僕は夢を見た(21)
いつもの城門の前に立っている僕。
借金は51万G。
忘れちゃあいない。
求人板へと向かう。
道すがらリズの親父さんに挨拶する。
よしひろう:「こんにちはー」
リズの親父さん:「おぅ!こんちは!」
リズの親父さん:「元気してるか?(笑)」
よしひろう:「ぼちぼちっすわ(笑)」
よしひろう:「リズは?」
リズの親父さん:「奥にいるぜ?呼ぼうか?」
よしひろう:「いや、今日はいいです。」
そう言って八百屋を離れる。
求人板の前に立ち、依頼を眺める。
どれも労力のかかる割りに安い依頼ばかりでやる気が起きない。
今日の俺、モチベーション低っ!
次に騎士宿舎に向かった。
守衛に挨拶をする。
よしひろう:「こんちはー」
守衛:「こんちはー」
門を通りすぎようとした時にアッとした表情で守衛が口を開いた。
守衛:「アスター隊長からの言付けで、着替えて武道場まで来るようにと。」
よしひろう:「わかりましたー」
と宿舎のロッカールームへと行く。
ロッカーからあの衣装を取りだし着替え始める僕。
この格好をするのは何回目だろうか?などと考えながら着替えた終わった。
先日買ったクナイを腰の右側に差し、貸してもらった木剣を腰の左側に差す。
準備完了だ。
武道場へと向かう。
武道場には街の守備隊の騎士全員が集まっているようで、世間話でもしているのかザワザワとしていた。
その中にアスター隊長を見つけ、そちらに向かう僕。
アスター隊長も僕に気づいたようで、右手でこちらへと行く方向を僕に促した。
その右手の先には僕と同じような格好をした男が4人。
それぞれが腰にはクナイを6本差し、左腰には小刀らしき得物。右肩には弓を掛け、背中には矢がいっぱい入った筒を下げている。
僕と違うのは衣装の色が迷彩色だということと、額部分に飾りがついていないという点だ。
その男の1人が話しかけてきた。
男:「君がよしひろう殿か?」
よしひろう:「はい。そうです。」
口の覆面部分をおろし笑顔で答える僕。
一人一人と握手をしていく。
男:「我々は仕事柄、顔と名前は明かせぬのですまない。」
男:「我々の事は一人称でレンジャーと呼んでくれ。」
よしひろう:「はい。わかりました。」
アスター隊長が僕の耳元で囁く。
アスター隊長:「彼らは一騎当千の精鋭だぞ。」
レンジャー:「よしひろう殿もレンジャーなのか?」
よしひろう:「いやいや!めっそうもない。格好だけです。」
と大きく顔を左右に振る僕。
本物を前にすると恥ずかしくてたまらない。
レンジャー:「腰の得物を見てそう思っただけだ(笑)」
レンジャー:「恥をかかせるつもりは無かった。すまなかった。」
そこでハッと気がついた。
よしひろう:「レンジャーさん!これの使い方を教えて頂けませんか?」
と腰に差していたクナイを取り出す。
別のレンジャーが任せろとばかりに前に歩み出てきた。
レンジャー:「いいか?ここをこうやって持つんだ。」
と僕の親指と掌でグリップを挟み込むようにクナイを持たせる。
次に腕を上から振り下ろす動作をしながら
レンジャー:「腕がこの位置に来た瞬間にクナイを離せ。」
と指導してくれた。
その動作をやってみる。
トンッという軽い音とともにクナイが壁に突き刺さった。
よしひろう:「おぉ!」
出来た!そう、これがしたかったのだ。
さらに別のレンジャーが前に出てきた。
レンジャー:「慣れればこういう事だってできる。」
そう言うと壁の前に立つレンジャー。
西部劇のガンマンのような格好する。
腰に手を当てて両腕を前にした瞬間、2本のクナイが壁に突き刺さった。
早打ちガンマンのようだ。
それを周りの騎士達も見ていたらしく、歓声が上がる。
よしひろう:「凄い…凄すぎる…」
感動していると、アスター隊長が大きな声で話し始めた。
アスター隊長:「明日の山賊討伐の会議を始める!」
部屋の中心にある机に集まる騎士とレンジャー。
机の上には先日僕が見つけた山賊の居場所が書かれた大きな地図が置いてあった。
それをジッと眺めるアスター隊長、セナ、騎士達とレンジャー。
レンジャーが口を開いた。
レンジャー:「我々はこの地点から森に潜入する。」
地図を指差すレンジャー。
レンジャー:「見張りをこのルートで全て片付ける。」
レンジャー:「賊の拠点まで到達したら狼煙を上げる。」
レンジャー:「それまでは気づかれない位置で待機しておいて欲しい。」
レンジャー:「狼煙が上がればそれを目印に騎士隊は来てくれ。」
アスター隊長:「全員が揃ったら洞窟内に攻め込む。」
その場の全員が頷く。
レンジャー:「よしひろう殿は空を飛べると聞き及んでいるが、本当か?」
よしひろう:「はい。飛べます。」
レンジャー:「ならば、上空から我らの動きを見ていて欲しい。敵に気取られずにだ。」
レンジャー:「不足の事態があればこれで知らせて欲しい。」
そう言うと赤い丸い玉を2つ手渡してきた。
レンジャー:「これは投げると爆発し、赤い煙が上がる。」
レンジャー:「赤い煙が上がれば、我らが必ずそこに駆けつける。」
よしひろう:「はい。」
と頷きポケットにその玉を入れる。
話がまとまり会議は解散となった。
僕はその後、ロッカールームに居た。
緊張していたのだ。
渡された赤い玉を弄りながらなんとか緊張を解そうとする。
気が遠くなってきた。
目が覚めたのだ。
横ではスマートフォンのアラームが鳴っている。
慌ててそれを止める僕。
なんだか胸騒ぎがする。




