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守護者の目覚め

獣の瞳が、ゆっくりと開かれる。

その色は晴天の蒼。

ゆっくりと、緩慢な様子でありながらもしっかりとした意思を感じさせる様子で、獣が起き上がり、そして。

目の前にしゃがみ込む雛子に向かい、まるで甘えるように、その頭を寄せた。

「…聖獣が…目覚めた…」

呆然とした様子のジョサイ。

まさか、そんなことが起こるとは思ってもみなかったのだろう。

そこに存在することすら知らなかっただけではなく、生きて今、目の前にいる。

獣は、ぐるぐると雛子のもとで喉を鳴らすと、すっくと立ちあがる。

「薫さん…?」

『帰ろうよ、雛ちゃん』

どこからともなく、その声は聞こえた。

あれからまだ1日しかたっていないのに、なんだか随分長い間離れていたような気がする。

『一緒に帰ろう』

その声に、雛子はすぐにうなずこうとし…一瞬ためらった。

「魔獣………」

レオナルドは、今も外で戦っているのではないか。

そんな彼を置いて、今ここですべてを投げ出してもいいのだろうか…。

『大丈夫…。僕と君、二人が目覚めた今、この地に存在する瘴気はすべて浄化された。

帰っていいんだよ、君は』

「本当に…?」

そんな都合のいいことがあってもいいのだろうか。

「雛子様…?誰とお話を…。まさか…」

後ろから声をかけるジョサイ。

――――聞こえてないんだ、この声が。

瞳だけで問いかければ、獣が小さくうなづいたように見えた。

『おいで』

その声に、今度こそ雛子はうなづいた。

そして獣が、大きく咆哮をあげる。


「雛子様…………!!!」


叫ぶジョサイの声を背中に、雛子の手が、獣の首筋に回る。

抱きしめたその感触は、先ほどまで死んだように横たわっていたとは思えないほどに温かい。

光を放つ獣の体に、ぎゅっと雛子は目をつぶった。

視界が光で塗りつぶされる。



「「帰ろう、僕らだけの場所へ 」」



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