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名無しの貧乏貴族Aに転生した俺、原作で処される悪役ヒロイン達に救済ルートを与えたい  作者: 早乙女らいか
6章 モブキャラ、目をつけられる

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第108話 モブキャラ、探りを入れる

「わたくしを暗殺? デストレーダーも随分と物騒なことを考えますわね」

「にしては肝が据わっていますね……」

「殺されて当然の立場でしょう? いつでも覚悟はできていますわ」


 全員が服を着て落ち着いたあと。

 内容のわりにレアはずいぶんドライな反応だった。

 しかし暗殺か。俺ではなくレアを狙うという点が、ヤツらの姑息さをよく物語っている。


「レア・スカーレットを殺せば、破教委員会は間違いなく勢力を落とす。だからあーしたちはそのために作戦を練ってたの」

「勢力……ね。わざわざ殺してまでやりたい理由は?」

「グランヴァルに魔装結晶を広めるため。最近、誰も興味示してくれなくてねー」


 なんとなく予想はしていた。

 レアを狙うということは、ヤツらにとって俺たちの組織が邪魔になってきた証拠だ。


「わたくしが圧をかけてますもの。破教委員会で魔装結晶に手を出したら、家を含めて全て潰すと」

「……なるほどな」


 治安維持のための抑止でもある。

 反体制組織、そして実力主義のこの学園なら、力で覇権を握ろうとする者は多い。

 だからこそ、レアの権威を利用して悪い流れを止めた。効果は十分だ。


 今のところ、魔装結晶を表で使った奴を聞いたことがない。

 ――隠れてやってる奴はいるかもしれんが。


「しかし、俺じゃなくレアとはな」

「美しすぎるのも罪ですわね」

「ほんとにな」


 美人ほど目立つとはよく言ったもんだ。

 もちろん、渡す気も、殺させる気もさらさら無い。


「よーし、早速デストレーダー潰すか」

「えっ……そんな軽いノリで行くんですか?」

「レアが暗殺されるんだぞ? ヴィーナスにも会えたし、連中に用はない」


 本音を言えば、ヴィーナスさえ確保できればデストレーダーなんてどうでもよかった。

 最悪放置でもいい。


 だが――レアを暗殺しようとしている以上、それは完全な敵対行為だ。

 なら徹底的に潰すだけ。


「ヴィーナスの処遇はどうしますの? 彼女は魔装結晶に手を出しましたのよ?」

「んぐっ……憲兵に突き出されてもしょうがないよね……」


 確かにヴィーナスの立場は難しい。

 事実、デストレーダーとして数々の悪事を働いてきた。


 ……とはいえ言い訳は作れる。


 仕方なくデストレーダーに所属していただけで、悪事も命令だった。

 魔装結晶も必要に迫られて使った。

 そして今は心を入れ替えようとしている……


 ――筋書きはできた。

 あとは立場を与えるだけ。


「俺たちの護衛でいこう」

「ふえっ?」


 分かりやすく、噛み合った役割だ。


「それが無難ですわね。元悪人にチャンスを与える寛大な代表……ということにしておきましょう」


 寛大っていうか、好みの女を囲いたい独裁者に近い気がするが……まあいい。


「む、護衛ならウチがいる」

「あーしだって負けないし!!」


 おいおい、気づけば護衛が二人に増えてる。

 逆に俺の方が守りたくなるんだが。


 ひとまず気持ちだけ受け止めて、護衛はリーンとヴィーナスの交代制にした。

 元々複数人を雇う予定だったし、ちょうどいい。


「さて、本拠地の場所を教えてちょうだい」

「場所は定期的に変えてた。誰にもバレないように」

「ふぅん。じゃあ詳細な作戦内容は……」

「知らない」

「はい?」


 急に冷めた返事に、全員の空気が止まった。


「この期に及んで知らないは無いでしょう?」

「ゼクス・バーザム。どうやら拷問が必要みたいですよ」

「ち、違うの!! あーし本当に知らなくて、その……!」


 しぶしぶ口を開いたヴィーナスの説明は――予想以上に雑だった。


「作戦とか、全部部下に丸投げしてたから……」

「えぇ……」


 まさかの丸投げ方針。


「あーしは強いから代表になっただけ。作戦とか難しい事は全部部下がやってくれる……」

「呆れましたわ……これがデストレーダーの偉い人だなんて」


 これでもグランヴァル統括。

 原作でもアホ疑惑あったが、間違いなく事実だった。


「前はどこで集まったんだ?」

「えっと、スラム街の倉庫跡……」

「とりあえずそこに行くぞ。何か分かるはずだ」


 証拠を完全に消すのは難しい。

 現場に行けば何か残ってる。


 ――と、俺が立ち上がろうとした瞬間。


「……明日にしない?」

「……賛成です」


 そうだ。今さっきまで情事だった。

 今日は休もう。

面白かったら、ブクマ、★ポイントをして頂けるとモチベになります。

m(_ _)m

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