紅羽の心に新たな目標
菜須よつ葉side
全ての講義が終わり、みんなそれぞれの活動時間になる。
「お佳って、今日は?」
「ピアノ部だよ。紅羽は文芸サークル?」
「今日は部長が不在だからお休みなの」
「そっかぁ」
「遥人先輩のピアノは素敵で聞き惚れちゃう」
「でしょう! もう本当に凄いんだから」
「お佳、そろそろ行かなくて良いの?」
「わっ、ヤバイ! 紅羽じゃあね」
お佳は急いで部室へ向かって行った。紅羽はこのまま帰る気にもなれず図書館で勉強しようと思って講義室を後にした紅羽。
教育学部棟を出て図書館に向かって歩いていると紅羽を呼ぶ声が聞こえた。
「紅羽ちゃん!」
呼ばれた声のした方へ振り返る紅羽。
「茉莉ちゃん!」
久しぶりの再会のふたり。
「紅羽ちゃん、帰るの?」
「図書館で少し勉強していこうかなって思っていたところだよ」
「もし急ぎのものじゃなかったら、サティアでお喋りしない?」
「うん、大丈夫よ。急ぎじゃないから」
ふたりは、カフェテリア「サティア」へ向かって歩き出した。
サティアに着いて、茉莉ちゃんが
「飲み物だけで良いからね!」
と言ってウインクをした茉莉。
二人して飲み物だけを注文をして一番奥の窓側の席に座り茉莉は鞄の中から一口サイズで色々な味のマフィンを取り出した。
「これがプレーンで、これが抹茶、これがチョコレート、これが紅茶、これが苺よ」
「わぁ、凄い。こんなにたくさんの種類大変だったでしょ?」
「そんなことないよ、途中までは同じだからまとめて作って小分けにして味付けしただけだもん」
茉莉は、紅羽にマフィンを勧め、カフェオレを一口のみ紅羽とマフィンを食べてお喋りを始めた。
「紅羽ちゃん、勉強熱心だね」
「まっすぐ帰る気にならなかっただけだよ」
「あるある! そういう時。私そんなときは、ボランティアに行くの」
「ボランティア?」
「うん。保育園や託児施設で学生ボランティアの手伝いを募集しているの。そこで色々学ばせてもらっているの」
茉莉から色々と保育園や託児施設でのボランティアの話を興味深く聞き入っている。生き生きと話す茉莉をみて紅羽の心に新たな想いが芽生えてきた。
担当教授が小学校でトワイライトを経験してみるのも良い勉強になると言っていたことを思い出していた。
「茉莉ちゃん、ありがとう。私も小学校のトワイライトに参加してみようって思えた」
「うん! 良いと思うよ」
二人で色々話し合いそれぞれが良い影響を与え合える存在であることに喜びを感じていた。




