課外サークル活動
今回は、香月よう子様と菜須よつ葉のふたりで一緒に仕上げた特別ページです。
香月よう子・菜須よつ葉side
「わっ、遅れちゃう。急がなきゃ」
紅羽はサークル活動で、自由参加であるが「書店」へ出掛け大学祭に向けて部員お勧め書籍の一冊を探そう。ということなので参加するため出かける準備をしている。
駅前で集合してみんな揃ってから行くことになっている。メンバーは、後藤部長、紘子先輩、小田絵梨華、松永彰吾、長谷川心乃、紅羽の六人。
出掛けようとしている書店が、竣が働いている書店だったので不参加の筈だった絵梨華が急に参加を表明してきたのだ。
きっと以前、紅羽と一冊の書籍を求めていたとき偶然にも竣が対応してくれて会話をした事から、絵梨華は何かと書店へと足を運んでいたけど、なかなか竣に会えずにいた。
今日は堂々と書店へ行く名目ができ急遽、参加をした絵梨華。
集合時間前に来て部員を待つ、後藤部長。
「後藤部長、早いですね。こんにちは」
「こんにちは。一条さんも早いね」
ふたりで他の部員を待っていると、徐々に集まってきた。
「あらっ、早いわね」
紘子先輩がふたりを見つけて声をかけた。
「紘子先輩、こんにちは」
「部長だからな」
「遅くなりました」
「ごめんなさい。遅くなりました」
「遅れてすみません」
彰吾と絵梨華と心乃が集合時間ピッタリに現れた。
全員が集合して部長が、声をかける。
「今日は参加ありがとう。必ず見つける必要は無いから焦って探さないように。一冊の出会いを大切にしてほしい」
部長の意図を汲み取り、みんなで書店に向かって歩き出した。
書店に着き、六人はバラバラに行動することにした。
集合時間は、30分後に入り口で再び集まることとなった。
(ジャンルは何がいいかなぁ)
紅羽は広い店内を歩きながら、考える。
最近、ハマっているのは、香月よう子氏の「十七歳」シリーズ前・後編。
高校生の青春劇。続巻もあるので、少しずつ楽しみに読んでいる。大学生が読むには、少し軽すぎるとは思うが、やっぱりこれにしようと、前・後編、一冊ずつ手に取った。
彰吾は、やはり純文学。最近のお気に入りは、橘麒麟氏の短編集だ。「吹雪の海」他、二編の短編小説が掲載されている単行本を選んだ。
一方、絵梨華は、ファンタジー。「転生して転移して、転生した後に、転移したり転生したけど…結局どうなったの? 多次元世界の要素達、迷宮を攻略せよ」を選んだ。
そして、心乃は童話を探していた。
「あ、あった!」
それは、菜須よつ葉氏の「真夜中の不思議な出来事」。ちょっとミステリアスな、なんともほのぼのとした作品で、童心に帰って読める一冊だ。
後藤部長は、やはり彰吾と同じ純文学。白鳥真一郎氏の「コンチェルティーノ」を選んだ。ファンタジーの要素もあるが、なんともいえない透明感のある作品である。
一方、紘子は、アンリ氏の「冬香ーフユノカオリー」を選んでいた。紘子は、アンリ氏の恋愛小説の大ファンで、いつかこんな作品を自分も書いてみたい、と夢見ている。
30分後、六人は入り口に再集合した。
「なんともみんなの好みが別れたなあ」
後藤部長は、苦笑している。
「まあ、いいか。全部、部費で買おう。あとは、各自、それぞれの売り込みポイントのポップを書いてくること」
そう、後藤は言った。
その時。
「紅羽。何してるんだ」
振り向くと、竣が立っていた。
「あ、竣。文士会の集まりよ」
「高遠さん、お久しぶり。小田絵梨華です。覚えてらっしゃる?」
絵梨華が、頬を紅潮させて、竣に声をかけた。
「ああ、小田さん。こんにちわ」
「今日は、バイト何時までなんですか?」
「もうじき終わるよ。今日は早番だったから。六時まで」
「それなら、私、ここの隣のカフェで待ってますから、一緒に夕食、ご一緒しませんか?」
なんとも積極的な絵梨華の誘いだった。
それで、竣は困ったように、紅羽を見た。
紅羽は、何ら表情を変えることなく、行方を見守っている。
「紅羽と三人でならいいよ」
竣は無難な返事をした。
その答えに、絵梨華はちょっと不満そうだったが、
「じゃあ、一条さんと二人で、お茶しながら待ってます。ね、一条さん!」
「え、えーと。そうね。そうするわ」
少し、困惑したように、紅羽は答えた。




