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名無しの貧乏貴族Aに転生した俺、原作で処される悪役ヒロイン達に救済ルートを与えたい  作者: 早乙女らいか
4章 モブキャラ、生徒会を目指す

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第73話 モブキャラ、わるだくみする

「つ、潰すって!? 相手は正式な委員会ですわよ!? アリーシャの時とは規模が桁違いですわ!!」

「どのみち、下級クラスの支持を集めるうえで邪魔な存在だ。この際、影響力を根こそぎ刈り取ってしまおう」


 あいつらがいるだけで、俺の事業や計画に支障が出る。

 リーンとも敵対しているし、早いうちに潰しておきたい。


「で? どうやって潰すんですの?」

「……まずは弱みを探したいな。委員長としての立場が揺らぐような、決定的な事実を」

「“金の亡者”という印象じゃ不十分かい?」

「それは貴族全般に言えるからなぁ。もっと不祥事と呼べるくらいのインパクトが欲しい」


 芸能人みたいに、バレたら一発で社会から消えるレベルのやつ。

 ただ、元から“きな臭い組織”って印象があるせいで、ちょっとしたスキャンダルでは名声に傷はつかない。

 これがクリーンな団体なら、もう少しやりやすかったんだが。


「レアは何か知ってるか?」

「そもそもミレイユ家とは一切関わりがありませんわ。エルファリア聖教国の人間ですら……」

「アタシも名前だけ聞いたことがある程度だね」


 二人とも関わりなし、か。

 バーザム家も取引の記録はないし、完全に手がかりゼロ。

 敵対してる相手からどうやって情報を取る? 難しいな……。


「ウチは平民」

「それはわかってますわよ……」


 リーンの小ボケで場が少し和む。

 だが、代案は浮かばない。


「な、なんかおっそろしいこと考えてるね……」

「それがゼクス君なんだよ。目的のためなら手段を選ばない」

「えぇー、物騒すぎるよー!!」


 ユイがおろおろと泣きそうな顔をしている一方で、ライトはどこか楽しそうだった。

 女装してからメンタルが安定したのか? 

 ……まぁ、いいリフレッシュになってるのかもな。


「うーん……」


 けどバルカンを陥れる方法……方法……

 答えのない問題を解いてる気分だ。

 膠着した空気が漂う中、


「てか不祥事なら作っちゃえばいいんじゃないのー? 探すなんて絶対めんどうだよー!!」


 ユイがヤケクソ気味に放ったその言葉。


「それ、採用」

「へ?」


 そのアイデアが頭の中で悪い方向に広がっていく。


「ヤツに不祥事を“作らせて”、それを大々的に広める」

「最高ね。貴族社会の恐ろしさを教えてあげましょう♪」

「この人たち怖い!! やだぁ!!」


 ユイは完全に逃げ腰だが、俺とレアはふっふっふっと悪人みたいに笑う。

 なければ作ればいい。

 ヤツが失脚するレベルの不祥事を考える――中々、面白くなってきたじゃないか。


(問題はどうやって証拠を作るか……)


 信者やグランヴァルの生徒が失望するような内容がいい。

 だが、実行しても圧力で揉み消されたら意味がない。

 できれば決定的で、いつまでも残るような“証拠”が欲しい。


「ねぇねぇダーリン」

「なんだ?」

「最近、映したものを“絵”として保存するアイテムを作ったんだけど……使えそう?」

「えっ」


 ポンと手渡された長方形の箱。

 中央にレンズのようなものがあり、上部にはシャッターのようなスイッチがついている。


 まさかこれ……。

 試しにスイッチを押すと、「カシャッ」という音とともに光が走り、一枚の絵が箱の隙間から滑り出た。


「な、なんですのこれ!? こんなリアルな絵、初めて見ましたわ……!」

「影まで鮮明に……すごい」

「やばー!? どうなってるの!?」


 誰もが驚きの声を上げる。

 リアルというか、まるで目で見た映像そのものだ。

 質も高く、現像も一瞬。


「……オーバーテクノロジーにも程があるだろ」


 サーシャはカメラを作ってしまったらしい。

 現代でも十九世紀にようやく生まれた代物だぞ?

 中世風の世界でそれは反則だ。しかも小型で高画質。


 サーシャは確かに天才だが――時代を飛び越えすぎだ。

 彼女が生き残ると、こんな発明をするのか……?


「どうやって作ったんだ……?」

「えーと、影の形を映す装置は元からあったから、それに魔力付与で効果を上げて……大量のリザードマンのコアで実験したら、できちゃった」

「……マジか」


 リザードマンのコアで魔力付与を確実に発動させたのか……

 すでに俺でも理解が追いつかない領域だ。


「サーシャ、このアイテムのことは、しばらく誰にも言うなよ」

「え? わかった……」

「でも、素晴らしい発明だ。流石だな」

「えへへ♡」


 迷わず抱きしめた。

 ……バルカンの不祥事捏造に使うのは決まりだが、これは慎重に扱う必要がある。

 多分、世界の常識がひっくり返る。


「わたくし達、とんでもない味方を手に入れたようね」

「あぁ、予想外だった」

「……そのうち世界中から狙われますわね」


 その可能性は高い。

 だが逃げるつもりはない。

 力をつけて、全部追い払うだけだ。


 シンプル・イズ・ベスト。

 最後はパワーに限る。


「で? 不祥事のアイデアは浮かびましたの?」

「そうだなぁ……ひとつ面白い案がある」

「なになに?」


 バルカンの信頼を一気に地に落とすきっかけ。

 その条件をぴったり満たす“組織”がある。


「デストレーダーとか、どうだ?」


 散々好き放題してくれた連中だ。

 今度はこっちが利用させてもらおう。

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