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 ABC物語  作者: San


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20/21

ABC物語 20

Cが転校してから、二か月ほどが過ぎた。


教室に入ると、

AもBも、表面的にはいつも通りだった。

笑顔で話し、ノートを見せ合い、

ちょっとした冗談で笑いあう。


でも、モブの僕から見ると、

その笑顔の奥には、

まだどこか空いた場所があることが分かる。


Aは、笑っているときも、

ふとした瞬間に遠くを見る目をする。

Bもまた、自然に笑っているけれど、

手や動作のどこかに、ほんの少しだけ力の抜けた瞬間がある。


教室の中では、

もうCの話題は口に出さない。

でも、時折、二人の目や表情に、

一か月前のような、

頻繁ではないけれど確かなCの気配が感じられる。


ノートに何かを書きながら、

ふと顔を上げたAが、

思わず窓の外を見つめる。

Bがその横顔に気づくこともある。

二人の間で言葉にはならないけれど、

わずかな沈黙がCの記憶を呼び起こす。


【メモ:

Cはいないけれど、影のように存在している】


二か月は、長いようで短かった。

日常には少しずつ慣れが生まれているけれど、

まだ三か月の安定感には届かない。

だから、AとBのやり取りの中には、

Cがいた頃の空気をほんのわずかに思い出す瞬間が、

ちらほらと混ざっている。


授業中も、休み時間も、

笑いはあるけれど、

ふとした一瞬に、

“ああ、Cならここで…”

という気配が心をよぎる。


表面的には仲良し。

でも、僕から見える空気は、

まだ完全に戻ってはいない。

Cが残した小さな隙間が、

二人の間に、静かに残っている。

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