第16話 手と手、心と心
リィゼがそっとアリエルを引き寄せ、唇がふれる──
呼吸の仕方すら見失ったアリエルの喉から、掠れた吐息がもれた。
柔らかな唇のふくらみが重なり合い、ふいに舌先が、そっと唇をなぞる。
目を閉じる代わりに、ほんのわずかに口元がゆるむ。
唇の隙間に差し込まれた温もりは、決して急くことなく──
ただひたすらに、やさしく。
リィゼの舌は、水を撫でるようにアリエルの内側をゆっくりとすべり、
そこに残されたのは、微熱のような痕跡と、
知らなかったはずの幸福に似た心のざわめきだった。
――― もう、止められない......
やがて、舌がふれ合い、ゆるやかに絡まる。
ザラついた粘膜の感触が、繊細なざわめきを交換し合う。
その心地を噛みしめるように、リィゼがそっと目を閉じる。
ふたりの口内で交わされるのは、まるで角砂糖をゆっくりと水で溶かすような、静かで甘やかな儀式だった。
「あっ…。ん、ぅ…」
ふと、リィゼの喉から、抑えきれぬような吐息が零れた。
その声音は、まるで喜びが不意に形になったもののようで、それと同時に、舌が優しく、絡み返してきた。
──呼応ではない。寄り添いだった。
互いの唾液が混ざり合い、甘く温かな感触が口内を満たす。
ときおり、舌をすすられるたびに、深部までじんと染み込んでくるような気がした。
ゆっくりと、解すように、高め合っていく唇の愛撫。
アリエルの腕が、そっとリィゼの首へ回される。
それは抱擁というより、ただ彼女の存在に触れたかっただけの動作だった。
やがて、唇と唇の奥に満ちていた吐息と熱が混ざり、リィゼの舌が甘えるようにアリエルの息をすくっていく。
まるで──大切な記憶をひとつずつ、舌先で確かめるように。
唇の動きは、まるで緩やかな波だった。
互いの熱をほどきながら、同時に絡み、少しずつ感情を重ねていく。
──その波の最中、リィゼの手が、そっとアリエルの胸元に触れた。
キスの余韻に溶けるように、リィゼの指が、アリエルの柔らかな輪郭をなぞった。
張り詰めた先端が、固く勃ちあがっていて、少し恥ずかしい。
親指と人差し指で挟まれ、内奥の熱に確かめるよう、捏ねるようにして揉まれる。
「アリエルのここ…キスだけで、こんなに硬くなってる......」
リィゼが挫いてくる指先に、喜ぶ息が漏れる。
「リィゼ......言っちゃ......ぁ…だめぇ……んッ」
小さく震えた声が、喉の奥からこぼれた。
それは拒絶ではない。ただ、自分でもまだ確かめきれていない気持ちの揺れだった。
けれど、その揺れごと包み込むように──
リィゼの舌が、ふたたびやさしくアリエルの舌を撫でた。
舌を伸ばして絡み合わせ、唾液が混ざり合うたび、感情も溶けて、境界が曖昧になっていく。
胸元から脇腹へ、リィゼの指がなぞるように滑り落ちる。
その動きはどこまでも静かで、だからこそ、熱を伴っていた。
やがて、その手がアリエルの下腹部をやわらかく押さえる。
リィゼの囁きが、耳元にかすかに触れた。
「……ちゃんと……見せて」
その声音に、恥じらいも命令もなかった。
ただ、願いがそこにあった。
──あなたを知りたい
という、透明な祈りが。
琥珀の瞳を濡らしながら、耳元で囁かれる。
揉みこむようにリィゼの指が恥丘を弄う。
キスで昂ぶらされた身体はそれだけで熱を帯び始めた。
「わ、わかったっ、...リィ……ゼゥっ、は……んぅ――」
アリエルの声が、震えながらも応えた。
秘裂に指の先を挿し入れられる。
リエルの指先が、きゅっとシーツをつかんだ。
「……アリエル、やっぱり……可愛い」
まだベッドに移って間もないというのに、アリエルのソコはすでにリィゼの指先に熱くなり、ぬるりと潜り込んでくる少女の指を否も応もなく咥えさせられた。
解すように膣内で何度か指をくの字に曲げられると、抗い難い痺れが内股から下腹部に湧きでてくる。
アリエルの背が、わずかに弓なりにしなる。
「……ぁっ、……っ」
快感に思わず声が漏れる。
同時に、アリエルもリィゼの秘所に指を這わす。
とろとろに蕩けた熱く湿った蜜壺。
アリエルはリィゼも自分との行為を受け入れていると知り、嬉しくなる。
指先を湿った蜜壺に沈めていく。
穿ちこんだ指の半ばから先が、形のあるお湯に漬けたように熱に包まれた。
リィゼの身体もすでに興奮しているのか、くにくにと指を動かして膣壁を押してやると蜜が溢れ始めた。
「あっ、……ん、ぁ……、はぁ……、いいわ、アリ、エル……、ンッ……」
手首を使って腿の内側をまさぐると、視線の先でリィゼが堪えるように眉間に皺を寄せた。
――― 痛かったりしないだろうか?
心配し、覗き込むと、蕩けるような瞳から、押し付けるようにキスが降ってきた。
内壁にジンジン響く快感に炙られながらも、唇を吸い合う。
熱い吐息に鼻をくすぐられる。
開いたままの唇の間に舌を挿し入れあって生暖かい粘膜を絡ませていく。
リィゼの手指が、アリエルの狭い膣道をゆっくりと撫で押してくる。膣襞を捲り上げるようにぴたりと指の腹を押し当てて、お腹の手前側をずり、ずりぃ…と掻いてくる。
官能に塗れた潤んだ目でアリエルを見つめながら、息遣いや表情に合わせて指を動かされると、愛蜜が涎のように垂れて、腿や尻を伝い流れていく。
視線は絡みあったまま。
リィゼはその瞳に情欲を灯したまま、アリエルの反応を観察するように覗き込んでくる。
アリエルが指を使うと、切なげに細くなる瞳。
お返しのように掻くペースを変えられると、アリエルの口からは湿った息が漏れる。
――― リィゼ......ッ
さらに顔を寄せあう。舌を伸ばして絡み合わせ、唾液を塗りつけ合う。自身が感じている快楽を相手に伝えるように、お互いに粘膜をこすりつける。
「れりゅ、……ちゅ…く、あっ...は……んぅ――」
「ん、ぁ……ちゅ、ぱ……ン、は……ん…っ」
キスが激しくなっていくほどに、どちらの指も熱を帯びていった。