僕は夢を見た(32) その新たなる能力を
周囲を見渡すと、そこはビルの谷間の公園。
夕日のせいか、全てが真っ赤に染まっている。
地面もブランコもジャングルジムも鉄棒も全て真っ赤。
周囲のビルを見上げると、ビルも真っ赤に染まっていた。
空だけがオレンジ色の世界。
よしひろう:「あぁ、また夢の世界か…」
と呟く僕。
よしひろう:「それならば!」
と空へと飛翔する。
ビルの谷間を電線を避けながら飛び、交差点の電柱の上に降り立った。
周りを見渡しても車も人も誰もいない世界。
一番高いビルの屋上まで行き、腰かけて夕日を眺める。
よしひろう:「なんて赤いんだ…」
夕日は沈みそうで沈まない。
時間が止まっているかのようだった。
ここで少し好奇心が湧いてきた。
よしひろう:「ビルの中はどうなっているんだろう?」
ビルの屋上の扉を開けようとしたが閉まっ
てて開かない。
地上まで降りて入り口の自動ドアを開けようとしたが頑として開かなかった。
そのビルの5、6階辺りまで飛翔する僕。
全面ガラス張りの壁を眺めながら考えた。
よしひろう:「夢だよな?」
よしひろう:「夢なら出来るんじゃないか?」
ガラスに右手を伸ばし、ピッタリと付ける。
僕は念じてみた。
よしひろう:「(通れる、通れるんだ!)」
右手がガラスの壁に吸い込まれていく。
そのまま前へと進む僕。
体がガラスの壁を通り抜けていく不思議な感覚。
さらに進むと、ガラスの壁を通り抜けてビルの中に入っていた。
ビルの中は外の赤色とは違い、薄暗かった。
周りを見るとオフィスのようだ。
仕切られた区画にはパソコンが置いてあり、コピー機もある。
部屋の角には観葉植物が置かれている。
よしひろう:「壁を通り抜けた!」
と喜んでいた矢先に拍手の音が聞こえてきた。
ゆったりとした拍手の音。
「パチン…パチン…パチン…」
その音のする方に目をやる。
スーツ姿の女が壁に寄りかかるように立っていた。
薄暗くてよく見えない。
近づいていく僕。
容姿が分かるくらいに近づいて驚いた。
あまりにも妖艶な美女だったからだ。
豊満な胸、それを押し上げるように組んだ腕、括れた腰、真っ赤な唇。
女がゆっくりな口調で話し始めた。
女:「おめでとう。また一つ…出来る事が増えたわね…」
よしひろう:「あなたは誰?」
女は僕の質問を無視して話を続ける。
女:「あなたが…一番成長が遅くて…心配だったのだけれど…」
女:「これで…もう少し…様子を見させてもらうわ…」
女:「あなたは…何も分かって…ないでしょ…」
よしひろう:「分かるって、何を?」
女:「ここは…あなたの世界…」
そう言うと女は僕に近づいてきた。
目の前に立つと僕の喉から顎にかけて指でなぞりながら言った。
女:「全てを…破壊することだって…出来るのよ?」
よしひろう:「どういう意味?」
女は僕の唇に指を押し付けて言った。
女:「私を…好きなように…だってできる…」
よしひろう:「本当なのか?」
と言いつつ女の腰に手をやり、抱き寄せる僕。
頷く女。
女の顔が目と鼻の先にあった。
その女の唇に自分の唇を重ねる。
女の舌が僕の口の中に入って来る。
舌を絡ませる僕と女。
目が覚めた。
気がつくと毛布の端を咥えていた。
よしひろう「俺って欲求不満なのか!?」
と頭を抱える僕。




