表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名無しの貧乏貴族Aに転生した俺、原作で処される悪役ヒロイン達に救済ルートを与えたい  作者: 早乙女らいか
2章 モブキャラ、入学する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/101

第31話 モブキャラ、女の子達にモテる

「ゼクスさまぁ、なんであんなに強いんですかー♡」

「私たち、本当にびっくりしましたー。ギランをコテンパンにやっつけちゃうなんて♡」


 寮内にて。ギランが連れていた女子二名が、なぜか俺のもとへやってきた。

 二人とも目を輝かせながら、俺の両腕に抱きついてくる。

 あざとく媚びるような声だが……悪い気分ではない。


「俺に惹かれていいのか? ヤツより手荒いかもしれんぞ」

「「全然!! むしろ大歓迎ー♡」」


 身体をくねらせながら、胸元や下着をわざと見せるように視線を誘導してくる。

 女子からチヤホヤされるって、なんでこんなに気持ちいいんだろう。

 

 キャバクラにハマる人ってこんな感じなのか?


「……サーシャとのデートよね? なんで知らない女の子が増えてるのかしら?」

「デート中にギランから喧嘩を売られてな。返り討ちにしたら取り巻きに懐かれてしまった」

「取り巻きじゃないですー」

「強そうだから寄生してただけー」

「図々しいですわね……」


 二人も女の子を引き連れた俺を、レアが呆れた目で見ている。

 レアもこっちに来いと手招きしたが、逆に距離を取られてしまった……残念。


「って、あなたたち。ウチのパーティに来たことがありましたわよね?」

「「ぎくっ」」


 指摘された途端、二人はわざとらしく顔を逸らした。


「知り合いか?」

「伯爵家の娘ですわね。これといって特徴はありませんが、二人一緒に貴族の男へアピールしていたので」

「え、えっと……」

「あははー、お世話になりましたー……」


 男を渡り歩くのは相変わらずってことか。

 ……尻軽女ってやつ?


「わたくしは一切気にしていませんわ。というかビビりすぎよ」

「だ、だってぇ!!」

「スカーレット家って、貴族社会じゃ怖いって評判なのにぃ!!」

「……バカ正直に本人の前で言うか」


 この素直さは褒めてもいい。

 強い異性を求めるのは生存戦略として間違ってはいないのだろう。

 俺は二人を知らないし、ゲーム内でどんな役割だったかもわからない。


 ――だが、この二人。結構しぶとく生き残りそうだ。


「で? ギランは強かったの?」

「強いが、倒せないレベルじゃない。次にやる時は……もう少し余裕で勝ちたい」

「あなたならできるでしょう? スカーレット領を救った英雄さん♪」

「英雄? あれはレアの功績だったような……」

「表向きはね」


 全部レアに押しつけて、俺は好意だけ頂くつもりだったのに。

 余計な責任はごめんだ。


「英雄で思い出した。そろそろヤツらが動くかもしれんぞ」

「ヤツらって……まさか」

「デストレーダーだ」


 その名を口にした瞬間、レアの表情が一気に冷たくなる。


「ギデオン工務店に違法な武器が置いてあってな。多分、デストレーダーがこっそり仕込んだんだろ」

「違法な武器!? あそこは規模も質も一流ですわよ!?」

「メアリ様の毒を誤魔化したんだ。武器だって上手く隠せる……俺以外にはな」


 ヤツらに感づかれないため、あえて放置してある。

 だが、表の武器商店に流通しているということは、デストレーダーの影響力が城下町にまで及んでいる証拠だ。

 近いうちに、グランヴァル学園も狙われるだろう。


「デストレーダーは許せませんわ。アイツらはわたくしの領も両親も、何もかも……」

「落ち着け。こちらが警戒していると悟られたら、逆に追い込まれる」

「……情報収集は必要ですわね」


 アイツらは序盤に登場する。

 確か二章の後半だったか。

 一章は生徒たちとの揉め事と成り上がりがメインで、デストレーダーの影はほとんど語られなかった。


「な、なんかヤバそうな話ー?」

「とんでもない所に来ちゃった……?」

「残念ね。もう逃げられませんわよ?」

「「ひぃいいいい!!」」


 怖がっているのに離れない……俺の近くにいた方が安全だと考えたか? 中々図太い。


「アイツらは人の弱みに漬け込む……だから待てばいい」

「待つ?」


 デストレーダーの目的や行動パターンは、ほぼ把握している。


「弱さを抱えた人間なんて、いくらでもいるからな」


 誰に喰いつくか。

 原作通りの展開は、ギランの変化からして期待できない。


 だが、目的までは変わらないはずだ。

 待っていれば、デストレーダーの方から姿を現すだろう。


◇◇◇


「これより、B~Sクラスの合同模擬戦を行う!! 成り上がりたいヤツは全力で勝ち抜けぇえええええ!!」

「「「おおおおおおおおおおお!!」」」


 一週間後。

 巨大なフィールドに大勢の生徒が集まり、司会の煽りと共に熱気に包まれていた。


「まだ一週間しか経ってないだろ」

「本当に戦い好きですわね、この学園は」

「シンプルなのは嫌いじゃない。勝てばいいだけだ」

「……貴方もすっかり染まってますわね」


 今日は合同模擬戦。

 簡単に言えば、クラス別に一対一で戦い続けるイベントだ。

 実戦経験を積む狙いもあるが、格上の生徒を倒せばクラスアップの可能性が一気に高まる。


 Aクラス以下の人間にとって、燃えないはずがない。


「お、サーシャじゃん!」

「げっ……わざわざこっちに来るなよ」

「げ、とは何だ。最近会えなくて寂しかったぞ?」

「嘘だね。遊び相手ならいくらでもいるだろう?」


 Aクラスの集合場所で、サーシャを見つける。

 あれから何度か会話する関係にはなったが、親愛度に大きな変化はない。

 色々試したいことはあるが……結局はサーシャ次第か。


「でも、サーシャは一人しかいない……だろ?」

「相変わらず心をかき乱すことばっかり言うねぇ」


 関係は確実に進んでいる。

 ――だが、この合同模擬戦でちょっとしたトラブルが起きるとは。

 俺ですら予想できなかった。


面白かったら、ブクマ、★ポイントをして頂けるとモチベになります。

m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ