掲示板での衝撃的事実
菜須よつ葉side
冬季休暇も終わり、大学内が後期の雰囲気をすっかり取り戻している。
そんなある日の出来事。
教育学部棟の掲示板に貼り出された掲示物。1年~4年まで貼り出される[冬季課題の成績表]
S単位・A単位・B単位・C単位の学生の名前が発表される鳴治館大学名物のひとつである。
「なんか騒がしいな」
竣が廊下が騒がしいことを口にした。
「アレが貼り出されたんじゃない?」
紅羽が[冬季課題の成績表]の事かと気づいた。
「そろそろだったか?」
「うん。たぶん」
竣と紅羽が話しているところに、
「俺、頑張ったけどさぁ、ヤバイなぁ」
うのっちが話に加わってくる。
「宇野君は、いつもでしょ?」
「紅羽、ひでぇなぁ」
「宇野、お前は自分に甘いんだよ。もう少し真面目に取り組めよ!それで教師は恥ずかしいぞ」
竣も日頃うのっちに思っている事を伝えた。
「……ごめん。気をつける」
三人でそんな会話をしていたところに、お佳が現れ
「グチグチ言ってないで見に行かない?」
この空気をバッサリ切った。
「そうね、確認しに行きましょう」
紅羽がお佳の言葉を受け、みんなを促し掲示板へ移動するように声をかけた。
「教育学部1年……あっ、こっちこっち」
うのっちは張り切って誘導しているつもりだろうが、いつも1年の掲示物は左からっていうの気づいていないのだろうか?
「左から学年順って知らないの?」
「だろうな!」
「教えてあげなくていいの?」
「紅羽、放っておけ」
竣と紅羽の会話にいつもならお佳が割り込んで来そうなのに、特に突っ込まれることなく掲示板の前に来た。
「竣と紅羽はS単位だな!」
うのっちが独り言のように言葉を溢す。
「宇野、お前はどうだったんだよ」
「俺?」
「そう、お前に聞いてる」
「残念ながら……」
「名前無いのかよ」
「……ぉぅ」
「小声で言っても無駄だから!」
「・・・・」
竣とうのっちの、こんなやり取りの中で、紅羽がお佳の名前を見つけた。
「お佳……」
「C単位だって」
「どうしたの? 何か悩み事でもあるの?」
「実力よ」
「お佳?」
「さぁ、講義室に戻るよ」
何でもなかったかのような態度のお佳に疑問を持ちつつも、話そうとしないお佳にかける言葉が見つからない紅羽。
「何かあって話せることならいつでも話して」
こういう言葉だけしか伝えられなかった紅羽。
「取り敢えず合格だから良いのよ~~」
紅羽は、お佳に何も言い返せずにいたが、お佳は自分よりもしっかりしているし、何かあったのなら自分で対処しちゃうのかな? と自己完結をしていた。




