前期試験
菜須よつ葉side
「前回の試験が終わったばっかな気がするのに、あっという間に前期試験の日程が発表されて、何だかんだで最終日だよ」
うのっちがひとりブツブツ文句を言っている。
「ってか、前回の試験って1年の後期試験じゃないの?」
紅羽が、うのっちに突っ込みを入れる。
「そうだけど……」
「宇野君、もう2年生なんだからいい加減自覚持たないと」
紅羽に注意される、うのっち。
「おぅ」
教授が入室されて最後の試験が始まった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「夏休みの予定は?」
「バイトだな」
「ピアノ部の合宿ある」
「そう、頑張ってね。お佳」
「ありがとう紅羽」
「そろそろ成績発表じゃないか?」
「あっ、そうだね。みんなで確認だっよね」
それぞれが持参しているノートパソコンを取りだして、大学のホームページの個人ページに、ログインをする。学籍番号とパスワードを打ち込み、個人ページを開き成績のページを開く。
「お前は相変わらずだよな。安定の成績だな」
うのっちが竣のページを覗き込んで言う。
「そういうお前はとうなんだ?」
竣がうのっちに語りかける。
「俺?」
「うーんと、ほぼB単位とC単位。そしてたまにA単位。マグレでS単位ひとつ」
お佳がうのっちの成績を発表した。
「うわっ、お佳はどうなんだよ」
うのっちが反撃した。
「えーっと、ほぼA単位とB単位。S単位がちらほらってところかな」
紅羽が公表する。
「紅羽はどう? 聞くまでもないと思うけど、一応ねっ」
お佳が紅羽のパソコンを覗き込む。
「うわっ、S単位とA単位かぁ」
「いつもの通りだな」
「安定の成績だな。羨ましいよ」
前期試験の結果をみて一息入れる。
「全員安心して夏休みを過ごせるな!」
竣の一言で無事夏休みを迎えられるのだった。




