うのっち格闘する・・
菜須よつ葉side
来週の午後に紅羽たちの模擬授業が迫ってきたある日の昼休み。
「紅羽の指導案凄くない?」
お佳が紅羽に問いかける。
「そんなことないよ」
と言いつつ指導案を見つめると"ふふっ"と微笑んだ。
「うわっ、なになに? 紅羽」
お佳は、紅羽の微笑みを見逃さなかった。
「何でもないよ」
と言葉では言いつつ、文芸サークルで小説の指導をしてもらったとき、同じサークルの教育学部の絋子先輩に指導案の事も相談していて、アドバイスをもらっていたのだ。
そんな二人の周りが一気に賑やかになる。
「なあなあ、紅羽! マジ助けて」
ドタバタ走りながら、うのっちが講義室に入ってきた。
「なんだぁ?」
お佳が驚いて声をあげた。
「何?」
紅羽が、うのっちに声をかける。
「来週さぁ、模擬授業なの忘れてた……いや、間違えてた」
慌てているうのっち。
「間違えてた?」
紅羽がつぶやく。
「再来週だと思ってたんだよ」
紅羽やお佳に泣きついた、うのっち。
「まだ数日あるから頑張れば間に合うでしょ」
お佳が、サラリと返す。
「どうやって書いたら良いのか困ってんだよ」
うのっちが正直に暴露する。
「まず、課題として出された単元をどう教えるかをまとめるんだよ。この説明をする。問題を各自で解かせてみる。答え合わせをして自分が理解しているかの確認する。できてない子はどうフォローするのかを書くんだよ」
紅羽の的確なアドバイスにお佳が、
「紅羽が教師に見えた」
と茶化す。うのっちはそれでも
「うんわかるけどどう手をつけて良いのかわからんもん。具体的に書いて教えて」
とんでもない発言に、いつこの場に来たのか竣が
「宇野、そこは自分で書かないといけない領域だぞ」
然り気無く注意が入った。
「竣」
紅羽がつぶやく。
「紅羽、アドバイス良かったよ」
紅羽の説明の仕方を褒める竣。
「じゃあ、指導案見せて!」
懲りないうのっちは、指導案を見せてもらう作戦に切り換えた。
「宇野!」
竣の睨みと一言で、うのっちは静かにひとり指導案を作成し始めた。




