第107話 モブキャラ、楽しむ
「な、何してんの!?」
「いや、好きにしろって言うから……」
「そういうことじゃ……まさかあたしで遊んでから殺すつもり!?」
「殺すなんてもったいないだろ。手に入れたんだから、いつまでも独り占めしたい」
せっかく彼女に出会えたんだ。
たっぷり味わって、 ヴィーナスとの時間を楽しんで。
そして幸せな日常を過ごす。
殺すつもりなんてない。
俺の頭にあるのは、ヴィーナスを攻略することだけだ。
「わけわかんない……あんなに可愛い子たちに囲まれているのに、あたしを襲うなんてありえない!」
ただ、ヴィーナスは状況が理解できないらしい。
原作でも彼女は容姿にコンプレックスを抱いていた。
いきなりベタ褒めされる現実がありえないと感じているのだろう。
「何を言っている!! お前は唯一無二だ!!」
そんな彼女に、俺は強く訴えかける。
「高身長で引き締まった美人なんて中々いないぞ!! その身体に抱きしめられたいし、逆に襲ってしおらしい姿も見てみたい!! 俺の気持ちがわかるだろ!?」
「は、はぁ……?」
どうもイマイチ反応が悪い。
ここまでヴィーナスの自己肯定感が低いとは。
……実践して徹底的にわからせる必要があるな。
「アンタらの代表はどうかしてるって!! 何か言ってよ!!」
焦りながらヴィーナスはレアたちに意見を求めたのだが。
「こうなったゼクスは、止められませんわ」
「平常運転。何も問題ない」
「悪の組織にまで手を出すとは……ゼクス・バーザムの欲求は恐ろしいですね」
「イ、イカれてる!!」
残念。レアたちはもう俺にストップをかけることはない。
というか諦めている。
「さぁて、続きはベッドの上で話し合おうか」
「あっ……」
ヴィーナスの身体をお姫様抱っこで持ち上げる。
レアたちよりは重いが、全然いけるな。
俺が鍛えていたからか?
「あ……あう……」
「ん?」
顔が真っ赤。恥ずかしそうに手で隠しているけど、全部バレバレだ。
その巨体が見せる乙女な一面に、思わずドキッとする。
「可愛がってやるから安心しな……お姫様」
「っ!?」
キザな言葉ですら彼女の胸に深く刺さる。
まだ日があるが、俺の欲望は常にフルスロットル。
たっぷり味わせてもらおう。
◇◇◇
「いやー、最高だった」
ベッドの上で寝転がりながらふと隣を見る。
裸でうつ伏せになっているヴィーナスの姿。
寝ているわけではない。意識がないフリをしているが、耳が真っ赤なのでバレバレだ。
「だからってわたくしまで抱かなくていいでしょ……」
「盛り上がってる最中にレアがいたら襲いたくなるだろ。お前が魅力的すぎるのが悪い」
「ふぅん?」
せっかくなので、レアたち三人も抱いた。
サーシャだけいなかったのが残念だが十分満足した。
サーシャが知ったらかなり嫉妬しそうなので、次は彼女をメインに夜を楽しもうと思う。
「……なんか今までのあたしがバカみたいじゃん」
と、ようやくヴィーナスが上体を起こした。
「あたしを愛してくれる人なんていない。みんな可愛い子を好きになるって思ってたのに」
「貴方が不遇だったのはゼクスを知らなかったからよ。こーんな性欲魔人が貴方を見放すと思う?」
その通りだレア。
俺は美少女が大好きだ。クセのある美少女は特に好きだ。
何が何でも落としたくなるし、俺のものにしたくなる。
「……未だに信じられないよ」
「まだ足りないか? よし、ここからもう一戦……」
「いい!! いいから!! 十分満足したって!!」
優しく抱きしめてキスしようとした時、彼女は俺の身体を押しのけてベッドから飛び出してしまった。
「もうデストレーダーとかどうでもよくなった。というか、なんであんな所にいたんだろ」
「知りませんわよ。何か目的でもあったんじゃないの?」
「あたしはただ可愛い子が憎くて殺したかっただけ。クソむかつくしあたしの手でグチャグチャにできたら最高だなって」
「……やっぱりデストレーダーですわね」
要は自分だけモテなくて腹が立っていた、という事だ。
悪に落ちるなりの理由があったわけだが、俺という存在に愛されるようになった今、もうその必要はない。
「これからたっぷり幸せを与えてやる。トロットロであまあまな毎日が楽しめるぞ」
「今でも十分だよ……まさかこれが平常?」
「そうよ」
今まで味わったことのない愛をヴィーナスに与える。
それで彼女の心が救われるなら本望だ。
「というか、なぜデストレーダーは破教委員会を狙ったのかしら?」
「あぁ、それはレア・スカーレットを暗殺する為の第一段階で……」
「……はい?」
おっと? なんだか、かなり闇の深い作戦が隠されていたようだぞ?
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