シェイプ・オブ・ウォーター(前書き必読)
注)現在上映中(3/27時点)の映画です。前情報を入れたくない方はご注意ください。。
『シェイプ・オブ・ウォーター』
○監督
ギレルモ・デル・トロ
○公開
2018年
○出演
サリー・ホーキンス
マイケル・シャノン
リチャード・ジェンキンス
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アカデミー作品賞獲りましたね。旬の映画です。ディズニーの「リトル・マーメイド」を取り上げようと思っていたのですが、最近この映画を観に行ったので、記憶が新しい内に感想を。と、言うことで「シェイプ・オブ・ウォーター」です。研究所で囚われの身の人魚ならぬ魚人(らしき謎の生物)の「彼」と、サラ・ホーキンス演じる声を失った清掃員イライザとの寓話的恋愛映画です。
ちなみにこの作品R-15指定ですので、それなりにあれな場面が出てきます。苦手な方はご注意を。(初デート向きの映画ではないかもしれません)
ギレルモ・デル・トロ監督と言えば個人的には「パンズ・ラビリンス」がとても印象的でしたが、今回の映画でもその独特の世界観を細部にまでこだわり再現し、美しいビジュアルを構築しています。冷戦下の曇天のような雰囲気は、主人公のアパートの部屋の隅々まで行き渡り色褪せた天鵞絨のようなトーンがどこか切なさを感じさせます。
サラ・ホーキンスのイライザは、彼女にしか表現出来ないような魅力がたっぷりで彼女の可憐さは物語が進むにつれどんどん増していきます。表情ひとつひとつが生き生きと雄弁にイライザのキャラクターを物語っていて、とても素晴らしかったです。そして、脇を固める、彼女と親交のある面々(隣人のジャイルズ、同僚のゼルダ、もちろん「彼」も)や、軍人で研究所の警備を担当している酷薄なストリックランドの人物描写を見ると、現代社会への寓意を感じハリウッドが好みそうな題材だなぁ、とも思ったり。(「スリー・ビルボード」も、作品賞を獲っても何ら不思議ではない映画でしたが)
イライザと「彼」とのピュアな恋は、幻想的な水の情景と相まって、美しく余韻の残るもので(「彼」の胸は海の響き。とても素敵です)、その結び付きが強ければ強い程、傲慢な軍人ストリックランドのその「脆さ」が引っ掻き傷のように残りました。(マイケル・シャノンはストリックランドをそれはそれはいやらしく好演しています)美しい妻、可愛い子ども、社会的地位、そのどれを手に入れてもまるで貼り付けたポストカードのような乾き(または渇き)が付きまとうストリックランド。(それらのものに愛着ではなく執着しているようにも見えます)そんなストリックランドとの対比こそがこの物語により深みを与えているように思えました。
そしてこの映画を観た後、ゆで卵に一種のノスタルジーを感じたのは、本当にどうでもいい話。(つるっと剥いてぽくぽく食べたい)




