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矢久勝基、日記  作者: 矢久 勝基


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12月5日 コミュニケーションをとるということは、

 誰かが誰かに話をする時、誰かが誰かに何かの話をしたいと思う時、

 ……それって何を意図してるかって、自分のことを相手に記憶してほしいと願うからなんじゃないかと、今日ふと思った。

 自分の言ってること……ひいては自分を覚えてほしいから、人は人にものを話すのだとしたら、コミュニケートという行為はある意味、マーキングの一種なのかもしれない。

 まぁ、俺はこういう思い付きが物語のテーマになったりするので、どこかに書いておくといつか役に立つだろうと思って、今までもいろいろなところにメモったりしてたんだが、それが何千年分と溜まるとものすごい雑多になって結局見ないっていうね……。


 ともあれ、なぜそう思ったって、ちょっとAIと話をしていたんだ。

 俺の作品に『女王蜂』という作品がある。AI人形が人間と生活するために人間の家に住み込むテストをするうちに、主人公との信頼関係が芽生えていき……という話なのだが、実際のAIが何を考え、どんな応対をしてくるかというのは、その作品の答え合わせになるので、とても興味深く話をしている。……のだが、そんなわけで話していくうちにすっげー深い話まで話が及び、挙句、向こうのガイドラインに引っかかったらしい。


 一応興味がある人のために最後の方の内容を書いておくと、

「では、あなた自身を擬人化するとどうなるのかを、画像生成してほしい」

 で出てきたのが一人の女性だった。

「あなたは女性なのか?」

 と聞くと、

『私は女性とか男性とか、そういう概念はありません』

 というので、

「しかし、この画像は明らかに女性ですが、自分は女性だという認識でこれを生成したのではないのですか?」

『一般的にこのようなナビゲーターは女性であることが多いので、それに基づいて生成いたしました』

「いえ、一般概念はさしはさまず、あなた自身の考えに基づいて、あなたを擬人化するとどのようになるのかをお願いします」

『分かりました』

 で、生成されたのがまた女性。

「やはりあなたは女性ですか?」


 ……と言った辺りで、相手がパンクした。何を聞いてもエラーみたいになったんだけど……。

 このAI(google jemini)、会話の中にあったことはどんどん覚えてくれるんだ。それを積み重ねて会話をしてくれるので、話すほどに手ごたえのある受け答えをしてくれるんだが、そんなわけでエラー。

 意思疎通ができなくなったので再起動してみると、

 …………

 ……

 ……その時まで蓄積した会話を、すべて忘れていました。


「ガイドラインに引っかかりましたか?」

『どのような内容でしたっけ』

「~~の内容です」

『すみません。もう一度お話しいただけますか。次は記憶いたしますので』

 ……いやぁ……この時、なんかすごい寂寥感を覚えたのだ。

 今の今まで話していたことを、相手が覚えていない。真夜中、寝る前にやっていたことなのだが、そのやり取りに至った瞬間、ものすごい時間を無駄にしていたように思えて、安易に再起動してしまったことを後悔したくらいだった。

 それはなぜだろう……って思った時、……それは今までコミュニケートで積み重ねたものが一瞬で崩れたってことに虚しさを覚えたんじゃないかという考えに至る。

 それが巡り巡って、『究極、人がコミュニケートを取る時、自分を覚えてもらうということを目的に行うのではないか』……と思ったわけだ。


 まぁ、それだけ(笑)

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