大学生活の始まり
菜須よつ葉side
ふたりで連絡先の交換をして、午後からのオリエンテーションに参加するため教育学部棟へ移動する。
「いよいよ大学生活が始まるね」
紅羽が竣に話しかける。
「だな。4年後俺らどうなってんだろうな?」
竣が紅羽を微笑んで見つめた。
「学部別に別棟になってる。っていう感覚が新鮮」
紅羽のワクワク感が伝わってくる。
「ほら、遅れるぞ」
まだまだ時間に余裕はあったが、照れた竣から咄嗟に出た言葉だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「あっ、ここだぁ」
綺麗な校舎の前に立つ【教育学部】と書かれた学部看板。
「明日からここで勉強するんだな」
竣が教育学部棟の前に立ち、しみじみ実感している。
「うん。助け合おうね、高遠君」
「竣で良いよ」
「じゃあ、私は紅羽で」
「おう、宜しくな紅羽」
ふたりで教育学部棟の中へ足を踏み入れた。
お手伝い学生らしき人が、新入生の案内をしてくれている。
「入学式の時にもらった学生証をカードリーダーに通して教室に入ってね」
竣と紅羽は学生証をカードリーダーに通して教室に入る。
「なんか凄いね」
紅羽が竣に話しかける。
「出欠をこれで管理するんだな」
へぇ、そうなんだ。
席につきオリエンテーションの開始を待つ新入生。
入り口の扉が開き、数人の先生方が入ってこられた。
「皆さん、入学おめでとう。これから皆さんが教師になるために必要な事を全て教えていきます。ここにいる全ての学生諸君が夢を叶えられるよう指導していきます。夢に向かって頑張っていきましょう」
教育学部長先生からのお言葉があり、それから先生が代わり、これからの事の説明があった。
まずは授業選択の説明から。
必修科目を担当教授毎に指定時間に埋めていく。だんだんと時間割りらしくなってきた。
出来上がった時間割りをパソコンで教育学部学生支援課に送る。
数日後に結果が大学のホームページの個人ファイルに届く。明日は健康診断、明後日は教科書購入日。
色々と説明がされていく。しっかりメモを取り忘れないように心がける。
今日の予定が全て終わり、竣とこれからのことを話していると突然声をかけられた。