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夢の中だけ勇者さま?  作者: 菅原よしひろう
選ばれし君の名は
18/58

僕は夢を見た(17)

いつもの城門の前に立つ僕。

今日は武器を買いに武器防具屋に行くことにする。

アスター隊長から装備を整えるよう言われていたからだ。

武器防具屋の前に来た。

どんな武器が売っているんだろう?

ちょっとドキドキワクワクする僕。

中に入ってみる。

見渡すと色々な剣や盾、鎧が壁に掛けてあったり棚の上に置いてあったりした。

店内を眺めていると店主らしき男が声をかけてきた。

店主:「若いの。どっから来なすった?」

よしひろう:「旅の者です。」

店主:「誰かの紹介か?」

よしひろう:「アスター隊長から武器を用意するよう言われたので来ました。」

店主:「紹介状は?」

よしひろう:「へ?」

とその場で固まる僕。

店主:「紹介状が無きゃ何も売れないぜ。」

店主:「うちは一元さんお断りなんでね!」

と僕の襟首を掴み店の外へと押し出す店主。

よしひろう:「(聞いてないよ~)」

と僕は嘆きにも似た言葉で呟いた。

まずはアスター隊長に紹介状を書いてもらわなきゃならんのか!

僕の人生、こういう二度手間な事が幾度となくあった。

そう、何度も何度も。

その度にため息をついていたんだった。

騎士宿舎まで行き、アスター隊長のいる部隊長室に行く。

ドアをノックする。

アスター隊長:「誰か?」

返事が返ってきた。

よしひろう:「よしひろうです。」

アスター隊長:「入れ。」

部隊長室に入る。

よしひろう:「武器を買いに行ったんですけどね、紹介状が無いと売れないって追い返されちゃいました…」

アスター隊長:「あーー……」

と言って笑い出した。

アスター隊長:「すまん。すまん。」

アスター隊長:「すぐに書くから待っててくれ。」

と言うなり何やら書面をしたため始める。

僕はというと、書面を書くアスター隊長を眺めながら店に置いてあった武器の事を考えていた。

一瞬しか見えなかったけど、ショートソードが20万Gしてたぞ!?

手持ちで大丈夫か?

そうこうしているうちに紹介状が出来たらしく、アスター隊長が僕に話しかけてきた。

アスター隊長:「これで買えるはずだ。」

アスター隊長:「私の紹介だから多少はツケが効くとは思うが、無理はするなよ。」

よしひろう「はい。ありがとうございます。」

再び武器防具屋へと入る僕。

店主が「また来たか」という顔をしている。

店主:「だから売れねぇって言ってるだろ!」

と言う店主にアスター隊長に書いてもらった紹介状を差し出した。

店主:「こりゃ驚いたね。本当だったか。」

すまなさそうに愛想笑いをする店主。

どうやらこれで問題は無くなったようだ。

よしひろう:「ちょっと一通り見させてくださいね。」

と笑顔で店主に言う僕。

根には持たない質なのだ。

ウォーアックス 50万G…

ロングソード 80万G…

サバイバルナイフ 5万G…

家庭用斧 2万G…

防具はというと。

鉄製ラージシールド 20万G…

革製の鎧一式 40万G…

とてもじゃないが手が出ない。

ナイフしか買えないじゃんと泣きそうになっていた時に…

目の端に何かが煌めいて見えた。

なんだろうとそれを手にする僕。

よしひろう:「これは!」

手にしたのはいわゆる忍者スーツ。

服部半蔵の影の軍団に出てくるような漆黒の衣装、装備。

籠手やら楔帷子なりが一式セットで売られていた。

少し違ってたのは額にあたる部分。

その部分が金色の鷹のくちばしの形をしているのだ。

そこには目のような紋章が刻まれていた。

僕の中の中二病的な感性が疼く。

琴線に触れたのだ。

値段は…90万G…

その衣装を両手で抱えながら残念がる僕。

よしひろう:「とてもじゃないが、手がでない。」

ついつい呟いてしまった。

それを聞き付けた店主が提案をしてきた。

店主:「何年も売れ残ってるから60万にしといてやるぞ?」

よしひろう:「手持ち9万しかないんです!」

よしひろう:「残りはツケでなんとかなりませんか!」

店主の両手を握り締めながら懇願する僕。

店主は男に迫られて気持ち悪そうに仰け反りながらもしぶしぶ承諾してくれた。

アスター隊長の信頼度の高さを垣間見た瞬間だった。

後はトントン拍子で話が進んで行く。

その衣装を試着し、袖の長さ、足丈の長さを調整する。

店主:「身長168cm、股下…72cm。」

スーツのズボンの裾をジョキジョキと切っていく店主。

足が短いのだけはどうしようもないからなぁ…

そうこう考えているうちに仕立てが終わり、再度試着してみる。

今度はピッタリだ。

よしひろう:「おおぉぉ!」

と鏡に写る自分を眺めながら歓声を上げる僕。

たまらなく格好いいのだ!

今まで着ていた服を持ち、武器防具屋を後にする。

この姿を早くセナに見せたい一心で騎士の宿舎に向かう。

その前にアスター隊長に報告した方がいいかと考え直し、アスター隊長のいる部隊長室の前に到着した。

ノックをする。

アスター隊長:「誰か?」

よしひろう:「よしひろうです。」

アスター隊長:「入れ。」

僕は部隊長室に入っていく。

僕の姿を見たアスター隊長が笑顔に変わっていく。

アスター隊長:「似合っているじゃないか!」

そういうアスター隊長の傍らにセナも居た。

セナ:「ほぉ!レンジャーか。君にピッタリの装備かもしれんな。」

とセナも誉めてくれた。

僕も嬉しくて仕方がない。

しばらく衣装の話が続いた後でアスター隊長が質問してきた。

アスター隊長:「それで、得物は何にした?」

よしひろう:「え?えもの?」

セナ:「武器のことよ。」

と横から教えてくれるセナ。

ハッとする僕。

そう、僕は武器を買っていなかったのだ。

よしひろう:「買い忘れていました!」

それを聞いて大笑いし始めるアスター隊長とセナ。

アスター隊長:「ま、まぁ、戦わないのだから武器は必要ないか(笑)」

セナ:「その格好で手ぶらじゃ可笑しいでしょ(笑)」

恥ずかしくて僕の顔が赤くなっていくのが自分でもわかった。

アスター隊長:「規則で騎士でない者には武器は渡せないが、これならいいだろう。」

そう言うと今まで練習で使っていた木剣を差し出してくる。

それを受けとる僕。

アスター隊長:「何も無いよりはいくらかマシだ。」

アスター隊長:「くれぐれも注意して動くように。」

そういうアスター隊長の目は真剣だった。

さて、さすがにこの衣装は普段から着るには仰々しすぎるので今まで着ていた服に着替えることにする。

アスター隊長の計らいで宿舎の更衣室のロッカーを貸してもらえることになったのだ。

ついでに宿舎に夜でも顔パスで入れるよう守衛とも話をつけてもらう。

そして騎士宿舎を後にに城門の前まで戻ってきた僕。

肝心な所で抜けてたなぁと反省しきり。

意識が段々と薄れていく。


目が覚めた。

横ではスマートフォンのアラームが鳴っていた。

すかさずそのアラームを止める僕。

夢の中とはいえ、51万もの借金をしてしまった事に頭を抱える。

母親に日頃から言われてたのを思い出していた。

母親:「借金だけは作るなよ。」

あぁ、今日も仕事かぁ…とため息をつきながら朝食を食べ始める。

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