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名無しの貧乏貴族Aに転生した俺、原作で処される悪役ヒロイン達に救済ルートを与えたい  作者: 早乙女らいか
3章 モブキャラ、修行する

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第40話 モブキャラ、再びダンジョンへ潜る

「学園内にダンジョンがあるってのも凄いねぇ。この学園、規模が大きすぎるよ」

「それだけ育成に熱心なんだろ。ほら、こっちこっち」


 暗いダンジョンへと足を踏み入れる。

 まだモンスターは出ていないが、サーシャは盾を前に構え、恐る恐る進んでいた。


「サーシャ、俺の肩に手を置け」

「え? 一体何を……」

「絶対離すなよ」

「あぁもう、わかったから」


 ため息混じりに、サーシャは乱暴気味に俺の肩へ手を置く。

 目の前には例の台座。位置は問題なし。後は手順通りに……


「ほいほいほいほい」

「ど、どうしたんだい? 頭でもおかしくなった?」


 俺は台座の根元をリズムよく蹴り続ける。

 サーシャは冷ややかな目でこちらを見ていた。


 シュンッ……


「へ?」

「よし、行けた」


 ワープ音と共に、俺たちは十階層へ転移する。


「な、何をした!? アンタ何をしたんだい!?」

「落ち着け。ただワープしただけだ」

「謎の儀式はそのため!? どこで仕入れたんだか……」


 インターネットで知った、なんて言えないので適当に誤魔化す。


 十階層はモンスターの種類も数も多い。

 普通なら準備を整えて挑むべきだが、


 ブォオオオオオン……


「お、来たな」

「はぁ!? もう!?」


 嫌な羽音が暗い洞窟に響き渡り、やがて巨体が姿を現す。


「ヘルキラービー!? なんで中層のモンスターが……!!」


 蜂のような外見。尻の毒針、口から吐く毒液。群れで動き、逃げられれば仲間を呼ぶ厄介な存在だ。


 一匹なら弱いが、数が揃えば脅威となる。


「いやだって、ここ十階層だし」

「そーいうのは先に言うんだよ!!」


 サーシャはヤケクソ気味にシールドビットを展開。空中で羽ばたく蜂たちと対峙する。

 一方俺は、


「がんばれー」

「はぁ!? アンタも戦いなよ!!」

「俺が戦ったら訓練にならないだろ? 死にかけても治すから安心しろ」

「死にかける前提で話すなぁ!!」


 俺は控え室のドクターみたいな立ち位置。

 魔力充填のおかげで大抵の怪我や異常は治せる。

 安心して色んな戦術を試せるのは大きい。


「「「ビィイイイイイ!!」」」

「クッソォ!! 全員倒してやるぅ!!」


 一斉に襲いかかるヘルキラービー。

 サーシャは空中のビットに魔力を流し込む。


「おおー、器用だなぁ」


 シールドが青白く光り、線で繋がれていく。

 五、六回の繰り返しの末、


 サーシャを覆う球体状の魔力シールドが完成した。


「ふん、これじゃ近づけないだろう?」


 自慢げに笑うサーシャ。

 原作でもよく使っていた「シールドドーム」だ。防御力は不安だが、全体をカバーできる優秀な魔法。


「シールドブーメラン!!」

「ビィイイイ!!」


 近づけず飛び回る蜂を、回転するシールドビットが次々と切り裂いていく。


(雑魚掃除もお手のもの……か)


 やっぱりサーシャは器用だ。盾使いにしては細かい戦術をよく使う。

 受け性能は十分。なら、この多彩な戦術を磨く方向で……


「いいぞ、その調子で次も行ってみよう」

「はぁ!?」


 次々とモンスターが押し寄せ、しばらくは見学が楽しめそうだった。


 ◇◇◇


「無理……もうやだ……帰る……」

「お疲れ。ほら、魔力充填で元気になるぞー」

「身体より精神がしんどいのさ……ははは」


 死骸の山の中心で、サーシャは仰向けに倒れる。

 魔力充填で体は回復しても、心までは癒せない。やっぱり精神面との戦いか。


「今日は十分戦ったな。そろそろ帰って……」


 手を掴み、無理やり立たせたその時。


 ズゥン……!!


「ん?」


 地響き。天井から砂埃が落ち、嫌な重低音が響く。


 ズゥン!! ズゥン!!


「なんかおかしくないかい?」

「あぁ……嫌な予感がする」


 意識を向けた瞬間、全身を圧迫するほどの殺気が襲う。

 “殺す”というより“壊す”……純粋な破壊衝動。


 これは……まさか。


「サーシャ!!」

「な、なに!?」


 闇の奥から突進してくる巨影。

 サーシャは咄嗟にシールドを展開し、俺もガントレットに魔力を集中させる。


「ふぅんッ!!」


 衝撃音と共に、二人の障壁が巨体を止めた。


 騎士のような姿。

 全身を黒い鎧で覆い、隙間からは青白い炎が漏れ出す。

 馬も赤黒い血管を浮き出させ、異様な雰囲気を放っていた。


「ゴーストナイト……三十階層のモンスターが、なぜここに?」

「三十!?」


 終盤の厄介な敵。

 ……流石に俺も、戦うしかないな。

面白かったら、ブクマ、★ポイントをして頂けるとモチベになります。

m(_ _)m

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