僕は夢を見た(26) 街に皇女がやって来た
いつもの城門の前に立つ僕。
最近、セナがあまり僕の相手をしてくれない。
近々、王都で騎士への昇格試験があるためだ。
それに向けて独りで必死に鍛練しているセナ。
よしひろう:「僕もクナイの練習しなきゃな…」
などと考えつつ騎士宿舎へと向かう。
途中、八百屋でリズの親父さんに挨拶。
よしひろう:「おはようございまーす。」
リズの親父さん:「おぅ!おはようっ!」
そういえば、最近、求人板見に行ってなかったな…
働く必要が無くなったせいか、求人板に全く興味が湧かなくなった僕。
なんか、ダメな人生を送ってるような気がする。
騎士宿舎に着くと、何やら慌ただしい雰囲気。
守衛さんに聞いてみる。
よしひろう:「ちわーっす。」
守衛:「おはようございます。」
よしひろう:「何かあったんですか?なんか慌ただしいみたいですけど。」
守衛:「よしひろうさん、知らないんですか?」
守衛:「王都からお姫様がいらっしゃるんですよ!」
守衛:「その準備やら何やらでもう大変で。」
よしひろう:「へー…」
なんだか邪魔しては悪いのでその場を後にする僕。
確かに街全体が慌ただしいような気がする。
よしひろう:「久しぶりに求人板にでも行ってみるか。」
求人板を眺める。
眺めると、どれもパッとしない依頼ばかりだ。
求人板の向かいにある宿屋をみると大改築でもしているのか、大変な事になっていた。
求人板の受付嬢から聞いたとこによると、お姫様が泊まるので内装を大幅に変更しているらしい。
よひひろう:「へー…(まさに他人事)」
呑気に宿屋の改装を見ていると、向こうからセナがやって来る。
しかも普段とは違う神々しいばかりの美しい衣装を身に纏って。
長く美しい髪とは対照的な純白のドレスに銀の胸当て…
よしひろう:「綺麗だ…」
と見とれていると、セナが僕の胸ぐらを掴んで
セナ:「一緒に来い!!」
と言い放った。
よしひろう:「セナ、お、怒ってるの?」
慌てて問いただす僕にセナは違うと首を左右に振った。
セナに連れて来られたのは部隊長室。
アスター隊長が何やら僕に用事があったようだ。
よしひろう:「あの…何でしょうか?」
アスター隊長:「王都から重要なお方が客人として来られる。」
よしひろう:「お姫様がどうとか聞きましたけど…」
アスター隊長:「そうだ。第三皇女のエリザベート様だ。」
よしひろう:「はぁ…」
アスター隊長:「一応、名目上は地方の視察ということにはなっているが…」
アスター隊長:「君に会いに来られるのだよ!」
よしひろう:「へ!?」
アスター隊長:「到着は今日の夕刻。」
アスター隊長:「よしひろう君も着替えて待機しておくように。」
よしひろう:「えぇぇ!?」
着替えるといったって、忍者スーツしか持っていない僕。
よしひろう:「あ、あの格好でいいんですか?」
アスター隊長:「今のその格好よりは数倍マシだろう。」
よしひろう:「わ、わかりました。」
いそいそとロッカールームで服を着替える僕。
帽子は被らないでおこう。
ひとつ分からないのは「なんで俺に会いに来るんだ!?」って事。
着替え終わったので再び部隊長室に行く。
アスター隊長&セナ:「うん、それなら大丈夫だ。」
と二人とも笑顔を見せてくれた。
聞くところによると皇女様とそのお付きの者数名、護衛の騎士が50名ほどでこの街に来るらしい。
騎士50名はこの騎士宿舎で寝泊まりするというので急いで部屋を用意していたのだ。
いよいよ夕刻が迫ってきた。
アスター隊長、セナと僕は改装の終わった宿屋の前で待機する。
待ちぼうけ状態であくびが出そうになったその時、槍を装備した騎士十数名を先頭に馬車が2台入って来た。
緊張する僕。
チラッと横目でセナを見ると、セナも緊張しているようだった。
宿屋の前に停車する馬車。
後側の馬車からメイド服を着た女性が四人降りてきた。
前側の馬車の出入り口両サイドに2人のメイドが立ち、もう2名が赤い絨毯を馬車の入り口から宿屋の中へと敷いていく。
アスター隊長とセナが片膝を着いて跪く。
慌ててそれを真似る僕。
準備が出来た事を馬車内にノックで知らせるメイド。
馬車の扉が開き、女性が降りてくるのが分かった。
アスター隊長が口を開く
アスター隊長:「エアリスの街の守備隊隊長をしていますアスター・ライオネルです。」
女性:「アークランド第三皇女のエリザベートです。」
と、手を差し出すエリザベート。
その手に口付けをするアスター隊長。
アスター隊長:「この者はエリザベート様の身辺を警護するために私供から選ばせていただきました。」
とセナに挨拶するよう促すアスター隊長。
セナ:「セナ・ウェハースです。」
エリザベート:「セナさんですね。よろしくお願いします。」
と手を差し出すエリザベート。
その手に口付けをするセナ。
次は僕の番だ(生唾を飲む)。
うまく自己紹介できるだろうか?
アスター隊長:「この者が…」
と言いかけたその時、エリザベートが先に口を開いた。
エリザベート:「あなたが「よしひろう」ね!」
え?っと顔を上げると、目の前に前屈みで僕を見つめる美少女がいた。
金色の長いストレート髪、横髪は縦ロール。
印象に残る愛らしい笑顔にキラキラした猫のような瞳。
容姿に合った薄い緑色のドレス。
歳は13、14歳といったところか。
前屈みのせいで弛くなった胸元から成長途中の胸の谷間が!!
目がそこに釘付けになる僕。
よしひろう:「はひ。よひしろうです。」
少し噛んじゃった。
メイド:「エリザベート様!」
エリザベート:「あら、いけなかったわね…」
とかしこまって挨拶をしなおすエリザベート。
エリザベート:「よろしくお願いします。よしひろうさん。」
挨拶を済ませると、メイドに促されて宿屋の中へと入って行くエリザベート。
その姿を見送るアスター隊長以下3名。
姿が見えなくなると同時にため息をつく3人。
なんとかこの場は乗り切った。
アスター隊長:「エリザベート様の警護は頼んだぞ。」
その言葉にセナが「はっ!」と答える。
よしひろう:「僕はいったい何を?」
アスター隊長:「それは私にも分からない。」
と苦笑いするアスター隊長。
今日のところはこれで終わりらしい。
その場を離れ街の城門前に行く僕。
夕闇迫る中、城門前の石に腰掛け、一番星を見つけて少し嬉しくなった。
今日も疲れた…
徐々に意識が薄らいでいく。
目が覚めた。
横ではスマートフォンのアラームが鳴っている。
慌ててそれを止める僕。
あの胸元を思い出して顔が弛くなる。
眼福、眼福。




