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セルラー

『セルラー』


 ○監督

 デイヴィッド・R・エリス


 ○公開

 2005年


 ○出演

 キム・ベイシンガー

 クリス・エヴァンス

 ジェイソン・ステイサム

 ウィリアム・H・メイシー


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 ジェイソン・ステイサム、と言えば「トランスポーター」シリーズはじめ多くのアクション映画に出演していますよね。アクションはもちろんのこと、少し擦れた雰囲気も味がある大好きな俳優さんですが、個人的には悪役の似合いっぷりも好きな要素の一つです。(厳つく悪役にもぴったりですし)さて、今回ご紹介するこの「セルラー」、わるーいステイサムをたっぷり堪能出来る作品となっております。

 いつものように息子を学校に送り出し、何の変哲もない日常を送っていた生物教師ジェシカ(キム・ベイシンガー)は、いきなり暴漢達に誘拐されわけも分からぬまま監禁されてしまいます。頼みの綱は、監禁された部屋で粉々に壊された電話(固定電話)をどうにか直し、祈りながらかけた先で偶然にも繋がったイマドキのチャラい若者ライアン(クリス・エヴァンス) で……。

 とにかくこの映画、最初から最後までとてもテンポ良く進み、誘拐された側、救出を試みる側の視点を交えた構成は、緊張感と所々のクスッと笑えるユーモアのバランスが素晴らしく、個人的にはとてもお薦めの一本です。(宣伝はもっとシリアスな感じだった気がするので、良い意味で予想を裏切られました)

 主演のクリス・エヴァンス(マーベルの「キャプテン・アメリカ」としてすっかり有名ですね)は、このチャラいけれどそれ以上にイイ奴感が半端ないライアン(しかも機転が利くタイプ!)を好演していますし、誘拐された教師ジェシカを演じたキム・ベイシンガーも滲み出る死への恐怖と、チャンスを逃すまいとする必死の演技がまるで張りつめた糸のようで、さすが!の一言。そしてジェイソン・ステイサム演じる、いきなりやって来た(やって来た理由もこれまた悪い!)暴漢イーサンの憎たらしいこと憎たらしいこと。主演映画でもどちらかと言うとちょいワル像のヒーローが多いステイサムですが、こんな奴に狙われたら嫌すぎると思ってしまうような悪役っぷりで個人的には大満足。さらに定年間際の警官ムーニーを演じたウィリアム・H・メイシーは納得の名脇役ぶり(彼が出ているといつも嬉しくなります)で、物語を支えます。

 そして、タイトルの「セルラー」の通り、何と言ってもこの映画の主役は携帯電話。(しかも機種はNokia!)しかし、まだスマホの登場する前なので、SNSなどのネット活用はありません。(リアルタイムで映画館で鑑賞した身としては、技術の進歩に驚くばかりです)だけれど、今観てもその機能に物足りなさを感じさせることなく、当時の最先端のこの携帯をフル活用した設定はお見事としか言いようがありません。それはラストの締めの台詞までばっちり効いていて、その存在感たるや正に大物級でした。




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