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名無しの貧乏貴族Aに転生した俺、原作で処される悪役ヒロイン達に救済ルートを与えたい  作者: 早乙女らいか
2章 モブキャラ、入学する

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第33話 モブキャラ、対応力を見せる

「オルァアアアアアア!!」

「ふんっ!!」


 ドガァアアアアアアアン!!

 拳と拳がぶつかり合い、周囲に凄まじい砂埃と衝撃波が巻き起こった。


「やっぱつえぇなぁ……俺様のパワーに張り合えるなんて流石だぜ」

「パワー自慢は伊達じゃないな。何度も受けたら骨が折れそうだ」

「ガハハハハ!! 俺様の自慢だからな!!」


 両腕に力を込め、力こぶを誇示するブーロン。

 その後、腰から取り出したのは


「そしてこれが俺様の力そのもの……!!」

「武器まで脳筋か。シンプルでいいね」

「極めりゃなんだって最強なんだよ!!」


 ブーロンの巨体に見合うほど巨大なバット。

 地面に置くだけでズンッと鈍い音が響き、相当な重さだと分かる。


「いくぜぇ!! パワーインパクトォ!!」


 その怪物じみたバットを振りかぶり、ブーロンが突っ込んできた。


「うわああああああああああ!?」

「しょ、衝撃波がここまで!? 」

「すっごい力ですねぇ!!」


 バットを一振りしただけで観客が吹き飛ぶレベル。

 メディたち三人娘もスカートを押さえ、必死に踏ん張っていた。


(序盤で遭遇する強さじゃねぇ……ハンパないな)


「へへ……やっぱ避けるよなぁ?」

「受けてばかりが勝負じゃない」

「逃げてばっかじゃ俺に勝てねぇぜ!? どらああああああああ!!」


 ドゴォン!! ガァン!! バコォン!!

 轟音を伴ってバットが振るわれる。

 俺はその一撃一撃を冷静に見切り、最小限の動きでかわした。


「シンプルなのはお前の長所だ……だが同時に弱点でもある」

「あ?」


 良くも悪くもパワー特化。隙が多すぎる。

 縦に振り下ろされたバットをわずかに横へ移動して回避し、


「ぶほっ!?」

「カ、カウンター!?」

「ゼクス様すごーい……!」


 ガントレットの一撃を叩き込む。


「まだまだいくぞ!! はぁあああああ!!」

「ぐふっ!? がはっ!! ごほぉ!!」


 怯んだ隙に連撃を浴びせる。

 魔力充填で強化した打撃がブーロンを襲い、傷を刻んでいく。


「しつけぇえええええええ!!」

「っと!」


 ヤケクソ気味のなぎ払い。俺は距離を取って回避した。


「ご主人様の攻撃をあんなに受けたのに!?」

「ブーロンは耐久力があるからなぁ。これくらいじゃ倒れん」

「へへ……流石の俺様でもびっくりしたぜ」


 タフすぎる。持久戦では分が悪い。

 原作でもアーマーやバフ盛りで異様に硬かったのを思い出す。


(ここは距離を取りながらクラッシュビーンズで……)


 ブーロンは遠距離手段を持たない。

 牽制して隙を見て光装剣で一撃を……


「逃げても無駄だぜ? 俺様のパワーに距離は関係ねぇ」

「……何?」


 距離が関係ない? 衝撃波でも飛ばすのか?


「とっておきだ!! 俺様の最強魔法を見せてやる!!」


 左の手のひらに生成される、丸くビリビリした白い塊。


「な、なにあれ!?」

「すっごいビリビリしてるー!!」


(……そういや原作でも魔法ステータスだけ妙に高かったな)


「顔みたいにでけぇ……投げるのか?」

「それもいいな……けど撃った方が面白ぇ!」


 左手に白い球。右手に極太バット。

 ……まさか


「地獄のボンバーノック!! いくぜぇええええ!!」

「っ!?」


 白球を軽く放り投げ、バットでフルスイング。


 ガギィイイイイイイイン!!


(しまった、三人に当たる!)


 回避はできない。背後にはメディたちがいる。


「おらぁ!!」


 俺は身を逸らし、魔力充填した足で蹴り飛ばした。


「「「きゃあああああああああ!?」」」


 ボォオオオオオオオン!!

 弾は三人の頭上を越え、校舎に直撃。大爆発が起きた。


「校舎の壁が……消し飛んだ!?」

「文字通り大爆発だ! 俺様のボンバーノックは最強なんだぜぇ!?」


(バカみたいな名前のくせに破壊力抜群かよ……)


「三人とも無事か!?」

「「「大丈夫です!! 大好きー!!!!」」」


 ……美少女に大好きって言われると疲れも吹き飛ぶな。


「一発で終わりじゃねぇ……」

「おいおい、俺は野球部じゃないぞ?」


 次々と生成される白い塊。


「千本ボンバーノック!! いくぞおおお!!」


 ガキガキガキィイイイン!!

 砲弾のような弾丸が雨のように降り注ぐ。


「これ審判できませんよー!? 助けてぇー!!」


 歩く戦車……いや、それ以上か。

 ただ、力任せに打っているだけで命中率は低い。


「ご主人様!? なぜ動かないんですか!?」

「ガハハハ!! 諦めたなぁ!?」


 狙い澄ましたタイミングを待ち、


「今ッ!!」

「なに!?」


 真正面に来た弾を、魔力充填したガントレットで殴り返す。


「受け止めた!? けど俺様の威力は……」

「一点集中、それが魔力充填の強みだ」


「魔力充填……反撃弾!!」


 跳ね返った白球が直撃。


「ごほぉおおおおお!!?」


 ドゴォオオオオオオン!!

 爆発の勢いに飲まれ、ブーロンが吹き飛ぶ。


「ぐにに……ま、まだ終わらねぇ……」

「やはり耐久は化け物だな……だが」


 宙に浮くブーロンに飛び込み、


「お前は無敵じゃない。リミットはそこまでだ」


 魔力充填した光の剣を振り下ろす。


「”一刀両断”」


 ズバァ!!


「つ、よすぎだろ……」

「強いからな」


 血まみれのまま、ブーロンは倒れ込む。


「わぁああああああ!!」

「すごーい!! 流石ゼクスさまぁ♡」

「おふっ!? 戦闘後の幸せダイブは……悪くないな」


 二人の伯爵令嬢が飛びつき、胸に衝撃が響く。

 幸せだが、ちょっと痛い。


「はいはい、ご主人様を休ませましょうね」

「助かる、メディ……あー疲れた」

「Sクラスが相手でしたから。ゆっくり休んでください♪」


 三人娘の安全は守られた。めでたしめで……


 ドカァアアアアアン!!


「ん?」


 遠くで爆発音。


「ゼクス!! 大変よ!!」

「どうした? というかレアは勝ったのか?」

「当たり前でしょう? わたくしが負けるわけ……ってそれはいいの!!」


 駆けてくるレアの表情は焦りそのもの。


「サーシャがボコボコにされてるのよ!! 相手はあのお姉さん!!」

「はぁ!? 」


 サーシャとアリーシャの模擬戦!?

 ……完全に正規ルートから外れてやがる!!

面白かったら、ブクマ、★ポイントをして頂けるとモチベになります。

m(_ _)m

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