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名無しの貧乏貴族Aに転生した俺、原作で処される悪役ヒロイン達に救済ルートを与えたい  作者: 早乙女らいか
6章 モブキャラ、目をつけられる

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103/109

第103話 モブキャラ、乗り切る

「……どういう考えだい?」

「せっかく予算が増えたからな。有効に使いたいと思ってね」


 重苦しい空気の中でも、俺はそのまま話を続けた。


「風紀委員会とは良い関係ができている。予算を削られて苦しい状況を、こちらが改めて支援すれば――さらに恩を売れる」


「……なるほどね」


 ミホークが軽く相槌を打つ。

 風紀委員会とは最近かなり距離が縮まった。最初は支援で依存させるつもりだったが、今では学園の空気や変化、さらには貴族家の情勢にまで詳しくなれる貴重な情報源でもある。


(俺たちにも十分メリットがある、ってわけだ)


 レアもこの有益さに気づき、本格的に支援体制を整えようとしていた。そこに予算増。風紀委員会を支援するにはこれ以上ない口実だ。


「本当は風紀委員会なんてどうでもいいんじゃないの? ただ、その子を助けたいだけだろう?」


 嫌味を含んだ口調に、俺は微笑み返す。


「当然だろ。可愛い子には好かれたいからな」


 結局のところ、俺はヒロインに好かれたらそれでいい。


 風紀委員会も、

 生徒会も、

 そしてデストレーダーでさえ――


 すべては目的を果たすための通過点にすぎない。


「ぷっ……あはは。やっぱり君は面白いねぇ」


 ミホークは腹を押さえて笑い、張り詰めていた空気が一気に緩んだ。


「そんな君に人がついていくなんて不思議だ。愛の力ってやつかい?」

「愛がある限り、ゼクスはどこまでも進めますわ。だから、わたくしたちは従いますの」


 レアが恥じらいもなく言い切る。

 ナターシアもまだ痛みが残るのか頬を赤らめつつ、小さく頷いた。


「言ってくれるじゃないか。キスしてもいい?」

「ほんと相変わらずね……後にしなさい」


 強さと誇りを掲げるレアが、こうして素直に愛を語る日が来るとは。

 日に日に頼もしさが増していく。


「まあいい。我々は予算を与えるだけだ。使い道に縛りは設けない」

「なんなら生徒会も支援してやろうか?」

「……それは、宣戦布告と受け取っていいのかい?」


 さすが生徒会。

 俺の挑発に乗るでもなく淡々と返してくる。


「生徒会こそ圧倒的No.1だ。それに支援は……君たちよりもっと大きなところから受けているからね」

「大きいところ?」


 どこだ?

 学園長……ではありきたりすぎる。

 ミホークの言い方からして、もっと強大な“組織”だ。


 生徒会が敬意を払う存在。

 学園最上位の組織。


 ……まさか。


「王族か」

「ご名答」


 ミホークはパチンと指を鳴らし、席を立った。


「敵は我々だけじゃない。それを胸に刻んでおくことだね」


 そう言い残し、部屋を去る。


「げほっ、げほっ……!! はぁ……っ、はぁ……っ!!」

「おいおい、大丈夫か?」

「だい、じょうぶ……じゃないです……」


 脅威が去った途端、ナターシアはその場に崩れ落ち、咳き込んだ。

 よく耐えたな。本当に頑張った。


「貴方たちは何で平気なんですか……怖かったですよ……」

「いつかは俺が上に行くからな」

「ただの役員に怯えているようでは、破教委員会は務まりませんわよ?」

「……ははっ」


 確かに圧はすごかった。だが、多くの修羅場をくぐってきた俺からすれば――

「まあ、そんなものか」と思う程度だ。


 レアも同じだろう。

 最初はキングオーガに震えていたのに、今では平然としている。

 ナターシアもいずれはこうなる……多分。


「デート、今日にしないか?」

「いいですわね。わたくしも疲れましたわ」

「……食事が喉を通る気がしません……」

「じゃあ最初は散歩でもしよう。時間が経てば落ち着くだろ」

「……っ」


 ナターシアを落ち着かせるため、正面からそっと抱きしめる。

 レアも背中から抱きしめ、三人で包み込むように寄り添った。


 ナターシアは戸惑いながらも、その温かさを受け入れて震えを鎮めていく。


 五分ほど経った頃だろうか。

 「もう大丈夫です……」と弱々しくも笑みを見せたので、俺たちはそっと身体を離した。


 どこか名残惜しそうにしていたが――

 このあと、もっと幸せな時間が待っているから安心していい。

面白かったら、ブクマ、★ポイントをして頂けるとモチベになります。

m(_ _)m

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