うのっちの思いやり
菜須よつ葉side
数日前の学食での出来事を思い浮かべていた。
強がってたよなぁ……
頼ってくれても良いのに。
失恋したお佳の事を思い浮かべていた。
(俺、何かしてやれないかなぁ?)
うのっちは、そんなことを考えていた。
「課題順調?」
紅羽が竣に問いかける。
「なんとかな。溜めると後からな……」
「大変だもんね」
「そうそう」
講義室の隅で紅羽と竣が楽しそうに話している。そこにバタバタ走っているような廊下が騒々しい。
「なんか廊下が騒々しいね」
「だな! 落ち着きない奴だな」
そんな会話をしていた紅羽と竣。
紅羽達のいる講義室の扉が勢いよく開いた。
「おぉ! いたいた」
うのっちが紅羽と竣を探して講義室にきた様子だった。
「宇野、もう少し静かにしろよ」
竣がうのっちを諭す。
「わりぃ、わりぃ」
うのっちが謝罪も適当に済ませ話を切り出す。
「なぁ、お佳の事は知ってるだろ?」
「お佳がどうした?」
竣は、うのっちが言いたいことの意味がわからない。何を知っていると言うんだ?
うのっちは、学食であったことをふたりに話した。そして思っていることを伝えた。
「励ます会みたいなものをして元気付けてやりたいと思っているんだけど協力してくれないか?」
ふざけている様子もなく、いつになく真剣なうのっち
「わかった。宇野お前に任せる」
「わかった。参加するよ」
ふたりは、うのっちの提案を快諾した。




