動き始めた、四人の心
香月よう子&菜須よつ葉side
今回はふたりで半分ずつ書いています。
女子部屋と男子部屋を担当しています。
あえて、どちらが担当したのか記していませんがきっと・・・。
「ちょっと、紅羽!」
海から部屋に戻り開口一番お佳が紅羽に文句をいい始める。
「ふふっ、楽しかった?」
紅羽は、言われるのを判っていたかのような返事をする。
「そういう紅羽は竣とはどうなのよ!」
「えっ? 私達は良いじゃない。お佳とうのっちの事聞いてるんだから」
「そんなに心配しなくてもいじめてないわよ」
お佳も自分の心がわかっていない返答に紅羽も自分の気持ちをもて余していたのでお佳の気持ちもわからないではない。
「竣って、本当に面倒見が良いわよね」
お佳がさりげなく竣の話題を紅羽にぶつける。
「うん。頼りにしてる部分が大きい」
いつもと違う環境や雰囲気に素直な気持ちを話す紅羽。
「へぇ、紅羽にしては素直じゃない」
お佳はからかうでもなく、ポツンとこぼした言葉だった。
それはお互いがお互いの気持ちを理解し始め、自分の心の変化も感じてきたからかもしれない。
「お佳、いつでも話聞くから」
「紅羽もね!」
窓から外を眺めながら二人の会話は続いていた。
一方、竣とうのっちの部屋では──────
「竣! どういうつもりなんだよ!? 俺とあいつをふたりきりにさせやがって」
かみつくように言ったうのっちに、
「ああ。気が利くだろ」
と、竣は涼しい顔をしている。
「で、お佳とはどうなった?」
「どうもこうもあるかよ。……また泣かせたから、また手を握ってやっただけだよ」
と、ぼそりとうのっちが言った。
「お前にしてはやったじゃん!」
「うるせえ。お前こそ、紅羽と何かあったか?」
「何もあるわけないだろ。過去に好きな男がいたかどうか聞いたけど、「わからない」とさ」
「ああ、紅羽の過去か」
「お前、何か知ってるか?」
「紅羽の初恋は、俺だよ」
自信たっぷりにうのっちは答えた。
「はああ???」
「あいつと同じ幼稚園で、年中組の時、「たくやくん、だいすき」て言われたのさ」
それが人生最大の自慢とばかりに、うのっちは言った。
「でも、紅羽は「覚えてない」て言ってたぜ?」
「……だろうな。その後、小中高と一緒だったけど、それ以上何もなかったからな」
がっくりと肩を落としたうのっちに、
「お前には今、お佳がいるだろ」
「だから、何でここであいつの話になるんだよ?!」
「お前、お佳のこと気になってるんだろ?」
ストレートに聞いてきた竣に、
「う……」
と、うのっちが絶句した。
「お互い、本当に「高嶺の花」を好きになったよなあ」
しみじみと、竣が言った。
「ああ。まったくだ」
うのっちが同感とばかりに相づちを打つ。
「でも、お前と紅羽なら問題ないだろ」
「そうかあ? そう言うなら、お前とお佳だって案外、いい線いってるぜ?」
「どこがだよ。あんなに美人で金持ちのお嬢がだぜ」
溜め息をつくように呟いたうのっちに、
「あいつの本質を見抜いて好きになる奴はそういないと思うぞ」
と、竣はうのっちを励ます。
「俺とお佳。お前と紅羽のカップルで、うまくいくといいよな」
「ああ」
そうして、悩める男子達の海での夜は過ぎていった。




