僕は夢を見た(16)
いつもの城門の前に立つ僕。
このおかげで夢を見ている事に気づき易くなっているような気がする。
さて、今日は何をしよう…
久しぶりにセナとアスター隊長に会いたいな。
街の中央の尖塔に向かって歩く。
尖塔下の騎士の宿舎に行くためだ。
宿舎の守衛さんに挨拶する僕。
よしひろう:「こんにちはー」
守衛:「こんにちは」
よしひろう:「アスター隊長の所に行きたいんですが。」
守衛:「あぁ、どうぞ。」
剣術の訓練のため幾日も通ったおかげで、特に重要な案件が無ければ顔パス状態になっていたのだ。
部隊長室の前に立ち、ノックをする。
よしひろう:「(コンコン)……」
もう一度ノックをする。
よしひろう:「(コンコン)……」
返事が無いので武道場の方に行ってみることにした。
武道場ではアスター隊長とセナ、他30名ほどの騎士、騎士見習いが鍛練をしているところだった。
よしひろう:「こんにちは」
と軽く会釈をする僕。
周りの人も会釈を返してくれた。
アスター隊長が僕に気づいてこちらに向かってくる。
同時にセナを呼ぶアスター隊長。
アスター隊長:「私の部屋で話をしよう。」
と部隊長室へと促される僕。
アスター隊長は部屋に入ると自分の席に座り両手を顎に当てながら話を切り出した。
アスター隊長:「前に君に頼みたいことがあると言っていたのを覚えているか?」
よしひろう:「はい。」
と頷く僕。
アスター隊長:「まず先に言っておくが、これは君しだいで断ってくれてもいっこうに構わない。」
よしひろう:「はい…」
(ゴクリと生唾を飲み込む)
アスター隊長:「一月ほど前、セナがエアリスの森で山賊に襲われていたのを覚えているか?」
アスター隊長:「君がセナを助けてくれた件だ。」
よしひろう:「はい。覚えています。」
アスター隊長:「君に頼みたいのはその山賊のアジトを見つけることだ。」
続けて話を進めるアスター隊長。
アスター隊長:「アジトだけではない。見張りの数とその場所、山賊の人数もだ。」
アスター隊長:「我々も今までに何名もの騎士を探索に出しているのだが、セナを除き全て音信不通になっている。」
アスター隊長:「たぶん、もう生きてはいまい…」(深いため息をつく)
セナを見ると悔しそうな顔でうつむいていた…
アスター隊長:「空を飛ぶことのできる君ならなんとか探り当ててくれると私は信じている。」
アスター隊長:「どうだろうか?」
僕をジッと見つめるアスター隊長の目に悔しさと怒りを感じた。
ここまで話を聞かされて断れるハズが無い …
よしひろう:「分かりました。やります!」
と咄嗟に返答をしてしまった。
チキンなくせに煽てられるとすぐに乗ってしまう自分が恨めしい。
アスター隊長は立ち上がると僕の傍らに立ち説明を始めた。
アスター隊長:「君のすべきことは3つ。「探し、見つけ、記録する」だ!」
アスター隊長:「間違っても戦おうなどとは思うなよ!いいな!」
よしひろう:「はい!」
アスター隊長:「では、まずは君の装備の話からだ。」
先程までの緊張感が緩み、困ったような顔をするアスター隊長。
アスター隊長:「なんというか…その格好では格好がつかんだろ?(笑)」
今まで気にもとめていなかったのだけど、指摘されると気になり始める。
今着ている服はカーキグリーンの「HUMMER」と書かれた半袖Tシャツに同じくカーキグリーンの七分の半パン姿。
防御力はゼロに等しい。
アスター隊長:「装備を整えたらまたここに来て欲しい。」
よしひろう:「はい!」
アスター隊長が拳を前に出してきた。
セナも同じように拳を突き出す。
僕も拳を突き出し、3人の拳が合わさった。
アスター隊長&セナ:「正義をもって世を正さん!」
その後、僕は騎士宿舎を後にして求人板の方へと向かった。
蜘蛛退治の依頼の報酬を受けとるためだ。
受付嬢:「あ、よしひろうさん、依頼の件、確認が取れました。」
受付嬢:「依頼主が大変喜んでいましたよ。」
受付嬢:「はい、報酬の5万Gです。」
と笑顔で報酬を差し出してきた。
それをよっしゃとばかりに笑顔で受け取る僕。
次はリズん家に行かなきゃな。
今日はなんだか忙しい。
リズの親父さんに挨拶をする。
よしひろう:「こんにちはー」
リズの親父さん:「らっしゃーい!今日もリンゴか?」
よしひろう:「いえ、リズいます?」
リズの親父さん:「おーい!リズ!兄ちゃんが呼んでるぞー!」
大きな声でリズを呼ぶ親父さん。
リズが嬉しそうな顔をして店の奥の部屋からやって来た。
よしひろう:「これ、昨日の蜘蛛退治の報酬。」
と言って2万5千Gをリズへ渡す。
リズ:「兄ちゃん、ありがとう!」
よしひろう:「この前のムカデん時が3万5千Gだっただろ?」
よしひろう:「合わせて6万Gも何に使うんだ?」
リズ:「内緒~。」
と悪戯っ娘のような顔をするリズ。
ここではその話はあまりしたくないようだ。
「またねー」とお互い手を振りあって別れる僕とリズ。
さてと、次は装備かぁ…
手持ちのお金が9万8千Gほど。
これでいったい何が買えるのやら。
と考えていたら意識が遠くなってきた。
目が覚めたのだ。
横ではスマートフォンのアラームが鳴っている。
すかさずアラームを止める僕。
ついつい現実の財布の中身を確認する。
2700円…
夢の世界より貧乏な俺…




