竣のアドバイス
香月よう子side
とりあえず、近くのカフェに二人は入った。
うのっちは、花火大会での出来事を全て竣に話した。
竣は黙って聞いていたが、
「お前、それでその後、お佳と何かあったのか?」
ストレートな竣のその問いかけに、
「ば、馬鹿! お前、俺の話のどこを聞いてたんだよ?!」
と、うのっちは即座に否定した。
「まあな。何かあってたら、お前の悩みは今以上、泥沼になってたよな」
そう、竣は冷静に言った。
「それにしても。お佳の失恋の傷が、そこまで深いとは思わなかったよ」
アイスコーヒーを飲みながら、竣は言った。
「俺も」
うのっちは、真面目に答えた。
「とりあえず、お前はよくやったと思うぜ」
その時、うのっちを励ますような口調で竣が言った。
「そうかあ?」
「お佳についてやったのは正解だし、一線を越えなかったのも大正解だぜ」
「あ、あいつとそういう関係になるかよ!」
言いながら、うのっちは動揺している。
「で、お前は一番、何を悩んでいるんだ?」
冷静に竣が問う。
「それがわかんないんだよ。お佳には早く立ち直って欲しい。でも、俺にはこれ以上してやれることがない」
思いつめたように、うのっちが言った。
「そうでもないと思うぞ」
竣は、うのっちの目を見て、そう言った。
「どうして?」
「失恋なんて、結局、「時間」が一番の薬だ。お佳の傷が癒えるまで、お前がつかず離れず、見守ってやればいいんだよ」
「俺が、か?」
「ああ。お前がだ」
うのっちは、竣の言葉の意味がよくわからなかった。
しかし、お佳をこのまま放っておけない。
その自分の感情は、明らかだった。
「お佳のことだ。次に会う時は、何もなかったように平然と振る舞うはずだ。でも、お前が見守ってやっていて、またお佳が落ち込んだり、動揺したりした時、さりげなく側にいてやればいい。例え、八つ当たりされても、黙って受け止めてやればいいのさ」
竣は言う。
「お前のお佳に対するわけのわからない感情も、その過程で自覚していけると思うぜ」
うのっちは、半信半疑だった。
大体、俺のお佳に対する気持ち、て、何なんだよ?
その一番重要なことを、まだ、うのっちはわかっていなかった。
ただ、紅羽に幸せになって欲しい、という願いと、お佳に元気になって欲しいという感情は、どこか似ている。
今のうのっちに理解できることは、ただそのことだけだった。




