書店でのあたたかなひととき
菜須よつ葉side
「教育心理学」のテキスト探しにいかなくちゃいけなかったことを思い出す紅羽。
文芸サークルで教育学部の先輩が見せてくれた「教育心理学」のテキストが解りやすく解説してあり例題や設問なんかも充実している内容だった。紘子先輩の勧めもあり探しに行こうと思っていた。
(今日、竣バイトだったかな? 居たら竣にも教えてあげようかな)
時計を見つめ、竣のバイト時間を気にする紅羽。
着替えて軽くメイクをして時計を気にしながら落ち着かない気持ちの紅羽。お佳なら気軽にバイト何時から?とか今日買い物付き合って!と言えるんだろうけど、自分の気持ちの変化や竣からの言葉などで少し意識をしてしまうので、偶然行ったら竣がいた。という風にいこうと考えていた。
書店につき店内を見渡すと、書籍を並べる竣を見つけた。一歩ずつ竣の方へ歩みを進める紅羽。
「竣、お疲れ様」
紅羽は、竣に声をかけた。
「紅羽。どうした? 探し物か?」
竣は少し驚いたようだったけど、直ぐに紅羽に向き合った。
「教育心理学のテキスト探してるの」
「心理学?」
「紘子先輩のお勧めなの。見やすくてね解りやすい解説などが魅力的だったの」
「俺も買おうかな? 後期から本格化してくるもんな」
紅羽のメモを見ながら教育関係の書籍が並ぶコーナーまで進むと、さすが書店員の竣。テキパキと探している。
「紅羽、あったぞ。これか?」
竣が紅羽に声をかけた。
「そうそう!それそれ!」
紅羽は笑顔で相づちを竣から本を受けとる。
もう一冊あり竣が自分用に取り置きしておき休憩か帰りにでも買って帰ろうと思っていた。
楽しそうにしているふたりを、諦めきれない絵梨華が見ていたのを、二人は気づかなかった。




