聞き取り調査の開始
村長の家で領主様の使者であるユウさんからケイト達に対しての聞き取り調査が始まった。彼女達の師匠でもあり、今回説明する事をケイト達に提案した事もあり俺も同席しているが、まずはケイト達の自己紹介から始まり、ひとまず俺は様子見に徹する。
「申し遅れた、私は領主様の使者であるユウと申す」
ユウさんも自己紹介をすると、ユウさんからまずはケイトに質問をする。
「ではまずキャスリン・ヴァイツ殿にお尋ねするが、貴殿の主張は父が冤罪である事、そしてそれは元々ヴァイツ家に雇われていた商人がいる可能性があるとの事だが相違ないな?」
「はい、私は父は無罪であると考えております、王宮に多くの武器を卸しており、国内の名だたる腕自慢もこぞって父が抱えている職人の作る武器を所望しておりました。そんな父がお客様を裏切るとは思えません」
「ふむ、王宮がお得意様であったからあえて敵性国家に武器を売る事はありえんという主張だな」
「もちろん、それだけではありません、父が扱っていた品は武器だけでなく食材や生活に必要な品も扱っておりましたし、それらを求める人も多くいましたので」
ケイトのお父さんはかなり多くの商売に手を伸ばしていたんだな。まあヴァイツ家は国内でも最高の商家とは聞いていたし。武器以外も多く売っていたんだよな。
「今度はキャスリン殿の従者であるイザベル殿にお尋ねするが貴殿の主張もキャスリン殿と相違ないな?」
「はい、私も主と同じ気持ちにございます。多くの商人が他の商家に行った中、私の亡き父は主を信じ、最後まで尽くされました。父の志を引き継ぎ、我が主の為に私も同じ気持ちで主張したいと思います」
「そうか、お2人の主張は事前に聞いていた事と相違ないという事は確認した。だがかつてヴァイツ家に属していた商人となると数が多く調査は困難ではあるな」
やはりな、前の領主様の文には既に国が決定した罪に対してその逆の証拠を集めることになるから公の調査はできないとも書いていたな。そのうえ、前にケイト自身も言っていたが心当たりがありすぎるのが問題だって。
「我らとしては公に調査はできないうえにその者が他国の間者と接していたら我らの動きを悟られると国外に取り逃がしてしまう。かなり難しい調査にはなりそうだと申す他ないな」
「そうですか」
「我らとしてももう少し対象を絞り込めれば少しはやりやすくなるかもしれないが……」
「対象……絞り込む……少しいいですか?」
ケイト、何か考えが浮かんだのか?




