模擬戦の決着
イザベルはケイトのスキルに弱点があると語りだし、ジョーンのさりげない発言から俺はケイトが攻撃をされてから外れた隙に反撃をしている事からスキル発動中は何かしらの理由があって攻撃できないのではないかと考え、それがケイトの幻惑の足取りの弱点であると思い、模擬戦の様子を眺める事にした。
「多分、ケイトはスキル発動中は何かしらの理由があり自分からは攻撃ができない、それがあのスキルの弱点なんだろうな」
「え?そうなんですか?」
「ああ、さっきジョーンが言っていただろう、姿が見えないうちに攻撃すればいいのにそれをしない事に疑問を呈していただろう、それでもしかしたらあのスキルに弱点があるとしたらそれなんだろうなとな」
「じゃあその攻撃するとケイトにとって都合が悪い弱点はなんなんだ?」
今度はジョーンが俺に対してケイトのスキルの弱点はなんだと尋ねてくるが、それに関してははっきりとした答えが見つかっていないので、そう返答する事にした。
「具体的な弱点は分からないな、ただ攻撃を仕掛ける事であのスキルが解除、もしくは特性が生かせなくなると考えてはいるな」
「ふーーーん、まあ実体かどうか分からないケイトを前にすると弱点が分かっていてもイザベルにはどうする事もできないんだろうな」
「あ!見てください、今度はケイトさんから仕掛けますよ」
ケイトから仕掛けたか、スキルの発動中に攻撃できないのは間違いだったか?いやケイトの動きを見る感じ、牽制ではなく本気の攻撃だ、だとするとあのケイトは実体でありスキルは発動していないな。
ケイトが攻撃をしてきたのを見てイザベルも木剣で防ぐが、防がれるとケイトはすぐさまイザベルから距離をとった。
「やっぱり速いですね」
「当たり前よ、スキルだけで回避していると思わないでよね」
ケイトとイザベル、2人は見る限り身のこなしがとてもいい、単純な速さもそうだが回避行動や身を守る行動がとてもではないが商人の子とは思えない。多分師匠がいいんだろう。2人の師匠はもしかすると危険な仕事もしていたイザベルの父親か、2人の才能もあったが教え方も良かったんだろうな。
そしてまたしてもケイトが攻撃を試みる。速さはわずかにケイトの方が上か、イザベルも防御行動に回るがイザベルの木剣を相手にせず、あっという間に背に回り木剣を向ける。
「どう、やっぱり私の勝ちのようね」
「参りました、さすがですケイト」
この模擬戦はケイトの勝ちだが、イザベルも接近戦ができるというのが分かりとてもいい修行になったな。