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夢の中だけ勇者さま?  作者: 菅原よしひろう
選ばれし君の名は
12/58

僕は夢を見た(11)

気がつくといつもの城門の前。

今日もまた求人板に歩みを進める。

今日はどんな依頼があるのだろう?

求人板を見始めた時、後から声がした。

女性の声:「あー!君!君!!」

え?っと後へ振り向く僕。

見ると絶世の美女がこちらに向かって歩いて来る。

すらっとした体型に腰まである長い黒髪、キリッとした目、小さすぎず大きすぎない胸!!

目が釘付けになる。

目の前まで来たその女性は僕のことをマジマジと確認するように見る。

何事が起きたのか理解できずに戸惑うしかない僕。

真剣な眼差しで女性はおもむろに手を伸ばし僕の肩や腕をバンバンと叩いてくる。

女性:「なんだ、幽霊じゃなかったんだ(笑)」

よしひろう:「へ?」

女性:「私だよ。覚えてないの?」

全く状況が理解できていない僕。

女性:「立ち話もなんだから、あそこで話をしよう。」

と酒場を指指す。

訳も分からぬままついていく。

女性:「何にする?」

よしひろう:「じゃ、ウィスキーをストレートで。」

女性:「マスター、ウィスキーを2つ。ストレートで。」

マスター:「はいよ。」

目の前にウィスキーの入ったショットグラスが2つ出てきた。

女性:「まずは乾杯だ!」

お互いのショットグラスをチョンっと合わせた。

ちびりちびりと飲む僕とは対照的に一気にウィスキーを飲み干す女性。

女性:「マスター、もう一杯」

よしひろう:「あの…僕に何のご用でしょうか?」

恐る恐る聞いてみる。

女性:「ほんとに覚えてないの?エアリスの森で助けてくれたでしょ?」

よしひろう:「エアリスの森?」

女性:「ほら、街の西側の森だよ。山賊から助けてくれたじゃない。」

よしひろう:「あ!!」

と女性を指差す僕。

女性:「あの時はビックリしたよ。お礼を言おうとしたら急に消えるんだもん。」

女性:「お化けか幽霊かと思ったけど。ちゃんと五体あって安心した(笑)」

女性:「あらためて自己紹介するよ。」

女性:「私はセナ。この街で騎士見習いをしているんだ。」

セナ:「あの時は本当にありがとう。おかげで命拾いした。」

よしひろう:「僕は「よしひろう」です。日雇い人足みたいなもんです(苦笑)」

セナ:「へぇー。空だって飛べる君のような人が日雇い人足とはねぇ」

とマジマジと僕を眺めるセナさん。

セナさんは自分の事をいろいろと話してくれた。

今は騎士見習いだけど、将来は王都のドラゴンライダーを目指している事。

この街の尖塔の下に騎士の宿舎があってそこに住んでいる事。

騎士見習いなため給金が少なくたまに求人板で依頼をこなしている事。

そして、あの夜はこの街にくる銀行の馬車を度々襲っていた山賊を探しに森に行った事。

気づかれて逆に襲われそうになっていた事。

…ドラゴンライダー!???

この世界には翼竜がいるってことか!?

セナ:「隊長にも紹介したいから、今度是非宿舎まで来てくれ。」

か、顔が…近い…

よしひろう:「は、はい。」

思わず了承してしまった。

僕がまだ一杯も飲み干していない間に三杯を飲み干すセナさん。

セナ:「マスター。お代はここに置いとくよ。」

セナ:「よしひろう、ちょっと用事があるから先に帰るわ。またな。」

と手を挙げながら店を出ていくセナさん。

圧倒されてしまった。

店に残ってウィスキーをチビチビ飲んでいたら意識が遠くなってきた…

目が覚めた。

横ではスマートフォンのアラームが鳴っている。

起きる時間だ。

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