↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来へ繋がる絆  作者: 香月 よつ葉
大学1年生
63/160

うのっちの嫉妬

香月よう子side

 午後三時限目、お佳は、学内のカフェテラス「サティア」に居た。

 空きコマの時間なので、お茶をしながら勉強しているところだった。


「君」

 その時、声をかけられた。


 読んでいた本から顔を上げると、


「ああ、やっぱり君だ!」


 身長175㎝くらい、程よい中肉中背でさらさらの黒い髪。なかなか整った顔立ちの男性がそこに立っていた。


「今朝は悪かったね」

 それは、午前の授業前に廊下でぶつかり、落とした物を拾うのを手伝った相手だった。

「今朝は本当に助かったよ」

「いえ。あなたは……?」 

「ああ、僕は教育学部三年の中井(なかい)遥人(はると)。君は?」

「私も教育学部生です。一年の岡田佳と言います」


 すると、

「君があの岡田さんか。なるほど! 噂に聞くわけだ」

 遥人は、大仰にリアクションした。

「あの、噂…てどういう?」

「今年の新入生で一番綺麗なミス・キャン、て君の名前は有名だよ」

お佳は少し困った。

 そう言う言われ方は正直、慣れている。 

 しかし、そんなことをおくびにも出すわけにはいかない。曖昧にお佳は微笑んだ。


「珈琲くらいなら奢るから、同席してもいいかな?」

 空のコーヒーカップを確認して、遥人はそう言った。

「え、ええ」

「じゃあ、待ってて。珈琲買ってくる」

 そう言うと、遥人は券売機へと向かっていった。


 しかし、

「そんなケーキまで。申し訳ないです!」

「サティアのケーキの値段は知ってるだろ? 遠慮しないで」

 彼は、ホット珈琲だけでなく、チーズケーキも買ってきてくれてお佳の前に差し出したのだ。


「どうしたの? 食べないの?」

 遥人は早速、自分の分のケーキにぱくついている。

 それで、お佳もようやく珈琲に口をつけた。

 

「研究社の「教育心理学」か。一年生でこの本に目をつけるとは、君も真面目に勉強してるね」

 お佳の前にある本を見て、彼は言った。

「親友が教えてくれたんです。彼女も教育学部の三年の先輩に教えてもらった、て」

「へえ、名前わかる?」

「小仲(こなか)?…紘子(こうこ)、先輩」

「ああ、小仲さんか。わかるよ。彼女も勉強熱心だからね」


それから、お佳は遥人と小一時間程、話し込んだ。

 遥人も優等生らしく、講義でわかりづらい所を質問したらすらすらと解説してくれて、つい熱心に話を聞いてしまった。


 その時、

「お佳!」

「うのっち」

 うのっちがそこに立っていた。

「四時限目に遅れるぞ」

「やだ。もうこんな時間?!」

「そう言えば、四コマまで後十分か」

 遥人は手元のスマホで時間を確認した。


「すみません。こんな時間まで。珈琲とケーキもごちそうさまでした」

 お佳が軽く頭を下げる。

「こちらこそ、楽しかったよ。……ところで、彼は岡田さんの彼氏?」

 うのっちを見ながら、遥人は言った。

「え?! 違います! 単なるクラスメートです」

 お佳はきっぱりと否定した。


「お佳。講義室、急がないと!」

「ええ、沖田教授、遅れると欠席扱いだものね」

 うのっちに相槌をうちながら、

「では、中井先輩。これで失礼します」

 そう言って、お佳は席を立った。


「あ、岡田さん!」

 その時、遥人が言った。

「はい?」

「また今度、一緒にお茶しよう。君の児童心理論は、とても興味深いよ」

「あ、ありがとうございます」

「お佳」

「わかってる。……失礼します」

 そうして、お佳はその場を辞した。


お佳と二人並んで講義室へと向かいながら、


”なんだよ、あいつ?!あいつとどういう関係だよ!”


 そうお佳に問い詰めたい想いを、うのっちは必死に抑えていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。