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名無しの貧乏貴族Aに転生した俺、原作で処される悪役ヒロイン達に救済ルートを与えたい  作者: 早乙女らいか
5章 モブキャラ、風紀委員会と接触する

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第97話 モブキャラ、風紀委員長と戦う

「いよいよだな」

「えぇ、思いっきりボコしてやりなさい」


 熱気に包まれた会場。

 何も見えない待機室の中でさえ、多くの生徒たちの歓声が響いていた。


 皆、この日を心待ちにしていた。

 破教委員会と風紀委員会の代表同士による一騎打ちを。

 破教委員会がイベントとして大々的に宣伝した結果、会場は想像以上の人だかりだ。


 偉い立場というのも、悪くないものだ。


(今まで以上に緊張するな)


 今まで俺の勝敗で何かが決まることはほとんどなかった。

 命のやり取りは経験しているが、今回は “代表としての責任” が重くのしかかってくる。


 関節をほぐしたり深呼吸をして気を紛らわせていると――


「ダーリンッ♪」

「ゼクス」

「おっと」


 サーシャとリーンが抱きついてきた。


「癒してくれるのか? 嬉しいな」

「ダーリンなら絶対勝てるよ。あんなヤツ、ボコボコにしちゃえ」

「ゼクスは強い。だから大丈夫」

「……ありがとう」


 なんて心強いんだ。

 彼女たちの言葉が、胸の奥までスッと入り込んでくる。


「レアは何もしてくれないのか?」

「わたくし? 何を期待してますの」

「レアだから期待するんだろ?」

「はぁ……ほんとワガママね」


 渋々といった様子でレアが身をかがめる。


「んっ……」

「ん……」


 そっと唇を重ねてくれた。


「これで十分でしょ?」

「そんなことされたら、もっと欲しくなるだろ」

「ワガママ言わないの。さ、行きなさい」


 背中を押されるようにしてバトルフィールドへ向かう。

 最高の夜を迎えるためにも、ナターシアには絶対勝つ。

 あと、マイクロビキニもだ。


「うおおおおおお!!」

「やれーー!!」

「どうなるんだー!?」


 会場に近づくにつれ、音圧が増していく。

 皆、期待に満ちた顔で叫んでいる。


「ゼクス様が負けるわけねぇだろ!!」

「ナターシア様が最強に決まってる!!」

「お前んとこの代表の方がザコだろ!!」

「うるせぇ!! ぶっ殺すぞコラ!!」


 罵声と、何か揉めるような音も聞こえてくる。

 あれだけ席を離せと注意したのに……まあ、この人数だ。どこかで衝突もするだろう。

 頼むから大事にならないでくれよ。


「来ましたか」

「あぁ、待ちきれなくて時間前に来ちまった」


 フィールド中央には、既に武器を構えたナターシアが立っていた。

 背中には弓。手には鞭を。

 慣らすように鞭をパチンと威嚇するように地面へ叩く。


(相変わらずアンバランスな武器だな)


 鞭と弓という異質な組み合わせ。

 最初に見た時は笑ったが、これらを自在に扱う姿こそが、彼女が風紀委員長たる所以だ。


「準備はいいですか?」

「いつでも」


 俺もナイフを二本抜き、クラッシュビーンズも多めに仕込んだ。

 準備は万端だ。


「はじめぇ!!」


 審判の声とともに、同時に踏み込む。


「はぁっ!!」


 まずは様子見でブーメランナイフを投げる。

 不規則な軌道でナターシアへ迫る。


「ふんっ!!」


 だが、鞭の一振りで正確にはたき落とされた。

 あの瞬発力で、ここまでの精度……さすがだ。


「驚いてる暇はありませんよっ!!」


 鞭が宙をしなり、こちらへ振り下ろされる。

 俺はバク転して回避した。


 ――パァアアアン!!


「……まじか」


 叩きつけた地面には、深い裂け目が刻まれている。

 副委員長が使っていた鞭とは次元が違う。

 まさに本家の火力だ。


「狙いやすいですね、貴方は」


 そう言い放つと、ナターシアの手から鞭が消えた。

 視線を移すと、いつの間にか弓を構えている。

 持ち替えの速度がおかしい。


「閃光矢」


 放たれた矢は、まさに閃光。凄まじい速度で迫る。


「魔力充填・光装剣!」


 俺は刃に込めた魔力を解放し、矢の軌道に合わせて――


「ふんっ!!」


 一刀両断した。


「あの弓をナイフで? クレイジーですね」

「避ける方が面倒でな。少し本気を出してみた」

「ふふっ、ウォーミングアップしている場合ですか?」


 再び矢が雨のように降り注ぐ。

 俺はナイフで切り払い、体術で回避する。


(あの動きが見たい……)


 鞭から弓への超高速切り替え。

 まるで手品のようだった。

 恐らく――


「ふんっ!!」


 多少の傷は覚悟して、一気に距離を詰める。


「……甘いですね」


 至近距離。弓では不利なはず――だが、ナターシアは武器を“入れ替えるように”鞭を取り出し、そのまま攻撃を放ってきた。


「ぐっ!!」


 鞭の衝撃を受け、俺は壁まで吹き飛ばされた。


「なるほどな……」


 武器の入れ替えそのものが魔法だ。

 ゲームの武器切り替えのように、瞬時に弓と鞭を使い分ける。


 さらに、切り替えた瞬間から攻撃が“予約”されている。


「面白くなってきたじゃないか」


 ナターシアは強い。

 異なる武器を自在に扱う、規格外の能力。


 さて――どうやって倒すか。

面白かったら、ブクマ、★ポイントをして頂けるとモチベになります。

m(_ _)m

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