僕は夢を見た(13)
あれから何日アスター隊長の元へ通っただろうか。
へっぴり腰だった僕も大分マシになってきたようで、隊長から多少は誉められるまでには成長できたようだった。
相手の剣を受け止めると同時に鍔と呼ばれる部位で相手の顔を突く方法。
相手の剣を受け流しつつ足で相手を蹴りつける方法。
いろいろな戦い方を教わった。
卑怯かという戦い方も時には必要なのである。
負ければそれまでなのだから。
今日もアスター隊長のいる騎士宿舎を目指して歩みを進める僕。
途中、八百屋の前でリズに出会った。
ニッコリ笑いながら近づいてくるリズ。
どうやら僕に用事があるようだ。
リズ:「兄ちゃん、次、これやろうぜ。」
求人板から剥がしてきたであろう依頼書を僕に見せるリズ。
読んでみる。
-- 求む。害虫駆除 --
炭鉱の坑道に蜘蛛が住み着いて困っています。
駆除をお願いします。
謝礼金5万G
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今度は蜘蛛か!
しかもムカデの時より安いじゃねーか!
よしひろう:「おいおいおい!でっかいのがいたらどうすんだよ!」
よしひろう:「それにお前、虫が嫌いなんだろ?(苦笑)」
リズ:「前みたく燃やしちゃえばいいじゃん。」
リズ:「入り口で松明持っててやるからさ。」
ニッコリと笑うリズ。
よしひろう:「簡単そうに言うけどよぉ…」
嫌な予感しかしない。
リズ:「やろうよ。な?頼むよぅ」
あの上目使い頂きました。
これには弱い僕。
よしひろう:「あー!もう!わかった!!や・る・よ!!!」
よしひろう:「じゃぁ、受け付けしてくるから。」
と依頼書を受け取り求人板の受付嬢のところへ行く。
よしひろう:「これ、お願いします。」
受付嬢:「はい。ではこれに記入してください。」
受け付け用紙に記入する僕。
その後、詳しい場所を受付嬢から教えてもらった。
必要な物が何かあれこれ考える。
松明が要るな。
でっかいのが居たときのために油も必要か。
軍手とマッチは前回のがあるからいいとして…
道具屋で松明2本と油を20リットルほど購入。
しめて2000G弱。
この経費も僕持ちかぁとため息ひとつ。
八百屋でリズと落ち合う。
リズの親父さん:「兄ちゃん、今度もリズのことよろしくたのむぜ!がはは」
よしひろう:「まかせてください!あはは」
リズには松明を持ってもらい、僕は油壺を抱える。
世間話をしながら歩いているうちに教えてもらった坑道へと着いた。
さっそく準備を始める。
作戦は前回の大ムカデの時と同じだ。
僕が坑道の中に入り、蜘蛛に油を掛けると同時に入り口までおびき寄せる。
そこにリズが松明を投げつけて蜘蛛を焼き殺す。
坑道の入り口付近に油を半分ほど撒く僕。
松明に火を着けるリズ。
よしひろう:「念のため言っておくが、僕が合図をしてから火を着けるんだぞ?」
よしひろう:「前みたく僕ごと焼こうとす・る・な・よ?」
僕は真剣な眼差しでリズをジッと見つめた。
リズ:「わかってる、わかってるって~兄ちゃん。」
リズ:「まだ根に持ってんのか?」
とすまなさそうに苦笑いするリズ。
よしひろう:「それからさ、もしもだ。ももしも夕暮れまでに僕が坑道から出てこなかったら」
よしひろう:「その時は一旦家に戻って僕が行くまで待つこと。いいな?」
リズ:「うん。」
リズは少し不安げな表情をして頷いた。
さて、それじゃあ行ってみようか!
坑道へと入っていく僕。
左手には松明、右手には油壺を持って。
50mくらい進んだが特に何もみあたらない。
ただ砂ぼこり臭いのが嫌だった。
さらに奥へと進んでいく。
途中、地面が砂利に変わったらしく歩く度にジャリッジャリッと音がした。
ジャリッ、ジャリッ、ジャリッ。
さらにさらに奥へと入って行く僕。
よしひろう:「蜘蛛なんていないんだけどなぁ。もっと奥か?」
そう思っていると、何やら足の脹ら脛辺りがサワサワしてきた。
よしひろう:「ん?んん?」
と足元を照らしてみる。
そこには地面を埋め尽くすくらいの蜘蛛がいた。
大きさは1cmあるかないか。
しかも僕の体に這い上がって来ている。
砂利を踏む音だと思っていたのは実は蜘蛛を踏む音だったのだ。
声にならない声を上げる僕。
よしひろう:「ぴぎゃーー!!」
さらに這い上がってくる蜘蛛。
全身を覆われそうになった瞬間…
目が覚めた。
心臓がバクバクしている。
横ではスマートフォンのアラームが鳴っていた。
起きる時間だ。
仕事に行く支度を始める。
なんだか身体中がむず痒かった。




