この辺かな?」
右手を壁に当て、意識を集中する。
よしひろう:「スルー!!」
壁に向かって進む僕。
右手から壁に吸い込まれるように向こう側へと通り抜けた。
通り抜けた瞬間、目に入ったのは…
全裸のリズだった。
そう、そこはお風呂場だったのだ。
お互いに目が合い、一瞬で凍りつく二人。
慌てて前を隠し言葉にならない声を発するリズ。
リズ:「@ω÷Ω□∋∀○×△※!!!」
僕めがけて色んな物が飛んで来た。
タワシ、石鹸、ブラシ…
僕はなんとか「スルー」で外に逃げようとしたが、意識が集中できない。
桶が頭に当たった瞬間…
目が覚め…なかった。
気がつくとリズの親父さんの家の応接間らしき場所に寝かされていた。
部屋の中は和室らしく畳とちゃぶ台が置いてある。
横を見ると、リズの親父さんと、カンカンに怒っているリズが居た。
リズ:「目ぇ覚ましたか?変態兄ちゃん!!」
リズの横で苦笑いしているリズの親父さん。
僕はサッと土下座モードに入る。
よしひろう:「覗く気は無かったんだ!事故なんだ!!」
よしひろう:「リズをビックリさせてやろうと思っただけなんだ!」
リズ:「死ぬほどビックリしたわ!このど阿呆兄ぃ!!」
よしひろう:「まさか風呂だとは思わなかったんだよ!」
よしひろう:「ほんとにゴメン。」
リズ:「見ただろ?」
よしひろう:「何を?」
リズ:「ウチの裸!」
よしひろう:「見てない見てない!」
よしひろう:「その前に桶が当たって目の前真っ暗だったよ!」
リズの親父さんがまぁまぁと仲裁に入ってくれた。
リズの親父さん:「で、どうやってうちの風呂場に入ったんで?」
僕は新しく壁を抜ける技を習得した事を説明した。
リズの親父さん:「へぇ~。たまげたもんだ。」
リズ:「覗きにしか使えない変態技じゃん!」
リズはまだ怒りが収まっていないご様子。
土下座で平謝りするしかない。
リズの親父さん:「な?悪気は無かったんだから許してやれよ。」
リズ:「責任取れとまでは言わないけどさ…」
顔を赤らめるリズ。
リズ:「今度だけだぞ?」
よしひろう:「はい。ごめんなさい。」
リズ:「エリーに言いつけてやるからな!」
よしひろう:「それだけはご勘弁を…」
リズの親父さん:「ところでさ…」
リズの親父さん:「どうだった?」
とオッパイの形を手で形取るリズの親父さん。
リズの親父さん:「成長具合は?」
よしひろう:「まだまだっすね(笑)」
と言った瞬間、リズの拳が僕の顔面に飛んできた。
目が覚めた。
朝の6時だった。




