第六話 妖怪学校⑥
「…ヒロ、…タカヒロ。」
「何?…くん。」
「何じゃないよ。今日は大切な…でしょ。」
「そうか今日は大切な…」
ジリリリリリリリリ。
「んー、何?もう朝?」
いつもの朝、いつもの起床のベル、いつもの僕の部屋。でも僕、教師になったんだよな。
「でも昨日は大変だったな…」
「あわわ、あわわわわ!」
僕は学校の廊下を流されていた。サンさんのくしゃみによって突如発生した水の流れはとても勢いが強く、ただただ流されるしかなかった。
「えぇ、右手に見えますのは理科室、美術室、トイレの花子…えぇ?!花子さん!溺れてる?!」
「山田花子、苦手な、事は水泳、だ…」
「ここで自己紹介?!そんな事この状況で言われても…」
「ちょっ、お前先生だろ?は、早く私をた、助けろよ!」
「て言われましても…僕も浮かぶだけで精一杯ですから。」
「な、なんだそれ!いいから助けろー!!」
「ちょっとつかまらないで下さいよ!僕に他人を助けるほどの甲斐性は…」
「お、おい前…」
「え?」
前を見ると大量の紙が向かいからやって来る波に乗って迫ってきた。廊下の奥に目を凝らすと印刷室の看板が見えていた。
『あ、あああああああああ!!!』
僕達は大量の水と大量の紙に飲み込まれた。
「う、うーん…はっ!」
「お、気づいたか。」
目が覚めると僕は学校の校庭に寝かされていた。隣には花子さんが座っている。
「えっと…何があったんでしたっけ?っいて。」
どうやら少し頭を打っているようだ。少しずつ思い出してくるのは波に乗ってやって来る大量の紙…あぁそうだ、あれに巻き込まれて僕は気絶してしまったのか。
「僕達は誰が?」
「リュウが助けてくれた。あいつ力だけはあるからな。」
聞いた話だと鬼瓦くんがやって来て僕達を紙の束の中から引き上げてくれたようだ。他の皆もいち早く鬼くんが窓から連れ出したそうで怪我人はいなかった。花子さんはトイレに忘れ物したとかで逃げ遅れたそうだ。
「ところで花子さん、忘れ物って何だったんですか?」
「ん?リコーダー。ちょっとこれには思い出があるんだよ。」
「…へー、意外とかわいいところもあるんですね。」
「う、うるさいわい!」
その後僕は他の先生方と一緒に学校の片付けに追われた。ものすごい水流による爪痕はところどころに見られ、窓も壁も床もボロボロになっている。何時間も修復作業を行ったが終わる見込みが立たず、僕は家に帰るように言われた。それで寝不足だ。僕は眠い目をこすりながら学校に行く支度を済ませると、トボトボと家を出た。
あー眠い…まだ学校再開はきっと難しいだろうな…大丈夫かなうちの学校…
校門が見えてきたあたりで僕は思わず持ってたカバンを落としてしまった。
「学校が…直ってる…」