表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名無しの貧乏貴族Aに転生した俺、原作で処される悪役ヒロイン達に救済ルートを与えたい  作者: 早乙女らいか
3章 モブキャラ、修行する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/100

第59話 モブキャラ、公爵家に行く

「ご主人様~!! 本当にありがとうございますぅ!!」

「「助かりましたー!! 流石はゼクス様!!」」

「無事ならいいんだ」


 魔装結晶による副作用と怪我を治していく。


 まさか三人が狙われるとは思わなかった。

 護衛用にこっそりスライムを付けた方がいいかも。

 今度、レッドに相談しよう。


「……こうなるとはな」


 遠くを見れば、氷漬けになって気絶しているアリーシャの姿。

 サーシャに挑み続けたあげく、禁じられた魔装結晶にまで手を出す姿。

 サーシャの事ばかり考えていたが、その副産物でアリーシャが闇落ちしてしまうなんて。


(原作キャラにも一応注意した方がいいか)


 俺が運命を変えすぎているからか、この世界全体に大きな変化が起きている。

 深く干渉する予定はないが、気に掛ける程度に様子を探った方がよさそうだ。


「ダーーーリンッ♪」

「わぷっ」


 俺の姿を見た途端、犬のように俺へ飛びつくサーシャ。

 まだ魔力充填で回復しきっていないから、色んな部位が痛い。


「大丈夫だった? 痛い所は? ちゃんと殺せた?」

「あぁ。消し炭にしてやったよ」

「流石ダーリン♡ 誰にも止められないね♪」


 ご褒美に口づけをかわす。

 女の子とイチャイチャするだけで癒されるとは、俺は単純だ。

 欲を言えば胸かお尻も触りたい……


 と思っていたら、自ら手を掴んでお尻に誘導してくれた。

 なんでわかったんだ?


「どうする?」

「そうだなぁ……ジャババはマヤ先生に渡したら喜びそうか」

「喜ぶの……ぐちゃぐちゃの死体を……?」

「魔装結晶を二本挿ししてたからな。特異な身体に興味はあるだろ」


 マヤ先生が求める面白い話題としてピッタリだと思う。

 とりあえず死体がこれ以上、壊れないよう氷漬けにしてもらった。


「アリーシャは実家に帰した方がいいか」

「そうね。このままDクラスまで落ちぶれても困りますわ」

「アタシからも説明するよ。まぁ、何かしら言ってくるとは思うけど」


 クラウン家かぁ。嫌な予感しかしない。

 

 期待していたアリーシャは二度も失態を犯し、

 逆にスルーされていたサーシャは俺に狂気的な愛を向けている。


 首輪をつけた次女の姿をどう思うのか……


「……はぁ」

「どうしましたの?」

「いや、アリーシャの事まで考えてなかったなって」


 思わずため息を吐く。

 なんかなー。全部が全部、俺の思い通りにならないってのは理解してるけど。

 頭を悩ませる俺の顔を、レアの両手がガシッと固定する。


「貴方は全世界の人間を幸せにできると思ってますの?」

「……無理だな。というかやる気もない」

「ふふっ、都合よく考えましょ♪」


 ま、目的は果たせているか。

 レアの励ましで色々吹っ切れた。


「ねぇ、ダーリン」

「んー?」

「お姉様を実家に帰すならさ、ダーリンも一緒に来てよ」

「クラウン家か……連休だしちょうどいいな」


 もう五月。この世界にもゴールデンウイークみたいな概念があるらしい。

 特にやる事もないから実家に帰省しようと思っていたが。

 クラウン家と話を付けるのにちょうどいい。


「わたくしも行きたいですわねー。……絶対こじれると思うので」

「あぁ……そうだな……」

「ん?」


 逆にレアがいてくれないと困る。

 自慢の娘達の変わり果てた姿を、俺だけでは説明しきれないから。


 ◇◇◇


「こっちがアタシのダーリン。で、さっき運ばれたのがお姉様なんだけど……」

「「……」」


 少し日が経ってクラウン家。

 ウチよりも質のいいソファに座りながら、顔合わせが始まったわけだが……

 開幕からカオスな予感がしている。


「あばばばば……」

「エルナ!? しっかりしろ!!」

「お母様!? 大丈夫ですか!?」


 あぁ、うん……そうなるよな……


 アリーシャは死んだ目をしながらピクリとも動かない。

 サーシャに至っては変な首輪をつけている。


 外す事も提案したのだが、「むしろ顔合わせだから豪華にしたい!!」と、金色に輝く派手な首輪に変えてしまった。

 アクセサリーにしても目立つ。


「……やっぱそうなるよな」

「……お二人からしたらたまったものではないわね」


 一応、手紙でざっくりとした経緯は伝えてあるんだけどね。

 それでも目の当りにしたら……気絶したくもなる。


「コホン……話を整理したい」

「あぁ、それは俺から……」


 俺はこれまでの経緯を事細かに説明していく。

 クラウン家の当主は頷きつつ、時々を頭を抱えるような仕草をしながら、俺の話を黙って聞き続けた。

 

 そして話が終わった時。

 深いため息と共に、当主の口がゆっくり開かれる。


「……なるほど。アリーシャがそのような事に」

「俺としても魔装結晶に手を出すとは思っていませんでした」

「私もだ……優秀かつ行動力もあって、クラウン家の当主としての品格があったのに」


 期待の娘がこの有様ではな。

 サーシャも認めていた部分だ。

 未来の当主として順調に道を進んでいくはずだったのだが……


 運命は変わってしまった。


「それで、サーシャの首輪は何だ?」

「アタシはダーリンのモノってこと♡」

「……扱いに差をつけた我々にも責任はある。ゼクスくんも気に病まないでくれ」

「はぁ」


 意外と寛容だな。

 アリーシャの事もあって、何かしら告げ口してくると思っていたが。


「育て方を間違えたな……まさか姉妹揃ってこんな有様になるとは……」


 予想外の結末。両手で顔を覆い、頭をつっぷくさせる。

 恐らく、クラウン家の将来について色々考えているのだろう。

 サーシャも成長したとはいえ、色々癖が強いし受け入れるには少々時間がかかりそうだ。


「お久しぶりです、ヴィセフ公爵」

「スカーレット家の……伯爵家の息子と婚約を結ばれたと聞いたが……」

「えぇ。隣にいる彼がわたくしのパートナーですわ」


 と、今まで静かだったレアが話し始めた。


「どうでしょう? ここはゼクスとサーシャ様が正式に婚約関係になるのは?」

「なっ!?」


 なんとなく予想していた提案。

 だが、レアから持ち出されるとは思ってもなかったらしい。


「今のクラウン家は、未来の当主候補二人が危うい状態。そこで関係の深いゼクスと婚約を結べば……」

「相手は伯爵家だぞ? 王族や公爵家からの印象が……」

「だからわたくしが来ましたの」


 クラウン家が懸念している事。

 それすらレアは見抜いており、代案を考えていた。


「アリーシャ様が魔装結晶を使用しましたわね? 公爵家の当主候補ですのに」

「っ……我々を脅すつもりか」

「いえいえ。わたくしは素晴らしいプレゼントをご用意しましたの」

「プレゼント……だと?」


 ふふっと頬を上げるレア。


「もしバーザム家との婚約に前向きになってくだされば、スカーレット家として最大限支援を約束しますわ」

「なんと!? スカーレット家が後ろにつくとは……」

「クラウン家とは今後も仲良くさせていただきたいので……ね?」


 上手い交渉だ。

 スカーレット家は侯爵家としてかなりの権力を持っている。

 地盤が危うくなりつつあるクラウン家を支援するとなれば……


「前向きに検討しよう。サーシャも気に入っているようだしな」

「「ありがとうございます」」


 吊るされた蜘蛛の糸に迷わず手を掴んだ瞬間。

 頭を下げた後、二人は扉を開けてどこかに行ってしまった。


「やったぁ!! これでダーリンのお嫁さん♡」

「だな……アリーシャに対して色々言ってたのに、いいのか?」

「それとこれとは別ですわ。後、サーシャが当主になる方がありがたいですし♪」


 まさかアリーシャを引きずり落としたかった?

 そこまで考えていたとは思えんが……


 ま、婚約はほぼ成立した。

 夢のハーレムライフにまた一歩近づいたな!!

 次は……あの子かな?





「……ウチ、呼ばれた? 気のせい?」

面白かったら、ブクマ、★ポイントをして頂けるとモチベになります。

m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ