表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 ABC物語  作者: San


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/21

ABC物語 9

放課後、教室にはまだ数人残っていた。

窓の外は少し暗くなり始めていて、

机の上には片付け忘れたプリントが散らばっている。


僕は席に座ったまま、

前の席に腰かけた友達の背中を見ていた。


「なあ」


振り返った友達が、

教室の奥のほうをちらっと見る。


「BとCが最初に話したときのこと、知りたい?」


急にそんなことを言われて、

僕は一瞬、言葉に詰まった。


「最初?」


「うん。

転校してきたばっかの頃のやつ」


僕は小さくうなずく。

あの二人が、最初から自然に一緒にいた気はしない。

でも、いつから並ぶようになったのかは、よく知らなかった。


「文化祭の委員会のときな」


友達は、

机の上の消しゴムを指で転がしながら話し始めた。


「Cが飾り作ってて、

Bは後ろで準備しててさ。

で、材料が床に落ちたんだ」


Cがしゃがみ、

Bがそれに気づく。

その場面が、

頭の中にぼんやり浮かぶ。


「B、拾って渡したんだけど、

二人とも何も言わなかった」


何も言わない時間。

気まずさとも違う、

ただの沈黙。


「そのとき、Cはさ、

Bにちょっと距離取ってた」


「距離?」


「避けられてるって思ったらしい」


友達の言葉に、

僕は教室の奥の席を見た。

Cはいつも落ち着いて見える。

そんなふうに誤解するタイプには見えないのに。


「でもな」


友達は、

そこで少し言葉を止めた。


「片付け終わったあと、

Bが急に変なこと言ったんだ」


「変なこと?」


「『これ、結構大変だね』って。

別に上手くもないし、

面白くもない」


たしかに、

Bらしい言い方だと思った。


「それ聞いて、

Cがちょっとだけ笑った」


ほんの一瞬の笑顔。

それだけで、

空気は変わる。


「そのあとから、

二人で作業してる時間、

少しずつ長くなってた」


長くなった、というのは、

たぶん、隣にいる時間のことだ。


【メモ:

拾う

沈黙

変な一言

少し笑う

並ぶ時間が伸びる

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ