プライドと偏見
『プライドと偏見』
○監督
ジョー・ライト
○公開
2006年
○出演
キーラ・ナイトレイ
マシュー・マクファディン
ドナルド・サザーランド
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原作であるジェーン・オースティンの『高慢と偏見』は、「ブリジット・ジョーンズの日記」の元ネタとしても知られていますね。こちらもお腹を抱えて笑った楽しい映画でしたが、今回は小説に描かれている時代そのままのこの「プライドと偏見」を取り上げたいと思います。
兎にも角にも、もどかしいラブロマンスでもありますが、この映画の見所は何と言っても美しいそのロケーション!イギリスの大自然と歴史ある館の佇まいを見るだけでも、充分楽しめます。十八世紀末のイギリスの雰囲気を隅から隅まで味わえる、そんな作品でもあります。
個人的な感触ですがこのジョー・ライト監督、「つぐない」といい「アンナ・カレーニナ」(どちらもキーラ・ナイトレイが主演です)といい、透明な空気感と陰影を感じる上品な色彩を描くのがとても上手い。
「プライドと偏見」でも日常の何気ないショットの、射し込むあたたかな光や、吹き付ける風でさえとても美しく魅せてくれます。
五人の未婚の娘がいるべネット家を中心に物語は進みます。理知的な次女エリザベスを演じた主演のキーラ・ナイトレイの美しさはもちろんのこと、脇を固めるべネット家長女ジェーン役のロザムンド・パイク(「ゴーン・ガール」で失踪する奥様です)や、アクのつよーい母親を演じたブレンダ・ブレシン、そして一家の飄々とした大黒柱のドナルド・サザーランド、気難しい高貴なキャサリン夫人にはジュディ・デンチと豪華な面々が物語をより一層引き立てます。
当時の社交や風習、そしてべネット家のコミカルな人間模様(特に母親の、娘の結婚をどうにかして纏めようとするパワフルさは嵐のよう)が物語を彩り、タイトル通り「プライド」と「偏見」が邪魔をするなんともじれったいすれ違う男女の関係に思わずにまにましたり、苛立ったり。結婚が女性の一生を左右する時代というのも端々から感じ取れます。(娘を持つ母親の必死さはここから来ているのでしょう)
大金持ちで気難しく時に高慢なダーシーの、恋に対する戸惑いは不器用すぎる分とてもくすぐったく、ダーシーに恋する世界中の女性の気持ちがよく分かります。(キャスティングとかきっと大変なんだろうなぁ)マシュー・マクファディンのダーシーももちろん素敵でしたが、テレビドラマ版のコリン・ファースが演じたダーシーもいつか観てみたいです。
余談ですが、日本未公開の「オースティンランド 恋するテーマパーク」ではそんな現代の熱狂的なオースティンファンが描かれています。そう言えば、キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックが再共演を果たした「イルマーレ」でもオースティンの「説得」をヒロインが読んでいました。時代を越え愛されている作家ですね。
「プライドと偏見」ではDVD特典のメイキング映像で当時のマナーや風習など解説しているので、創作をされている方でこの時代に興味のある方は参考になるかと思います。