竣の戸惑いと恋心
菜須よつ葉side
竣の咄嗟の一言で紅羽は、絵梨華とカフェで竣のバイトの終わりを待つことになった。
「ねぇ、高遠さんっていつもどんな感じ?」
絵梨華は紅羽に直球で聞いてきた。
「いつもあんな感じだよ」
とりあえず差し障りのない返事を返す。
「ふたりっていつも一緒にいるの?」
絵梨華は、グイグイ質問をしてくる。
「あっ、うん。そうだけど」
答える紅羽に絵梨華の印象が少しだけキツくなったような気がした。そんな頃ようやく竣が姿をみせた。
「ごめん遅くなって」
竣がふたりに声をかけた。
「いえ、大丈夫です」
「お疲れ様、うのっちから伝言で"明日行くわ"って伝えてくれたらわかるからって」
竣は紅羽に向かって「了解。サンキュー」と言いながら自然に紅羽の横に座った。
紅羽や竣にとってはいつも通りの流れなので特に何も気にしてはいなかったが、絵梨華が少し思うところがあったようだ。
正面に気になっている人の姿を見られるのは嬉しいけど横に女がいるのは許しがたい気持ちもある。
竣は本能的にこれ以上絵梨華に関わるのは危険かもと自分を見つめる視線や絵梨華が紅羽を睨むような視線や態度で察した。
「高遠さん、何処にお食事に行きますか?」
絵梨華は可愛らしい声でアピールする。
「了解しておいて申し訳ないけど、しばらくここでお茶して帰るよ」
竣が、絵梨華に謝罪している。
「何かこのあと用事でも?」
「学習指導要領のまとめをしたいんだ」
「食事の後でも良くないですか?」
紅羽はふたりのやり取りを黙って見守っている。
「ゆったりとワイワイしながら食事をしている時間があるのなら、適当に済ませて学習指導要領のレポートをしたい。提出は来週だけど適当なものは提出したくないんだ」
竣は丁寧に説明して断りを入れている。
「じゃあ、提出して落ち着いてから改めて食事をしましょう? 連絡先を教えてもらえませんか?」
紅羽は絵梨華の積極的な行動に驚きただ見つめることしかできずにいた。
竣は一度紅羽を見つめて、絵梨華に向き合い
「連絡先を交換してまで君と食事に行くことはないと思う。きつい言い方をして申し訳ないけどこれから先も気持ちが変わることはないから期待を持たすような行為はしたくないから理解して欲しい」
「友達で良いじゃないですか?友達なら連絡先くらい交換しますよ」
「君は、紅羽のサークルの子として知っているという程度。友達と言うより知人。友達なら同じ学部で探した方がいい。助け合えるから」
「そうですか。それでは書店でお会いした時にお声をかけさせていただきます」
そう言うと、目の前のアイスコーヒーを飲み干した。
しばらく3人で他愛もない話をしてカフェを出た。
紅羽は、いつもと違う竣の雰囲気に何か心に残るものがあったが、今の紅羽には心にモヤモヤとした何かいつもと違う感覚に戸惑うだけが精一杯だった。




