初恋の雨
天気予報は当たり、今日もまた大雨。晴れの天気は当たらない癖に、こういう時は当たるものだ。
都合の悪いものばかり当たるなんて、なんて酷い世界だろうな。
それにしても、大雨か・・・。きっと、山とか森の中は今頃すごく湿っているのだろう。
山ではないが、大雨の日には思い出がある。
それは、まだ私が元気だった頃。確か、小学5年生くらいだったか。その時から私は晴れより雨のほうが好きだった(今だって、屋上での志保のコンサートを開けないから雨が嫌なだけで、雰囲気自体は雨のほうが好きだ)。
特に、草木に滴る雨、暗く、湿気に包まれた、地面もぬかるんでいて、そして神秘的なあの雰囲気。雨の自然、それが好きだった。
しかし、小5の女の子がそんな山の奥まで行くのは困難だった。それに、そんな暗い趣味に賛同してくれる人なんて中々いなかった。
だが、一人だけ、いた。叔母だった。叔母といっても、20代前半のかなり若い人だったが。
よく、叔母と私だけで雨の日に山に散歩に出かけた。
ある時、例の如く散歩していると叔母がこんな事を言ってきた。
「ねぇ、〇〇ちゃん。私と雨のコンサートしない?」
「どうやって?」
そういうと、叔母は傘を閉じ、
「こうやって、雨に身を任せて歌うの。葉っぱに雨粒が当たった音とか、なんか落ち着くじゃない?」
「でも、歌なんてどこでも同じだし、それより濡れちゃうよ?」
「いいのいいの。すぐに帰ってお風呂入ろう。じゃ、コンサートスタート!」
今考えても意味が分からない。やはりおかしいんじゃないだろうかあの人。
だが、言うことを聞いてくれる感じでもなかったので、観念して曲をリクエストした。
雨に似合いそうな曲、かどうかは知らないが、”サンタマリア”をリクエストした。
叔母も知っていたので、どうせならと一緒に歌った。叔母の歌は上手かった。そして、どこか惹きつけられた。
その後は、母からとんでもなく叱られた。しかし、叔母はあまり反省してなさそうだった。ずっと困り顔でニコニコしていた(ちなみに結局次の日風邪を引いたのだから反省してほしい)。
その後、お風呂に一緒に入った。
その際、初めて叔母の身体を見た。白く美しい肌、大きく、柔らかい胸、一切の毛が無く、処女を思わせる陰部。
そのすべて、私の何かを変えた。胸は高鳴り、自分でも分からない感情で胸がいっぱいになった。
私は男になんぞ興味はなかった。かといって女にもさして興味がなかった。
私はこの時、初恋をした。