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夢の中だけ勇者さま?  作者: 菅原よしひろう
選ばれし君の名は
16/58

僕は夢を見た(15)

あれから何日同じような夢を見ただろうか。

油と水の混合液を坑道の中で蜘蛛に掛け続ける夢を。

ただ、少なくとも作業自体は進んでいて、動く蜘蛛がほとんどいない状態にまできた。

次は箒と塵取りを使って蜘蛛の死骸を集めて坑道の入り口横に捨てていく。

何度も何度もそれを繰り返す僕。

山のようになる蜘蛛の死骸。

よしひろう:「やっと終わった……」

最後の一すくいを塵取りに集める。

大きなため息をつく。

蜘蛛の死骸の山にその最後の一すくいを捨てながら考える。

この蜘蛛はいったい何なんだろう?

夢の中の出来事は自信の心の内面の現れだと言う人がいる。

虫だけに僕の脳のバグか何かか?

などと考えても答えは見つからない。

ただ、蜘蛛の駆除の依頼が終わったことだけは確かだ。

リズの喜ぶ顔を早く見たいもんだと思いながら後片付けをする。

樽と油壺はもう必要ないだろう。

この場に捨てていくことにした。

ランプと柄杓はまだ使えそうなのでとっておくことに。

箒と塵取りはリズん家の物だから返さないとな。

街への帰路につく僕。

時刻は夕暮れ前。

城門の前までたどり着いた時に気がついた。

よしひろう:「そういえば、俺、空を飛べるんじゃん。」

空を飛んで帰ってくればよかったと頭を抱える。

残念なことになかなかその場では気がつかないものなのだ。

リズの親父さんの八百屋まで来た。

リズの親父さん:「よう!兄ちゃん、お帰り!」

いつもの威勢の良い声で声をかけてくる。

僕はといえば気の抜けたような返事しかできなかった。

よしひろう:「ただいま…(ヘニョヘニョ)」

さっそく借りていた物を返す僕。

よしひろう:「これ、お借りしていた箒と塵取りです。」

よしひろう:「ありがとうございました。」

とお辞儀をしながらリズの親父さんに手渡した。

リズの親父さん:「おうおう、どうだい?役に立ったか?」

笑顔で頷きながら「はい」と返事をする僕。

よしひろう:「それと、この柄杓、親父さんの所で使いませんか?」

と今回のために買った柄杓を見せた。

リズの親父さん:「まあ、有ったら何かに使うだろうけどよ。」

と柄杓を受けとるリズの親父さん。

そうこうしていると店の奥から声を聞き付けたリズが出てきた。

リズ:「兄ちゃん、お帰り!」

笑顔で走り寄ってきた。

リズ:「で、どうだった?依頼の件。」

少し心配そうな顔で質問してくるリズ。

よしひろう:「大丈夫。終わったよ。」

とリズの頭を撫でながら返答をする。

リズの顔がたちまち笑顔に戻った。

よしひろう:「(あー!ほんとに可愛いヤツだなぁ!!)」

と心の中で思う。

リズが耳を貸せという仕草をしてきた。

どうしたの?と前屈みになる僕。

リズ:「今回、ウチ、何もしてないから報酬は10%でええよ。」

と報酬の話だった。

今回は何もできなかったから後ろめたさがあるのだろうか?

よしひろう:「何言ってんだか。約束しただろ?山分けだって。」

と胸を張って答える。

リズ:「ほんとかー!?いいのかー!?」

と嬉し泣きのせいかリズは涙目になっていた。

よしひろう:「じゃ、依頼が終わった事をを報告してくるから。」

とリズと別れ求人板に向かう。

夕闇がそこまで迫ってきているような時刻。

求人板の受付嬢に依頼が終わったと報告し、依頼書を手渡す。

受付嬢:「明日、依頼者に確認してもらいますね?」

受付嬢:「報酬は確認が終わりしだいお支払させていただきます。」

それを了承する僕。

迫りくる夕闇と星の煌めきを眺めながら今回の依頼を思い出し達成感を味わう。

あぁ…疲れた…

気が遠くなっていく。

目が覚めた。

横ではスマートフォンのアラームが鳴っていた。

あー…仕事、行きたくないな。

なんて考えが脳裏をよぎる(苦笑)。

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