サティアでそれぞれの思いを語る
菜須よつ葉side
鳴治祭二日目の今日、紅羽は朝から文芸サークルで当番に当たっていた。
「竣、紅羽が居ない間に何とか話し合いを終わらせような」
「あぁ、そのつもり。昨日は助かった。ありがとな宇野」
竣は昨日のお昼にしようとしたときに絵梨華に付きまとわれうのっちのとっさの行動に無事に紅羽に気づかれることなく絵梨華の事が何とかできた。
その代わり話し合いの場を設けると約束してあったから、すんなりと昨日は身を引いて帰った絵梨華。
鳴治祭で出店が出ているのでサティアはいつもの活気がなく静かに話をするのにはちょうどいい場所である。絵梨華とはサティアの奥の席で待ち合わせをしていた。
竣とうのっち、お佳の三人でサティアに向かった。サティアの奥で髪形を手直ししたりお化粧を確認している絵梨華がいた。
「待たせて申し訳ない」
約束の時間まえだったがうのっちは、絵梨華にそう声をかけた。
「いえ、高遠君。おはよう」
絵梨華は、うのっちの言葉を適当に返し竣に話しかけた。
「おはよう」
素っ気なく返す竣。
「早速だけどお互い話をしよう」
竣は、紅羽がサークル活動が終わるまでにこの話し合いを終わらせたいと思っている。
「取り敢えず話を聞こうか?」
竣が絵梨華に声をかけた。
「私、高遠君が大好きなの。だから一緒にいたいと思ってて、学部も違うからこうでもしないと会ってもらえないでしょ?」
絵梨華が、当然でしょ? みたいなドヤ顔でいい放つ言葉に竣が答える。
「一方的に言い寄られても迷惑でしかない。それに、一度断っているから理解してほしい」
竣は丁寧に説明をするが絵梨華は
「私を知ってもらえたら絶対に付き合いたいって思ってもらえるもん」
「すっごい自信家だね。その自信はどこからくるの? ある意味羨ましいわ」
お佳が呆れている。そこに竣が割り込んで話をする。
「申し訳ないけど俺は、君にどれだけ言われても好きになることはない。俺の中には大切にしたいと思っている子がいる。その子に告白もしていないしこれからどうなるのかわからないけど結果に関わらず君と付き合うことは無いから他に目を向けて欲しい」
竣は自分の思っていることを正直に話した。
「その相手を聞いてもいい?」
「悪いけど言うつもりはないよ」
「その子と私はどう違うの?」
「そんな風に比べたことないよ。アイツだから好きになったんだし守ってやりたいと思える存在だから」
「…………」
「そう言うことだからわかってもらえる?」
「…………」
「あんた綺麗なんだから別に脈のない竣に拘らなくても他にアンタを思ってくれる男の一人や二人いるから諦めなよ」
お佳が珍しく大人しく相手と話し合っている。
「他の人じゃ……」
「私も以前好きな人がいたけど彼女が居たわ。苦しんだけど今ではちゃんと割りきれたわ。だからアンタもできるわよ」
珍しくお佳が相手を静かに説得している。
「これ以上しつこくすると竣に嫌われて嫌な思いしか残らないよ。お互いの事を思ってここが決め時だと思うよ」
うのっちも珍しく真面目な話をしている。
「わかりました」
絵梨華はそう言って席を立ち頭を下げてサティアを後にした。




